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デエビゴを飲んで外を歩いたアホ

 朝にデエビゴ(眠剤)を飲み、その直後に外出をする。これ以上に愚かな行いはないように思える。なんの目的があってデエビゴを飲んだのか正直なところ自分でも理解していない。

 今日の予定は3つあった。スマホの使用料金の支払いと役場と病院。
 スマホの使用料金の支払いはコンビニですぐに終わらせられたが役場に着いた頃にはどうも体がふわふわして異常をきたしかけていた。その時に手足がとても温かくなっていたのもデエビゴの作用で、窓口で話をしている時にうつらうつらとしてしまっていた。そのせいか今日は職員が怪訝な顔つきをしていたように思える。どう考えても自業自得だが。
 役場を出て病院に着いた頃にはもう眠気は無かった。やはりあくまでリラックスしていないと眠剤は大して効かないということなのだろう。

 帰路に着いたら、まあここまで来たらもうデエビゴとかは恐らく関係ないだろうけれど、過去の余計な記憶を思い出しながら歩いていた。
 そういえば今履いてる靴は2年前に失恋した時にも履いてたな。この靴でバイトをしていて、安物だからか靴底がペラペラで足の裏が今みたいに痛くなったな。2年前って──。
 こんな調子で芋づる式に記憶を掘り起こす愚行を毎日繰り返している。2年前の記憶なんぞ現在において何の役割も持たず、むしろ足を引っ張るだけなのだから本当にさっさと忘却したい。
 そう思っても精神に深く傷をつけた出来事の思い出は、脳は簡単に手放してくれないのだろう。たとえその記憶を保持していることで自分自身が生きにくさを感じて悲観的になろうとも、脳は他人事のように振る舞うつもりなのだろう。この肉体が滅びれば貴様も死すというのにまったく呑気なものだ。
 それともそんな余計なことを思い出す暇もなく脳を酷使してやれば自ずと忘却してくれるだろうか。それならそうするけどこのやり方は脳だけではなく肉体への負担があまりにも大きすぎる。そうでもしなければならないのならそうするけども。

 この壁に行き当たった時にすぐにODに頼らなくなったのは明らかな成長と捉えても良いはず。
 まだまだ薬は手放せられないけれど、ゆっくり少しずつ前に向かって歩けているのなら、今はそれ以上を求めるべきじゃないのかもしれない。

 なんでデエビゴを飲んで外出した話からこんなに広がってんだよ。

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