2024年皐月賞考察1

 トライアルが終了したばかりでまだ登録馬は確定していませんが、その前に毎年気になる共同通信杯直行組について少し書いておきます。

共同通信杯直行馬の勝利

 2012年のゴールドシップの勝利は、かなりショックというか「何で?」という疑問だけが残る結果でした。その後も2013年イスラボニータ、2016年ディーマジェスティ、2021年エフフォーリアが共同通信杯馬として、2015年ドゥラメンテ、2022年ジオグリフは共同通信杯2着からと、共同通信杯からの直行馬が何度も皐月賞馬になるというのは、以前では全く考えられない現象で戸惑うばかりです。

2012年

 2012年に何が起きたのかというと、言うまでもなくダービーが変わったという事に尽きます。開催時期は5月の最終日曜日、もしくは6月最初に日曜日という点は変わらずですが、それまでの「3回東京4日目(一時期だけ6日)」から「2回東京12日目」に変更になりました。この変化の影響が直接の原因なっているのは間違いありませんが、この変化と共同通信杯の関係がやはりよくわからないという事になります。
 そもそも共同通信杯はダービーとの関係が深く、勝ち馬からダービー馬を誕生させる競走だったはずですが、2012年以降は共同通信杯馬がダービー馬になった事は一度もありません。ダービー1着と2着の差がレース展開や騎手の巧拙や馬場がという一般的な見方をするファンであればそれでいいかも知れませんが、競馬番組理論というスタンスから見た現実は【ダービーを勝ちたいなら勝ってはいけない競走】というのが現在の共同通信杯です。

何が変わったのか?

 共同通信杯の開催週日は時々動いていますが、そこは恐らく問題ではないでしょう。では何が変わったのか?それは見ての通り単純明快でダービーの開催回数が「3回」から「2回」に変わったという事です(念の為断っておきますがここで言う開催回数は通常開催年の開催回数の事です)。

  2011年まで
  1回東京 共同通信杯
  2回東京
  3回東京 ダービー

  2012年から
  1回東京 共同通信杯
  2回東京 ダービー

 2011年まではダービーから見た場合、二つ前の東京開催に当たるのが1回東京でした。それが一つ前の東京開催になった。馬券を買う側には特に何かを意識する必要がない非常に些細な事ですが、結果としては劇的に変化しました。ダービーと共同通信杯の位置関係、つまりダービーから見て二つ前の東京開催というのが重要だったのではないか?という推測をしてみます。

 その推測から2012年の時点で【ダービーから見て二つ前の東京開催】はどこになったのか?と言えば、それは前年の5回東京開催という事になります。では、その5回東京開催に何があるのかと言えば、それは東京スポーツ杯2歳ステークスです。

  2012年から
  5回東京 東スポ杯2歳ステークス
  1回東京 共同通信杯
  2回東京 ダービー

 2012年に前年まで共同通信杯が位置していた【ダービーから見て二つ前の東京開催】というポジションを手にいれた2011年の東京スポーツ杯2歳ステークス馬ディープブリランテがどうなったのか?初めて東京スポーツ杯2歳ステークス馬としてダービー馬になったという事です。要するに【勝ち馬からダービー馬を誕生させる競走】に生まれ変わったという事です。ディープブリランテの共同通信杯2着という結果は、ダービー馬になる為には共同通信杯と東京スポーツ杯2歳ステークスのどちらを勝っていい競走なのかという事をストレートに伝えてくれているのではないでしょうか?(共同通信杯は勝たなくていいという事)

新たな関係が誕生

 ダービーが「動いた」結果、東京スポーツ杯2歳ステークスの新たな関係が誕生し、その結果としてダービーと関係が切れた共同通信杯は今度は皐月賞との新しい関係が誕生したというのが2012年のゴールドシップの勝利なのではないかと思います。何かとの関係があった競走がその関係が切れた後、今度は違う競走との関係が誕生するというのが競馬番組のあちこちで起きているというのでは?という推測は「競馬番組を読む」の醍醐味の一つなのかなと感じます。
 2019年の高松宮記念馬(外)ミスターメロディーが勝った2018年のファルコンステークスが2017年までのファルコンステークスとどう違うのか?というのを見てもらえば、その一端を垣間見る事が出来るのではないかと思います。

 という事で、話がちょっと逸れた感もありますが、今年も共同通信杯から直行するジャスティンミラノ、ジャンタルマンタルは(来るかどうかは別として)要注目です。

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