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博士課程を振り返って

今回は、私が体験した博士課程について勝手に振り返りたいと思います。普段は、量子技術に関連することを書いていますが、今回は少し趣向を変えてみました。アドバイスを書くわけではありません。そもそも、そこまでできた学生ではなかったので、アドバイスなんてできません。。。単純に振り返ってみるだけです。(アドバイスっぽく仕上がった文章もちらほら散見されますが、決してアドバイスしているわけではないです!)

博士課程に進学した理由

進学か修士で就職か

私自身も非常に悩みました。悩んだ末に進学を決意しました。ではなぜ進学を選んだのか。それは、研究が好きだったからです。もちろん、博士課程で実力をつけたい、将来は海外で働きたいなど色々と他の理由もありました。しかし最後に背中を押してくれたのは、研究が好きという気持ちが大きかったです。

博士課程を振り返ってみて

ただ振り返ってみると、博士課程の数年間は好きな研究を続けることができた幸せな時間だったというだけではなく、様々な能力を身に着けることができた期間だったような気がします。

そもそも、研究とは(かっこ良く言えば)世界で誰も知らない真理を明らかにする試みであり、様々な能力が求められます。博士課程の研究になると、その学生がその研究においては世界で誰よりも詳しいはずです(指導教員よりもです)。最後に頼れるのは自分です。そんな状況の中で、もがき続けることで様々な能力が養われます。

具体的にはどんな能力が必要になるのでしょうか。例えば、研究するには研究する課題や問題を見つけ出す力が必要です。研究テーマは空から降ってくるものではありません。自分で見つける必要があります。何が本質的な課題となっているのかをしっかりと見極める力が大切です。

研究課題が明らかになると、それを解決するアイディアが必要です。これも自身の頭でアイディアを絞り出すのです。そのためには、先行研究の論文を大量に読み、時には他の研究者と議論してもらったりします。思いついたアイディアのほとんどは使い物になりません(少なくとも私の場合は、、)。それでもさらなるアイディアを絞り出していくのです。

また研究は実験をしてデータをとって終わりというわけではありません。学会で自分の研究を話したり、論文という形で発表したりすることで初めて自分の成果が世界に知れ渡ることになるのです。このような成果を発表するということも重要な研究活動の一部です。特に研究成果は多くの場合、査読付きの投稿論文として発表されます(大学や分野によって違うと思いますが、査読付きの投稿論文が博士課程の修了要件の一部に組み込まれている場合も多いと思います。)。世界で自分しか知らない事実を文章やプレゼンテーションでわかりやすくかつ論理的に伝える技術が必要となるわけです。

そして、これらの研究活動は時に数年にも及ぶ計画になります。つまり、数年にわたる研究計画を構想および実行し、最終的に論文等の成果物としてまとめあげるというプロジェクトを実行する能力が必要となるのです。そしてこういった能力は、研究だけにしか役に立たない能力でしょうか。もちろん一概には言えない部分はあるとは思いますが、研究活動をするうえで必要となる能力は、どんな仕事においても普遍的に役に立つ能力だと思います。

お金編

博士課程在学中のお金のやりくりは、多くの学生にとって避けて通れない問題だと思います。そしてむしろ、お金の心配せずに研究に打ち込むためにも、早めに解決しておいたほうが得策です。

博士課程の学生ですと、多くの人にとっては学振が一番の候補となるかもしれません。また、近年では博士課程の学生に学振相当の支援を行うプログラムや、研究室の研究プロジェクトによってはそれなりの給与が支払われるリサーチアシスタント等の支援があるかと思います。また、授業料免除の申請なども積極的に活用するといいでしょう。

そしてこれは、全ての申請に共通して言えることですが、思ったより締め切りは早く来ます。指導教員に早めに相談するなり、学振の締め切りをしっかり確認するなど当たり前のことですが、早めの行動をこころがけたいところです。

論文書こう。一行でも書こう。

最後に伝えたいのが、論文は一行でもいいので毎日書きたいところです。例えば、実験系の学生なら実験に非常に時間がとられてしまうなんてこともあるかと思います。それでも、少しでもいいので、何か書きましょう。Texを立ち上げましょう!Overleaf開きましょう!筆が重いときは、本当に進みません。私も、一日実験室に閉じこもってくたくたになる日が毎日のように続いたりしていました。それでも少しでもいいので書くのです。個人的には、これを常に心がけて色々な意味でかなり救われた部分がありました。

博士課程の就活

最後に博士課程の就活事情についても少し書きたいと思います。内容としては、私の体験をもとにしたものです。キャリアに、ましてや人生に正解はありません。あくまでもひとつのサンプルとして読んでもらえればと思います。

企業かアカデミアか?

多くの博士の学生の方は、企業での就職かアカデミアでポストを探すかという選択肢を考えるかと思います。もちろん企業やアカデミアだけが全てではないでしょう。例えば、起業という選択肢もあるかと思います。実際、私の博士課程時代の友達の中にも起業して頑張っている人もいます。

選択肢は考えれば無限にあるのですが、今回は企業かアカデミアかという観点に絞って書いてみたいと思います。私自身は、企業とアカデミアの両方で就活を経験しました。そして、最終的に企業での就職を選択しました。

企業編: 博士の学生の就活は早期決着する!?

博士課程の学生の選考は、企業によっては修士や学士の学生に比べて早めにスタートする場合があります。特に、博士採用に積極的な製薬企業や化学メーカーはかなり選考が早めに始まります。

これは、博士の学生に関しては経団連が定めるの就活スケジュールの指針に縛られないからです。そのため、博士の学生を積極的に採用している企業は、一般的な学部や修士の学生の一般的な採用スケジュールよりも早めに始まることが多いです。また、当然ながら早めに採用活動を修了する場合が多く、気づいたら採用期間が終わっていたとならないように気を付けましょう。(企業への就職を考えている人は、D2くらいから就活に関する情報を集めだすほうがいいでしょう。)

インターンは行くべきか?

就活を行う中で、インターンに参加するかどうかについて悩んでいる人がいるかもしれません。インターンといっても、選考に直結するものもあれば、単なる体験の場として用意されているものもあります。

インターンに参加するべきかどうかという問いに答えはないのですが、私の意見では、インターンには行くチャンスと時間の余裕があれば参加するといい経験になるのではと思います。

私も、実際にいくつかの企業のインターンに参加しました。研究や開発職だけでなく、ビジネス職系のインターンにも参加しました。当然、自分の研究との両立という意味ではかなり時間的にも厳しいものになります。しかし、インターンでは普段の研究生活では関わることのない人との交流や、新しい経験をすることができます。新しい世界に触れてみるというのも、大事なことだと個人的には思います。

アカデミア編

さて、次はアカデミアでのポスト探しについて書きたいと思います。私自身の場合ですが、私は複数の大学の研究室からポスドクのポジションの話をもらいました。これらは、もともとの知り合いの研究室のPIの方が声をかけてくれたものでした。

もし、分野を大きく変えたいであったり、自分の研究室以外の人脈がほとんど無いという場合は、学位取得から逆算してできるだけ早めにコンタクトをとるようにしたほうがいいと思います。特に学振のポスドクの場合は、かなり早い段階で申請期限がくるので、応募を考えている場合は、気を付けたいところです。

いかがでしたでしょうか。あまりまとまりのない文章だったかもしれません。この記事の内容は、あくまでも私自身の経験に基づくものであり、あくまでも一つの参考にしていただければ幸いです。むしろ、定石にとらわれない大胆なキャリアを歩む博士の学生がたくさん増えることを多いに期待しています。