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#10 イソネミクニ

クトゥルフナイズのきっかけモンスター

モンハンライズをクトゥルフナイズするきっかけは、このイソネミクニというモンスターでした。
「クトゥルフに出たとしたらどんな感じなのかなあ」と思ったのが最初です。
元来のホラー映画好きが触発された訳です。

イソネミクニのライズでのモチーフはずばり人魚で、これはもちろん日本の人魚伝説ですね。
ただ私の頭にあった人魚のイメージはどうやら高橋留美子先生の描いた人魚シリーズだったようです。
雑誌掲載の第1話を読んだ時の記憶がよほど強かったのでしょう。
高橋留美子先生の絵は好きで、「うる星やつら」「めぞん一刻」は当時全巻持ってましたしね。
ただラムちゃんは令和アニメ版が圧倒的に可愛くて好きです。

イソネミクニで一番お気に入りの部分は顔の造形、特に目の光の入り方です。
ゲームプレイ中にアップになるとつい目が行ってしまいますね。
ライゼクスやゴアマガラの目は何と言うかスパイダーマンのベノム感があって、それはそれで良いのですが、イソネミクニの場合は顔が人間の女性に近い分だけ余計に異質感があってそれが良いのです。

それにしても体長10mもある人魚と戦うなんて、人間とチワワが戦うみたいなもので、まともに考えたら人間なんてあっという間にやられちゃいますよね。
ところが睡眠ガスを吐いて攻撃してくるという設定なので、ふと思いました。
それって実は逆に弱いんじゃないか?て。
だって標的を眠らせないと有利になれないのですから。
なので今回はその観点から能力値を考えてゆきました。
弱点のあるモンスターって、それだけで考えるのが面白いですね。

イソネミクニをクトゥルフナイズする過程で日本の人魚伝説がかなりオーバーラップしまして、その最たる設定が「人間に変身できる呪文」です。
色々考えてるうちに自然に出来上がってました。
勿論なくてもいいし、けどあった方がTRPG的には断然面白いかなと。
だってTRPGの醍醐味は戦闘ではなくてドラマにあるのですから。

またライズ本編ではラッコみたいに仰向けで色んな貝殻を割ることで様々な状態異常を引き起こしてきますが、現実的に考えてそんな貝殻はどこにも存在しないですし、あれはあくまでアクションゲームの要素なので、ここでは採用しませんでした。

シナリオフック

人魚の肉を食らわば八百年の寿命が手に入る---そんな古い言い伝えがあります。
人魚の肉は人魚の姿からでないと手に入れることは出来ないでしょうけど。
天下や権力を手に入れたい者がいて、もしその者の目の前に本物の人魚が現れたとしたら。

昔々或る漁村の村はずれに、漁師を営む男が住んでおりました。
男はかつて海で女房を亡くして以来、ずっと独りです。
そんな彼が近頃なんだか様子がおかしい。
しかもどうやら最近になって若い女と一緒に住んでいるらしい。
噂では、その女はかつて嵐の海で亡くなった女房にどこか似ているとのこと。
一方、近隣の漁村では怪物騒ぎが起きていて、網が破られたとか漁師が食われたとかいう話が聞こえるようになり。
そこで地元藩主が討伐隊を派遣したところ、噂の怪物とやらを半死半生で捕まえたとの知らせ。
その怪物を一目見てみようと足を運んだ漁師が目にしたのは、全身傷だらけで横たわる女房似の女性でした。
しかし討伐隊の侍は、今は女の姿をしているがそいつが怪物だと言います。
漁師はそんな話をとても信じることが出来ないので、どうにかして彼女を助け出そうと躍起になります。

イソネミクニの真相その1はこうです。
ある嵐の激しい夜、イソネミクニは里外れの漁師小屋がやけに騒がしいことに気付いて隙間から覗いたところ、藩主と数人の侍によって若い女が手込めにされる場面を目撃しました。
藩主らが出て行った後、小屋に入ると女は気を失ってます。
そこでイソネミクニは女の姿を借りてまず人間に化けたのです。
そして女を食ってから、次に里に行って他の人間を食らうことを考えました。
しかしそこへ、出て行ったはずの侍の一人が何故か戻って来ました。
侍は藩主に命じられて、女に事をバラされては困ると、殺しに戻ってきたのです。
嵐の中の大立ち回りの末、イソネミクニは頭を激しく怪我したものの、女の姿のまま逃げることに成功しました。
不幸なことに乱暴された女は、騒動の中で刀を浴びて息絶えてしまいます。
そしてイソネミクニの方は刀傷が災いしたのか、女の姿から元の姿に戻ることが出来なくなってしまいました。
その後、破壊された小屋で女の亡骸が見つかり、下手人不明として話題になります。
一方イソネミクニはひと月ふた月と人間の姿で過ごしたものの刀傷は一向に癒えず、そのままでは海に戻ることができません。
そうこうするうちに夜の浜で倒れてしまい、そこを偶然通った一人の漁師に助けられます。
その漁師が小屋で殺された女の亭主でした。
海に戻れなくなったイソネミクニは、その漁師を食ってしまおうかとも考えたものの、手厚く看病してくれて美味しい魚介をいつも食べさせてくれる漁師に、かつて一度も感じたことのない不思議な感情を抱いて混乱してしまうのでした。

イソネミクニの真相その2はこうです。
漁師村で怪物が現れたという噂は、実は海に残っていたもう1体のイソネミクニの仕業で、嵐の夜以来戻ってこない仲間を探していたのでした。
小屋で女に狼藉を働いた侍のひとりは或る日、死んだはずの女が浜を歩いているのを目撃します。
もちろんイソネミクニの仮の似姿です。
そしてその女が怪物と一緒にいるところを見たことで、藩主に相談し、女を監視することにします。
そうするうちに数日経ち、再び一緒にいる所をついに討伐隊に押さえられることになるのです。

以上、思いつくまま綴ってみました。
最終的な展開としては、火で燃え盛る藩主の館を舞台に、不老長寿を得て更なる実権を握ろうと目論む狼藉藩主と、人間に対して復讐心に燃えるイソネミクニとの大立ち回りをメインにしたいところです。
うーん、モンハンの雰囲気なんてどこにもないですね。
あくまでクトゥルフのシナリオフックということでご勘弁ください。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
ライズモンスターのクトゥルフナイズは残すところあとひとつです。

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