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記事一覧

俳句連作 雪 (斉藤志歩)

スコップに凭れて雪の多きを言ふ 水洟の引つこんでまた出てきたる 行列に襟巻の房もてあそ…

怪獣歌会
5年前
3

短歌7首連作 ヘレネ、手をつないでいて。 (川野芽生)

白鳥は軍船なれば集ひ来て啄めり岸にひらける傷を 天の堰をあふれて雪は降るものをつね犠牲〈…

怪獣歌会
5年前
20

短歌7首連作 喩〈ゆ〉ではない(山城周)

魂のようにレモンは腐りゆき切り落とすとき片刃が光る 窓ガラス殴られがつがつがつと沸き騰が…

怪獣歌会
5年前
3

短歌7首連作 酸化街(鳥居萌)

八時間/日〈フルタイム〉で寿命を売る契約をした 人間〈ひと〉をやるにはこうする他なく 小…

怪獣歌会
5年前
6

【笹井宏之賞応募作】山城周50首連作「あるいは象徴が」(あとがき付き)

飛ぶあいだねむっていいというように暗くなると誰も喋らなくなる (この席にお座りになる方は…

怪獣歌会
5年前
5

鳥居萌30首連作「Speed of Light」(歌壇賞応募作)

光あれ そして光子が先へ行く あらゆる星を後に残して 遠景 街は乾いた日を浴びて夏の記憶を…

怪獣歌会
5年前
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【歌壇賞応募作】山城周30首連作「山羊と羊」

長母音やぼったければこのごろは突発過眠症【ナルコレプシ】と呼ぶようにする 寝入りばなわたしのなかにいるわたしのなかに入ってゆくのはわたし 生きている魚食むここち洞穴のごとく大口あけさせられて 鱗うすくかたく歯につきやまずいる虫たちの翅こぼれだすまで 骨と骨のすき多くあり翅もてるものは通ってゆけるすきあり 治療だとおもわず休みなさいという声しみこまぬ合皮のソファ 休むとはねむりにあらずそのさきに脱けねばならぬ森暗くある 水飴にひふくるまれてひふでないひとのみ歩みゆるす夢ぬち