【小説】畳

 誤魔化しの言葉はもう要らない。芋が芋の意志に関わらず掘られ、天井が二ミリずつ下がっていく。だんだんと司政の行く末もおかしくなり、ひねろうがでんぐり返ろうが過去の先行きも結局変わらなかった、どうにもならないときには、葉巻を一口もらって吸う、腰砕けになる名グッピーの足先の煌びやかな薬品結晶の屑に思わず師匠譲りの熱い溜息が零れる。雨樋を伝って流れる欲情になすすべもなく溺れるメダカ、上目遣いの山道を選ぶような走行に迷走神経も返事をせざるをえない、畳は重ねられて燃やされるまで畳だった。

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