お久しぶりです。2019年に書いてたっぽいボツ作品です。タイトルは『ミスゼンシンキョウ』らしい。

『ミスゼンシンキョウ』

朝がやってきてどうして私はくっきり映る自分のマン筋みてるんだろう。仕事行かないで、何してんだろう?
最近、ちょっと嫌なことありありで、全身鏡の前でまじまじと自分を観察するのが趣味になってたんだけども、知らんうちに朝から自己陶酔してた。職場にTERUしなきゃだけど、いいよね?彼氏とまったりしとこうと思うの、今日は。
おっきして排尿して、かれこれ一時間近く全身鏡の前にいる。どうだろう?男の子達に奉仕しなくていいのか、私の完璧な体よ。上半身は何も身につけていないおっぱいが人生みたく張って漲ってる。おっ立った乳首の差し示す方向に歩ってくと決めたよ。Aカップの私。ばかやろうー、ともあき。こんな私にしたのはあなたのせいよ。援交してたときの常連さんね。私の価値は段々と下がって行って最終的にバイエルンになった。スーパーでバイエルン買ってくれた。手の届かない憧れのバイエルン、て。憧れてる場合かよ。他のソーセージと噛んだ時の音が全然違う。なるほど。
私は一度全身鏡に背を向け、サっと振り向いて、全身鏡に映る私に「ぐう!」した。親指を立ててグッドポーズをとるよ。全身鏡の中の私綺麗?それとも私が綺麗?私はパンティをぎゅっとひき千切れるくらいに引っ張って、マン筋を際立たせた。恥ずかしい。やめて。恥ずかしくない?恥ずいからやめて水野千春。水野千春は私。怖い。怖いの。私は何もかもがが怖いし未練タラタラ。去年の水野千春に未練たっぷりよ。どうしてあのとき声をかけなかったのよお〜。あのイケメンカブトムシに。夏は大好きよ。夏生まれだからなのか、たくさんの虫が私に声をかけてくるわ。蝉は煩いから嫌いだけども。てんとう虫と付き合ってたこともあるわ?骨付きカルビを誕生日にあげたら死んじゃった。毎日泣いて過ごしたわ。でも今は笑って過ごしているけども。にっ、って私は全身鏡の私に向かってスマイルをしよう。だめ〜!まだしない、早いわ。女の子の笑顔はここぞってときのためにとっておくものよ。生き急いじゃ駄目。誰か私を審査して、高く評価して。この全身鏡に映る私を覚えておくように。約束よ。
あれ?全身鏡に私が映らなくなったわ。どうしてかしら?私はここにいないの?え?誰かに抱き締められた?そうじゃない、私は知らないうちに倒れてしまったみたいよ。水野千春の最新情報、倒れてます。たぶんね、四日前からダイエットしてて貧血でもしたかしら。マン筋から一直線に血の筋が走ってるから指でなぞってみる。どうやら生理がきたみたいね。私のほうから生理に近付いていったから早くきたわ。鳴ってる、鳴ってる。電話が鳴ってる。きっと職場からだわ。どうしてこないのって言われたら、全身鏡の前でミスコンテストしてるって素直に言わなきゃ、えーどうしよう、正直に言ったほうがいい?どう思う?もしもし、はい、はい。今日は体調悪くって、寝坊してしまいました。すぐ、すぐいきます、すいません。通話を切って私は再び立ち上がり、全身鏡の前で前屈みになってスマイル。可愛いやつ。ミスゼンシンキョウはあなたです。選ばれて良かったね。化粧して服着て職場行きます。

百円ください。お願いします。