【グローバル×IPビジネス最前線】映画「RRR」大ヒット！インドエンタメ市場の実態とは？

2023年7月25日 12:08

こんにちは、MintoでIPプロデュース事業の責任者を担当している瀧口です。
Mintoは日本国内だけでなく、中国、タイ、インドネシア、アメリカなど、グローバルでIP事業を展開しています。今回は、ここ数年で注目が集まっている「インドエンタメ市場」について語っていきたいと思います。

エンタメ業界の次なる起点はインド

2022年、インド映画史上最高製作費7,200万ドルを投じた大作映画「RRR」が公開されました。インドを飛び越えて欧米や日本でも大ヒット＆ロングランを記録し、世界各国の映画ファンを魅了したことは記憶に新しいでしょう。7月14日には、インドで「RRR」よりもヒットした「K.G.F」が日本でも公開されました。日本人にとっても、インド発のエンタメが数年前より身近になっているのを感じます。

さらにグローバルなエンタメ企業でも、インドを絡めた事業展開の動きが活発化しています。
2023年5月に開催されたソニーグループの事業方針説明会では、次なるエンタメの起点をインドとして、成長戦略を発表しています。米動画配信「Netflix」も日本、韓国、そしてインドへ投資を拡大することを明言しています。

インド市場とは

国連人口基金の推計によると、2023年にインドの人口は14億2,860万人に達し、中国の人口（14億2,570万人）を290万人上回る見通しです。
さらに人口の約40％が16−24歳のZ世代が占めているのが特徴です。20代は世界標準のコンテンツを好み、30代以上は占いやクリケットなど、インドの土着のコンテンツを好むなど、世代間でのコンテンツ消費の違いも大きいようです。

■メディア消費動向

弊社は、テレビ視聴の動向として、過去1ヶ月に視聴したことがある人の割合を調査しました。オンデマンドTV・ストリーミングサービスが98%、生放送テレビチャンネルが96％と高い数値を見せました。
ストリーミングサービスでは　YouTube、Amazon Prime Video、Disney+ Hotstar、Netflix、Sony LIVが人気を集めました。
また、ゲーミングデバイスとしてスマートフォンを使用しているユーザーが2021年で83%と非常に高く、世界平均の45%と比較しても、モバイル化が進んでいることが顕著に現れています。

■ソーシャルメディア消費

ソーシャルメディアの調査ではInstagram、Facebook、Telegram、Snapchatなどが使われていますが、特にユーザー数が多くメジャーなのが「WhatsApp」です。

Mintoでは、2012年より自社制作したキャラクターのスタンプを、国内外の主要メッセージアプリに提供しています。2020年より「WhatsApp Messenger」内で自社キャラクターのアニメスタンプの配信も開始しています。WhatsAppでの開始に伴い、インドでのダウンロードは大きく伸びており、1億6,000万件を突破しました。

■インドにおけるキャラクターライセンシング市場

インド国内のライセンシング市場規模は12億6,000万米ドル（約1,700億円）とされています。エンタメ領域が4億600万米ドル（約540億円）、ファッション領域が5億9,400万米ドル（約790億円）、スポーツ領域が3,000万米ドル（約40億円）となっています。

インドのライセンシング市場は日本と比べるとまだまだ発展途上ではあるものの、近年は大きな伸びを見せており、今後も成長が期待される市場です。

人々の生活の質が少しずつ上がると共に、新しい商品カテゴリーを開拓し、様々な商品を発売するブランドやメーカーが増えているようです。

スマートフォンの普及に伴い、モバイルコンテンツの消費も拡大しており、キャラクターを利用した商品の需要は都市部と地方のいずれにおいても高いと言われています。

■インドの市場調査はコミコンから

インドではデリー、ムンバイ、ハイデラバード、ベンガルールの4都市でコミコンが開催されています。コミック、玩具、グッズ、ゲーム、映画、テレビコンテンツなどが一堂に会するインド最大のポップカルチャー体験イベントです。昨年は22万人以上の来場者が訪れ、2022-23年シーズンは、ライブイベントが華々しく復活し、史上最大の動員数を記録しています。市場調査を兼ねて出展と物販を行うIPホルダーも多いようです。