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「〇〇主義」のはなし

以前、喫茶店の隣の席で、友人との会話に花を咲かせる大学生くらいの女の子が、


「でも私ってほら、秘密主義者だから」


というのを聞いて、誰が点数をつけても満点くれるくらいとてもきれいなずっこけをしたことがあります。


秘密主義者の人が自分で「私、秘密主義者だから」ってばらすって。


本当の秘密主義者はそんなこと言いません。自分が秘密主義者であること、言いません。秘密主義者だから。


そんな上げ足取りの話はおいときまして。ずっと前から私はこの「〇〇主義」という言葉が気になって仕方がありませんでした。


主義という言葉。堅苦しく、壁を感じさせる言葉に聞こえませんか?


例えば採食主義者と言われる方々いますよね。動物性食品を食べないひとたちのことですが、この「菜食主義」という言葉、重苦しい政治的な派閥を思わせるような、同じ主義じゃない人を徹底排除するような寄せ付けない雰囲気を醸し出しています。


「私、採食主義者なの」


なんか重っ苦しいですよね。同じ採食主義者の人でないと友達になりません、関わりません、と問答無用にシャッター降ろされたような気持になります。しばらく立ち尽くすことになるんですよね。でも採食主義なんて言葉を使わずに、


「私、肉とか魚食べないで野菜ばかり食べる人なの。野菜が好きなの」


でいいと思うのです。主義なんて言葉使わなくてもいいんです。


これとは逆に「おれ、肉至上主義なんだわ」というのも


「肉好きっす。6畳のアパートで肉牛飼ってるっす。野菜は全部そいつに与えてるっす。こいつ食べれば間接的に野菜を摂取してることになりませんかね?」


くらいでいいのです。


「〇〇主義」の当人が同じ主義の人以外と知り合いたくないのなら別に使うのは構わないですが、そういうつもりがないにもかかわらず、自分のことを話す際に「主義」という言葉を使うことははっきり言って人間関係を築くうえでデメリットしかないのでは、と思います。


というわけで、冒頭の女の子の言葉も比較してみましょう。


「私、秘密主義者だから」


これを変えて


「私、自分のこと話さない人だから」


どっちもイラっとくるのは私だけでしょうか。


主義がどうのこうの以前の問題でした!




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