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2018年10月末:大成建設退職,起業

行動

1年程度悩んだ末に2018年10月に前職大成建設を退職
プログラミングを学びながら当時のアイディア実現に向けて注力

感想

いきなり起業はナンセンスだった。当時は以下のような頭お花畑ストーリーを想い描いていたがそんな甘いもんじゃない。

新規事業が当たってシードで数千万円調達。
順調に事業成長して毎年数億円の巨額調達を繰り返し、各メディアに露出しまくる。
IPO後は複数事業を展開し海外にも進出。

今すぐ捨てるべきキラキラ起業ストーリー

無い無い尽くしキャリアの人がいきなり起業することは避けるべき

今だったまず起業以外の選択スタートアップの実情を学んで、人的ネットワークを構築するだろう。

恐らく起業前に上述の目的を果たすには以下の選択肢があるので、今なら上場済みベンチャーに転職しつつ、アーリースタートアップを副業で手伝うと思う。

起業前に取れる選択肢とリスク,経験

理由は以下の通り。

  1. スタートアップの成長前後両方を同時に経験できる

  2. 起業後に直面する課題をリスク無しで経験できる

  3. 自身の起業時に役立つ知り合いが増える

    1. 共同創業者候補

    2. 先輩起業家

  4. もしアーリースタートアップが伸びて自分も気に入ったら転職してSOを貰える(かも)

    1. 当該SO資金と構築した関係性を元に将来起業できる

そして以下の理由からいきなりアーリースタートアップへの転職も避けた方が良い

  1. 一般的な企業と文化が違いすぎる

    1. あらゆる規定,制度が整っていない

    2. 定常業務がほぼ無い

  2. アーリースタートアップが求めているのはスペシャリスト

    1. エンジニア

    2. 特定事業ドメイン専門家

  3. リスクに対してリターンが少ない

    1. 倒産リスク大

    2. 薄給,福利厚生無し

    3. SOで得られるキャピタルゲインは多くて数千万円程度

      1. NPV換算したらマイナスの可能性高い

2019年7月:法人登記

行動

資本金:100万円
株式比率:共同創業者75:25小守谷
代表者:共同創業者
オフィス:シェアオフィス
備考:創業株主間契約書締結

感想

  1. 株式比率
    以下の2点を考慮するとシェアは[9:1]くらいまで傾斜つけても良かった。
    ・当初は共同創業者のアイディアで進めようとしていた
    ・将来的にEquity調達考えていた

  2. 会社設立に係る諸手続き
    freeeを使って自分で進めたのは良かった。
    幸か不幸か独立直後はそんなに忙しくないので自分でやれる。

  3. 自分の給料
    取締役の給料は基本的に1年間変更できないので、意外と気を使うポイント
    ¥200,000/月に設定したけどこれはもう少し下げても良かった。

    *給与設定時に意外とネックになるポイント:住まい
    この時ネックになるのが住まい。家賃は個人支出の大部分を占める。もし家賃¥70,000なら給料は¥100,000程度は必要になるだろう。
    資本金¥1,000,000スタートなら給料だけで10ヶ月、設立費用,その他費用も考慮すると6ヶ月持たないかもしれない。
    起業場所が実家に近いなら、見栄もへったくれも捨てて実家に住むことがオススメ。

    家賃を経費にすることもできるけど、起業の目的次第だと思う。
    私はスケールさせることを目指しているので、将来ジョインしてくれる仲間に合理的な説明をできないことはやっていない。

  4. オフィス
    コストだけを考えるのであれば自宅がベストだったが、人的ネットワーク構築の観点からシェアオフィスで良かった
    毎週,毎月開催されるイベントのお陰で効率的に人的ネットワークを構築することができた。スタートアップ界隈に知り合いがいない当時の自分にとってかなりありがたかった。

  5. 創業株主間契約書
    当たり前のことだが、弁護士と相談しながらきちんと締結していたのGood

2019年10月:最初の事業断念,生き延びることに専念

行動

最初の事業を断念してパッと思いついたいくつかのアイディアを同時並行で試すも、どれも上手くいかず2ヶ月後にキャッシュアウト想定。
相談の結果、受託開発をしてでも生き残ることに方針転換。

共同創業者のツテで初めての受託案件獲得し、同時に政策金融公庫から5M融資獲得

当初の事業アイディアから撤退したこともあって、株式比率・代表を以下の通り変更
株式比率:5:5
代表者:共同

感想

最初から[何が何でも生き延びる、使えるものは使う]の精神で受託開発をして足場固めに専念すべきだった
なぜなら[創業から1,2年で最も大事なこと=生き延びる]であるからだ。まずは生き延びることに注力すべきだ。

生き延びてさえいれば新規事業に挑戦し続けられし、新規事業に挑戦し続けていればいつか成功する時が来る。

ちなみにこの時、幸か不幸か最初の事業でEquity調達出来なかったわけだが、結果的に良かったと考えている。

[安易なEquity調達のリスク]

  • 事業失敗しても立ち返る経験が無い
    最初の事業が成功する確率は非常に低い
    いきなりEquity調達をして初期事業が失敗すると、生き残るための選択肢は追加のEquity調達にほぼ絞られる。しかしその様な状況で出資してくれるような投資家は極稀なので、八方塞がりになる可能性大。

    最初は苦しくても汗かいて自分で稼ぐ力を身につけた方が良い。
    自分で稼いだら将来Equity調達した事業がもしコケても立ち返る経験,自信がつくし、売上が一定程度立っていればDebtという選択肢も持てる。

    選択肢の多さ=生存確率の高さであることから、苦しくなった時に備えて少しずつ自分の選択肢を増やしておくのがbetter。タフチョイス!

  • 立場弱いからシェアの大部分取られる
    アイディアだけで実績,プロダクトも無いのに出資を受ける場合は多くのシェアを渡すことになる。

    創業時にいきなり調達するとシェアにどのような影響があるのか、2つのパターンを比較する。

    創業者A:アイディア段階で創業時に30M調達
    創業者B:アイディア段階では自己資金の1Mのみ
    *創業時以降は同じ調達金額,バリュエーション

2回目調達以降全く同じ条件だったとしても、シリーズB段階で16%もシェアに差がついていることがわかる。
特に創業時に調達した創業者AはシリーズAで既に持分比率50%を割っているので株主の影響力が大きくなっている。

*持株比率の重要性についてはこちら。ちなみに希薄化は許容してOKって意見もある。


ちなみに上の推移は順調にいった場合
起業当初のアイディアはうまくいかない場合が非常に多いので、初期事業が失敗したら創業者Aは次回調達で足元を見られて大幅に希薄化することになる。

他人資本がないと生き延びられない、創業者のシェアが低いとなると、最早実質的に雇用されているのと変わらない

やはり最初はある程度自分で事業回して、少し成長の芽があるなと思った時に初めてEquity調達をするのが無難。

そもそも事業開発の資金の出所優先順位は、
1.自己資金
2.Debt
3.Equity
である。
自己資金だけでは成長が遅いからDebtで賄う。Debtでも賄いきれないor引っ張って来れないからEquityってイメージ。

たまにEquity調達した資金を返さなくても良いお金と勘違いしている人がいるけど、それは頭お花畑にも程がある。投資家にリスクを取ってもらっている以上、相応のリターンを出す必要がある。

蛇足Tips

足場固め事業

参入障壁が低いレッドオーシャンの市場初期費用がかからず自分が汗をかけば稼げる事業が良い。
各種代行業,各種コンサルティング,人材紹介,受託開発などが該当する。

間違っても初期費用がかかり在庫の発生する製造業,輸入業などをやってはいけない。
やるとしてもある程度キャッシュが貯まってからにすべき。

ちなみに無い無い尽くし起業家にとって[レッドオーシャン=悪]ではない。当該市場で圧倒的リーダーになることは困難でも、誰でも参入できる上に、確実な需要がそこにはある。

例えば人材紹介業。
常にどこの企業,スタートアップも優秀な人材を探しているので、自分が汗をかいて色々な人,企業と知り合って彼らを繋げばこの課題を解決することができる。
だから人材紹介会社,事業はどんどん出てくる。

自分にスキルがなくても汗をかけば誰かの課題を解決できる参入障壁の低い事業は、食い繋ぐにはうってつけである。

制度を知る・使う

ただ生き延びるだけではなく少しずつ成長するために各種制度を調べて使うようにすると余裕が出てくる。

以下、有名なスタートアップが使える制度。

  1. 政策金融公庫の創業融資制度
    創業から2期以内であれば原則無担保無保証で借入できる。
    https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html

    この融資制度の申請は少し手間がかかるので、慣れてる税理士の方を紹介してもらって相談するのがbetter

  2. 各自治体の制度融資
    基本的にどの自治体も制度融資を行なっている。
    当社の登記している港区ならこんな感じ。
    https://www.city.minato.tokyo.jp/keieisoudan/sangyo/chushokigyo/kee/yushi.html

  3. ものづくり補助金
    採択されると1,000万円程度の補助金を貰うことができる制度
    https://portal.monodukuri-hojo.jp/

    この制度の注意点は以下の通り
    ・作成が大変。作成支援者を探して依頼した方が良い
    ・先行支出。先に必要経費を支払って、それが認められると補助金支給

  4. (コロナ前に創業した人のみ)持続化給付金
    コロナの特殊要因でしかないが、地道に汗をかいていた人は給付金を貰える。
    https://jizokuka-kyufu.go.jp/

制度を調べたり申請したりするのは非常に面倒くさいが、面倒くさがらずにきちんと対応すれば確実に事業のプラスになる。

発見した他の制度などを多くの起業家に共有してきたけど、面倒くさがってやらない人はいつの間にか音沙汰がなくなってしまう傾向にある。

やはり生き延びるためにも面倒でもやるべきことをしっかりやるのが大事。

健康に気を使う

自分の健康に気を使うことは必要不可欠。
よく食べ、よく寝て、よく運動しましょう。

起業は言わずもがな、ハードシングスの連続なので、SNSで賑やかなキラキラ起業家も実は夜眠れないような悩みに苛まれていることも多い

毎月銀行口座からお金が減っていったり、訳のわからんトラブルが発生する中で、それでも前を向いて頑張り続けるには身体的・精神的健康は必要不可欠である。

最初は何もうまくいかず焦る気持ちは理解できるけど、夜寝ないで無駄なタスクをこなすよりも、しっかり寝て元気溌剌に翌日色々な人と会って話をする方がよほど有意義。

最後に

起業はかなり大変だけど、腹を括って決めたのならやり切るのが大事
キラキラキャリアで頭が良い人、何だかよくわからないけどお金持ちな人、ピッチがやたら上手な人などパッと見すごい人は腐るほどいる。

でも結局泥臭くやり切れる人が一番強いと思う。
無い無い尽くしでも起業を決意した人は意志の強さが取り柄なので、地道に自分のできることをひとつずつ真摯に対応してやり切ろう。いつか道は開ける。(はず)

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