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「頂き女子りりちゃん」の詐欺マニュアルが明かす、金を引き出す巧妙な手法


はじめに

「頂き女子りりちゃん」の逮捕ニュースを見て

先日、「頂き女子」を名乗っていた「りりちゃん」が逮捕されたというニュースを目にした。「頂き女子」とは、男性から金銭的な支援を得る女性を指す造語で、りりちゃんがこの活動を行っていたことが明らかになったのだ。

りりちゃんは、パパ活をする女性に対して、男性から現金をだまし取るためのマニュアルを販売していた疑いで、詐欺幇助の容疑で逮捕されたようだ。正直、「逆に今まで捕まっていなかったのか」と感じざるを得なかった。詐欺は立件が難しいため、本人は詐欺罪で捕まらず、マニュアルの販売で逮捕されたというのは、なかなか興味深い事件だと言えるだろう。

詐欺マニュアルの入手と内容の概要

そういえば、このりりちゃんが販売していたマニュアルを手に入れていたので、その内容について詳しく見ていきたいと思う。ただし、このマニュアルにはいくつかのバージョンがあるらしく、私が持っているものが逮捕の決め手になったものかどうかは定かではない。

マニュアルによると、「頂き女子活動」は大きく3つのステップに分かれているという。1つ目が「信頼関係構築」、2つ目が「お金を頂くための会話」、3つ目が「アフターケア」だ。全体で2万5000字ほどの大部なテキストだが、概要を説明していきたい。

1. 信頼関係構築

相手の心を掴むための会話術

マニュアルによると、まずは相手との信頼関係を築くことが重要だという。相手のことを理解したうえで、自分と話すと楽しいと思わせるような会話を心がけることが大切だとされている。

具体的には、相手のことを丁寧に聞き出し、相手の好みに合わせて会話を展開していくことが推奨されている。また、毎日LINEをすることも重要な布石になるようだ。これは後々の詐欺行為に活かされるためだ。

日常会話を重ねていく中で、相手の返信速度が上がってきたら、相手を積極的に褒めることも重要だと書かれている。「相手のことが好きだ」というスタンスで会話を進めることで、相手を自分の特別な存在だと思わせることができるとのことだ。

狙うべき相手の特徴

そして、マニュアルでは「エロ目的を表に出してこなくて、かつ友達が少ないおぢ」が狙い目だと指摘されている。つまり、孤独感を感じている、いわゆる「モテないおじさん」がターゲットとなるのだ。

このように、りりちゃんは相手の心理状態を見極め、丁寧なコミュニケーションを重ねることで信頼を得ようとしていたことがわかる。単に金銭的な目的だけでなく、相手の孤独な心情にも寄り添おうとしていたのだ。

2. お金を頂くための会話

金銭的な困窮を装う手法

信頼関係が構築できたら、次のステップとして金銭的な困窮を装う詐欺行為に移る。ここで先ほど述べた「毎日ラインをすること」が重要な役割を果たす。

具体的には、毎日ラインをしていた相手から急に返信がなくなることで、何かトラブルが起きたことを匂わせる。そして数日経ってから、「家賃を滞納している」「借金取りに追われている」などと嘘をつき、相手に「僕がなんとかするよ」と言わせるのが基本的な流れだという。

家賃の滞納理由など、狂言の設定を詳しく練ることの重要性や、一度に全ての情報を出すのは避けるべきで、少しずつ情報を明かしていくことで相手の理解を深めていくことが大切だと書かれている。

相手を引き込む巧みな言葉遣い

「金に困っている」ことは伝えつつも、「金を出してくれ」と直接的に言わないことがポイントだ。
代わりに、「おぢだから相談した」「金目当てではない」と会話の中で伝え、相手の方から「僕がなんとかするよ」と言わせるように誘導していくのが重要だと説明されている。

また、相手が「お金を出すよ」と言った際も、必ず1度は断ることが大切だとされている。そうすることで、相手の助け舟を引き出しやすくなるという。

このように、りりちゃんは詐欺行為を行うにあたって、相手の心理を巧みに操る言葉遣いを駆使していたことがわかる。

3. アフターケア

相手の満足感を持続させる方法

マニュアルによると、アフターケアも大変重要だという。アフターケアをしないとトラブルにつながりかねず、適切なアフターケアを行うことで、次の「頂き」につなげることもできるとされている。

具体的なアフターケアの内容としては、以下のようなことが挙げられている。

  • 相手のおかげでどう助かったか

  • 何にいくら使ったのか

  • これからどうするつもりなのか

  • 相手の助け舟がなければ、どうなっていたか

  • 将来を予感させるようなこと

これらを丁寧に相手に伝えることで、相手の満足感を持続させることができるとのことだ。

次の「頂き」につなげるテクニック

アフターケアを行った後は、また最初に戻って頃合いを見計らい、「おぢに嫌われたくなくて言ってなかったんだけど……」と言って、再び金銭的な困窮を装う。そして相手がパンクしたら、フェードアウトするのが一連の流れのようだ。

このように、りりちゃんは相手の心理を丁寧に操りながら、次の「頂き」につなげていく手法を確立していたことがわかる。一見すると冷酷に見えるかもしれないが、相手の孤独な心情にも寄り添おうとしていた一面もあったのだ。

おわりに

詐欺の手口に共感できない一方で、被害者への同情

このマニュアルを読んでいて最も印象に残ったのは、りりちゃんがおぢを馬鹿にしていないということだ。少なくとも文章上では、金を引き出す前段階でコミュニケーションを丁寧に重ね、相手の人となりを知ろうとしていた。単に「モテないおっさんにタカれば楽勝」というような冷酷な姿勢ではなかった。

「嘘をついて金を引っ張る」という行為自体は、普通の神経ではできないことだと思う。しかし、りりちゃんはそれに真剣に向き合っていたと感じられる。それがいいことか悪いことかは別として、詐欺の手口に共感できない一方で、被害に遭った人々への同情の念も湧いてくる。

孤独なおじさんを狙う詐欺の背景にあるもの

そもそも、頂き女子のターゲットとなっていたのは、「孤独で生きる意味を見出せない、モテないおじさん」だった。モテない人というのは、人と向き合うことに慣れておらず、自分を理解してくれる存在に惹かれやすい傾向にある。

向き合ってくれたのが詐欺師だったというのは、まさに皮肉な話と言えるだろう。頂き女子の被害に遭われた方々が、この経験を乗り越え、希望を持ち続けられることを願うばかりである。

孤独な男性を狙う詐欺の背景には、そうした人々の心理的な脆弱性が存在しているのかもしれない。この事件を通して、私たちはそうした社会的な課題にも目を向ける必要があるのかもしれない。

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