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稽留流産の記録



アレ山の体験を記録させてください。
流産手術の表現があるので、苦手な方は読まないでおきましょう。



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妊娠9週目で稽留流産の診断をされた後、わたしたちは自然排出は待たずに手術することに。
前処置が必要なため、この日入院して翌日手術となった。

婦人科の病棟なので、フロア内には分娩台があり、赤ちゃんの産声やお母さんに授乳のアドバイスをする看護師さんの声が聞こえる。
ほっこりする気持ちと、ほんのすこし絶望感があった。胎芽が心拍停止していると診断をされてから1週間以上経っていたのでおおよそ受け入れてはいた。ただ、自分が子供を産む光景を想像できなくなっていることが怖かった。想像できないことは実現できないような気がするからだ。だけど考えることはやめられないから、なにかを考えていた。
ただただ昼から夕方、何を考えてたかは思い出せないくらいには無意味なことばかり考えていた。13時から16時までひたすら無の時間。

無とはいえ、1時間おきくらいに入院の説明や薬の説明をしに看護師が顔を見にくるので、立ち歩くわけにもいかない。
時間を大切に使わないとなと思いつつも、ベッドでぐったりしていた。なぜか37.3あった。

最後の診察を受けた。
担当の女性医師が忙しくて来れなかったので、代わりに小太りの男性医師に診てもらった。明日の手術の準備のために、子宮の入り口に細い棒を刺すのだが、それがどうやら痛いらしい。不安すぎて事前にTwitterとかで色々体験談とか見てしまったけど調べない方がよかったかもしれない。

エコーの機械をいれられた。
赤ちゃんがいたはずの胎嚢は、変わらずぽっかりと黒い穴だった。
前に見た時は、もう少しだけ居たような気がしたんだけどな…と思って聞いてみたら、吸収されて小さくなっていくんですよと言われた。
エコー写真、いりますか?と聞かれたので、貰っておいた。もらわなかったら、誰の記憶にも残らない気がしたから。

はい、深呼吸してーと言われてるあいだにするんと棒が入った。痛い痛いと事前に調べてたソレは全く痛くなかった。医者の腕がいいのかな。感謝

病室に戻って、写真はすぐに封筒にしまった。

夕飯は白身魚のあんかけ。
夫があんかけはご飯が進むと言ってたのでちゃんとご飯にかけて食べたらおいしかった。

明日は昼ごはんが出ないと聞いて、あわてて売店でカロリーメイトを買った。

夜は夫と電話した。
夕方面会できなかったから話せて嬉しかった。
どうでもいい他愛ない会話が楽しかった。
夫はとても心配して寄り添ってくれてた。
夫に全然気持ちを話せなかったり、そばにいられなかったら今よりもっと落ち込んで塞ぎ込んでたように思う。


夜寝れない
真っ暗になった途端に不安になった
風やばい。綺麗で立派な病院なのにガタガタいってる。
この日は最強寒波で外はとんでもなく寒かった


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少しだけ寝れた。
朝日が部屋に入ってきたら、あれだけ不安だった気持ちが落ち着いてきた。朝日の力ってすごい。

看護師さんがきて点滴を刺してもらう。点滴の針痛い、嫌い。
看護婦さんが『血管が逃げてしまう』と言って2回さされた 痛い 逃げるな。

点滴のカテーテルが繋がれたまま、歩いて移動した。
わざわざ早朝に会いに来てくれた夫にやっと会えて、一瞬だけ行ってきますの挨拶をした。ほんとにほんの一瞬だった。もうすこし話せるかと思ったけど、サーっと手術室に向かうエレベーターに入ってしまった。

手術室に入り名前を確認した。
はじめて入った。映画のセットみたいだった。バットマンが装備を選ぶ地下室みたいな。
手術台に寝転がった。
右手に血圧、左手に点滴とあと何か
ほとんど身動き取れない状態、ほぼ拘束状態。
タオルで下半身を見えなくされて、
椅子が動いて足を開いた
点滴を差し替えた、静脈麻酔を打ちますと言われた。すぐにのどに熱いものがグアっときた。
5秒くらい数えて、眠いですか?と聞かれて、そんなに眠くなかったのでそんなに…と答えたらもう一度何かを入れられた。
そのあと、すぐに膣内に何かを刺された。
あ、と思ってたら記憶が混濁した。

あれ?あれ?なに?今なにしてんだ?
時間どのくらいたったんだ?
声が出せそうだったので声を出してみた
『後どのくらいですか』
『もうおわりですよー!』

へ?!と思ってたらあれよあれよと転がって下さーいと言われ、指示通りに転がってベッド移動して、手術室から出た。
ベッドごとガラガラと押されて移動している。
朦朧とする意識の中、待合室近くにいた夫を見つけた
わー、夫だ!と思った。
お腹すいた!とだけ叫んだらしい。
あといつの間にか終わってた!と。
記憶が曖昧で、どのように運ばれたのか記憶が薄いけど、夫と対面した曲がり角だけ脳裏に焼きついている。

そのあとは、なんでか早く目を覚まさなきゃいけない気がして、わりとすぐに目覚めた。
時計を見たら9:48
まだ全然じゃん…2時間安静にしてなきゃなんだ…と再び目を閉じる。そしてまたすぐ目覚める。
恐らくまだ麻酔が効いているせいか、目を瞑るたびに夢をみる
5分ほどの短編夢を6本くらい見てた

11:45 上体を起こせるくらいになった。
看護師さんが来て、まだ起きちゃダメよ(笑)と言われた
安静にしててと言われたけど、トイレに行きたくなった
許可が出たのでよろよろ歩きでトイレに入った
ちからがでなくておしっこがなかなか出ない
少し力を入れたら血も出てしまった、痛い
生理ともまた違った痛みだった
こんなの、うんこなんか到底出来ないんじゃないか?これ以上強く踏ん張ったら絶対もっと痛い
軽く絶望しながら介護用みたいなデカいオムツをはいた
そーっとそーっとはいた
太ももの内側がカクカクする、トイレからベッドへの道も遠く感じた

もう1時間ほど寝たら、よろよろした感じがなくなった
筋肉が起きたような感じがする
看護師さんに退院の準備をしていいと言われ、カバンに服を詰め込んで部屋を出たら、夫がいた
はじまってから、終わって私が寝てる間もずーーっと病院の何もない広間で待っていてくれたそうだ
寒さの割に日差しが強かったらしく、カーテンも閉まっていない広間で夫は少しこんがり焼けた姿になっていた

清算し終わって、一緒にタクシーで帰った
下腹部の痛みでペンギンくらいのよちよち歩きしか出来ず、数メートル歩くのもやっとだった。


この後毎晩痛みにうなされ、高熱が出たりして数回病院に通い、10日ほどでやっと仕事復帰できた。

1/16に、赤ちゃんの心臓が動いていないと言われてから、お別れして私の身体が元にもどるまでの、壮絶な1ヶ月だった。

たまひよを熟読して、つわりが辛い日は夫が買ってくれたデッカい抱き枕にしがみついて寝ていたりした日々。絶対に忘れないよ。

ありがとう。

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