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拡張文字のアポストロフィ

右シングル引用符U+2019《》と同型のアポストロフィ'》で、ラテン文字などに使用される“アポストロフ”と呼ばれるU+02BC《ʼ》があります。近年ツイッターのハッシュタグで使用できるアポストロフィとして注目されてきております。

ラテン文字アポストロフ

ユニコードでは国際音声記号で“放出音”を示すアポストロフィ《ʼ》として〈U+02BC MODIFIER LETTER APOSTROPHE〉が使用され、ラテン文字で字母として扱われるものとなっております。
アポストロフは“Apostrophe”をフランス語読みにしたもので、英語読みのアポストロフィーと綴りが共通になっています。

拡張ラテン文字の用途としては、アゼルバイジャン語やソマリ語などで声門閉鎖音[ʔ]として用いられ、アラビア語やヘブライ語などの翻字にも用いられます。
日本語や中国語などでは字母と字母を分割する隔音記号[.]として用いられます。
オランダ語では曖昧母音シュワー[ə エ]を示す口語表記用字母として、アポストロフが使用される場合があり、アフリカーンス語用拡張ラテン文字ではU+0149【ʼn】が見られます。
ロシア語などスラブ諸語翻字では軟口蓋音化[ʲ]を示し、キリル文字の軟音符Ь・ь [ィ]》に対応しています。チェコ語ラテン文字にあるハーチェック付き字母《Ď [ヂ], Ť [チ]》の小文字がキャロンからアポストロフに変化した【ď , ť】となっています。

但し、英語やフランス語などで省略記号として用いられるアポストロフィはユニコードコンソーシアムの定義では〈U+2019 RIGHT SINGLE QUOTATION MARK〉が正しい表記とされています。

キリル文字アポストロフとギリシャ文字プシリ

キリル文字では、ウクライナ語やベラルーシ語で分離符[.]として用いられ、ロシア語の硬音符Ъ・ъ》と同じ役割となっています。
ウクライナ語ではアポストロフが独立した字母として扱われています。
硬音符が母音字となっているブルガリア語でもアポストロフが分離符として使用されています。

古典ギリシャ語ではア行の母音を示すプシリ᾿】がユニコードでU+1FBFに含まれ、省略記号としてのコロニス】と同型になっています。
プシリを含む古典ギリシャ字母は【 [ア]/ [エ] / [エー]/ [イ] / [オ] / [ル] / [ユー] / [オー]】などがあります。

インド系文字のアポストロフ

インド系文字では、アッサム語ベンガル文字ではオ音を示す母音記号として用いられ、母音字と母音記号表記では【অʼ / ◌ʼ】と示されます。
ボド語などデーヴァナーガリー文字表記では声調を示すために用いられ、母音字と母音記号表記では【अʼ / ◌ʼ】となります。

ツイッターのハッシュタグとしてのアポストロフィ

アポストロフィを含む作品名・商品名・グループ名が数多く生まれていることから、ツイッターではアポストロフィ付きの作品名を含むハッシュタグ作成は不可能と思われ続けました。

ハワイ語やトンガ語、ウズベク語などで用いられるオキナという逆さのアポストロフィがユニコードのU+02BB【ʻ】に配置されているものがハッシュタグ対応となっていることから、国際音声記号などの表記用のアポストロフィであるU+02BC アポストロフʼ】を使用して、両端を半角スペースで空けて、先頭にシャープ記号《#》を加えた固有名詞内にU+02BCを加えると表示可能となります。
アポストロフィを含む固有名詞ではバンドグループの【#Bʼz】や声優ユニットの【#μʼs】が代表例となっています。

他にも感嘆符!】と同型で、ユニコードのU+01C3に配置されている拡張ラテン文字である後部歯茎吸着音ǃ】もツイッターのハッシュタグで対応可能で、代表例では男性グループの【#MǃLK】や【#HeyǃSɑyǃJump】があります。