ユニコードの絵文字追加申請の新ルールのこと

ユニコードコンソーシアムにおけるユニコード絵文字新規追加申請のルールが一部変更されたことが発表されました。

ユニコードの絵文字追加申請は携帯電話絵文字発祥の地・日本以上に海外で盛んになっていて、絵文字の申請結果で一喜一憂になっている海外のSNSアカウントも目立っているものです。
ユニコード絵文字の10年以上もの歴史の中で、人物の肌の色変化や性別変更の実現など海外の絵文字文化が広まっている影響が感じられます。

ユニコード絵文字の追加申請はイギリス英語で文章を書く必要があり、英語の知識が必要となっています。

今回のルール変更で大きな影響が出てきそうで、申請が成功して絵文字が採用されるかどうかの分岐点で左右されそうです。

ユニコードコンソーシアムサイト内の絵文字追加申請におけるルールhttps://unicode.org/emoji/proposals.html
ユニコードコンソーシアムの技術リポートTR51https://www.unicode.org/reports/tr51/
ニュース記事https://news.livedoor.com/article/detail/22112741/

絵文字の追加申請の新ルールについて

ユニコードコンソーシアムの絵文字追加申請の第1条件として【パブリックドメイン画像の提示】あるいは【オリジナルのイラスト】であることが重要であります。

日本では著作権法の関係上、著作者人格権による保護により、権利者本人が他の権利者へ著作権を譲渡することによる放棄を除いて著作権は放棄できないことから、保護期間満了にならないとパブリックドメインにすることができない状況になっています。
ネット上にあるパブリックドメインになった著作物であっても、登録申請に使用する場合は画像の所持者に使用許可を得ることも大切です。

ネット上だけでなく多くのメディアで多用されているイラストレーター・いらすとやさんのネット上で配布されている画像は、特定の枚数を超えた場合に有料となることから、事実上の有償著作物=フリー素材ではない=パブリックドメインではないことも憶えておきたいことです。

日本ではオリジナルのイラスト投稿が合法的にできる手段で、絵文字にしたいモチーフのカラー画像とモノクロ画像も必須で、画力も大切なものになっています。

採用したい絵文字について、そのモチーフと既に採用されたメジャーなものの絵文字モチーフとの検索結果の比較やグーグルbingのサイトによる使用頻度による調査結果のスクリーンショットをコンソーシアムに送る必要があるのですが、日本では“非営利”であっても著作権法で認められた引用の要件に満たしていない場合のスクリーンショットのアップロードは“懲役10年以下・罰金1千万円以下ならびにその併科”となっていることから、グーグル社及びbingのマイクロソフト社からこれらのデータのスクリーンショットの転載許可を正式に得ることも大切です。

ユニコードに採用不可能なもの

ユニコード絵文字で採用NGとなっているものは、まず著作権が存在するあるいは商標登録されている【キャラクター】があり、海外ではアニメやゲームなど著作権で保護されたキャラクターの採用希望の声が目立っていて追加要望が多い現状です。
ドラマ『スタートレック』で使用されるジェスチャーであるバルカンサリュートは例外的に採用された絵文字であり、その一方で同作で使用されるクリンゴン文字は権利者側からアウトが出ているにもかかわらず、ユニコード追加の要望が年々高まっている状況です。
UCS/ユニコードのSMP領域ロードマップで既にブロック配置やコードポイント予約がなされているテングワール文字キアス文字は文学『指輪物語』シリーズ発祥の架空文字であることから現在もユニコードに採用できない状況です。

次に【企業】のマーク及び商標登録されているシンボルマークで、ツイッターインスタグラムなどネット上での有名企業のシンボルマークが外字で含まれているアイコンフォントが多数存在し、PUA私用領域のコードポイントでネット上のアイコンとして表示する方式があるのですが、かつてユニコードで日本の携帯電話絵文字を追加する際に特定企業用アイコン領域設定の要望があったものです。
例外的にビットコインのマークがユニコードの通貨記号領域に採用されたケースがあるのですが、カラー絵文字未対応の状況です。

古今東西の【特定の人物】や各宗教の【神様】の絵文字もNGで、かつて〈DILYANI BUDDHA〉という仏様の絵文字が追加申請され、UCSのβ版に採用されたのですが、諸事情で却下されいろいろなトラブルが起こりやすいことからコンソーシアム側から禁止されています。
日本の地図記号などで使用される仏教寺院のマークがチベット文字で使用される記号として採用されたのですが、諸問題でカラー絵文字にできない状況です。

ʼ22年の絵文字追加ルールの変更で新たに【国旗・地域の旗】の追加が禁止となりました。
改訂以前はなびく黒旗《🏴》とタグ制御記号との合成による地域の旗の絵文字追加申請が行われていました。

他にも【歴史的な建物】や【ランドマーク】の追加も禁止されています。