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住宅マニアの独り言

住宅マニアということになるだろうか。
マニアのつもりはなかったけど、間取り図や家の内装を見るのがかなり好き。
古くは10代の頃から、新聞折込の不動産チラシをチェック。
そしてテレビの住宅訪問系番組。
リフォームの過程を見せる番組も大好物。
YouTube全盛の今、一般人の「内見動画」「ルームツアー」も日々量産されている。その玉石混交のなかに、面白いものを探している。
その他のSNSでは、たとえばハッシュタグ「#書斎リフォーム」などピンポイントなワードで供給される、動画や情報を眺めるのも楽しい。

いろいろ見ていると、良く言えば目が肥える。言い換えれば、ウザい批評家もどきになっていくのを自覚せざるを得ない。
「めっちゃいい」と思う場合ももちろんあるが、
「ふつうだな」「もうひとひねり欲しい」という余計なお世話、ついには
「土地と予算を生かし切れてない」「建築士、本気出してると思えん」
などと、いやホントすみません、独り言なんで。

そしてわたしはなんとなく気づいた。
誉めたくなる家、そうでもない家の違いを。

たとえば、広大な敷地に建つ、中庭を囲むかたちの平屋。
高級旅館の離れのような自然と調和した雰囲気、余裕ある贅沢な間取り。
ここの設計、ある意味楽勝だったのでは?と思うのだ。
注文住宅であれば、個室の数や広さはもちろん、日当たりや立地、家族構成により異なる家事動線や収納、その他庭や駐車スペースなどなど、無数の課題に頭を悩ませ、家族会議して、建築士さんに相談しまくり、時間をかけて作っていくと思うけど、それらがかなり軽減される二大要素が、
「資金」と「面積」。
当たり前だけど、この2つが十分にあれば、自由設計もストレスフリーに違いない。そういう恵まれた物件は、動画をチラ見するだけでも伝わる。いわゆる豪邸。
だがしかし。
もはや豪邸は、目の保養にはなっても奥深さが足りない。(こう思ったらマニアの仲間入り)
そのことに気づいたのは、豪邸の真逆「狭小住宅」の面白さを知ってからだ。

なかでも一戸建ての狭小住宅は、その土地面積に反して情報量が半端ない。
三角地に建つ、8等分したケーキのような鋭角を持つ家。
スキップフロアが幾層もあり、結局何階建てなのかわかりづらい家。
壁で仕切らずほぼワンルームの状態、そこに大家族が暮らす家。
どれも、外観を見て、絶対この家ふつうじゃないと想像がふくらむ。
中に入った瞬間、想像した以上にふつうじゃなかったと確信する。
ワクワクが止まらない。

限られた空間に、どうしても盛り込むべきものはある。
そのギリギリの攻防、切羽詰まった状況からひねり出される、新しい発想や工夫。
完成後、出来上がったパズルを自慢するかのような、住人の笑顔。
そこに至るストーリーに拍手を送りたくなる。
克服すべき問題からスタートするという点ではリフォームやリノベーションも同様で、近年それらが流行っていることも興味深い。

夢の豪邸より、現実と向き合う狭小住宅。
でも、当事者になるとしたら微妙だなー。

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