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短歌

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かりんに投稿した月詠などの短歌作品です。
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記事一覧

かりん 2023年12月

鉄塔 昇れば海の見える踊り場ひつそりと午前の庁舎の階にあり 学校と庁舎は似たりほの暗きタ…

加賀 塔子
5か月前
1

かりん 2023.11月

勤務風景 本日は青のしましまよく怒鳴る現場責任者の靴下は ボイラーの部品を包む新聞に刷ら…

加賀 塔子
6か月前
4

かりん 2019.12

侵食  加賀塔子ふたとせの時間をかけて癒えし身にふいに水滴、今度は友が 病といふ沼にひと…

加賀 塔子
2年前
5

かりん 2019.9 掲載作品

やがて生活となる  加賀塔子 土に沁みゆく秋の雨しんしんとあなたの声はわたしを濡らす 煮…

加賀 塔子
2年前
3

かりん 2019.05

無題 加賀塔子水面を蹴り飛び立つてゆく鳥のつよさできみの背を押せたら 大いなる天よりフォ…

加賀 塔子
2年前
2

かりん 2019.04 掲載作品

星めぐり 加賀塔子病だれにいまだ半身あづけつつねこじやらしなど欲してをりぬ さりさりと葉…

加賀 塔子
2年前
2

かりん 2019.02 掲載作品

無題 加賀塔子漁り火の灯らぬ港海底のやうなホテルの部屋に眠りぬ わが背割れやがて枝もち樹が生えむ思考するたび木化する骨 きつとわたしこの人を好きになるいつか 伸ばされた手の産毛がひかる 抱きしめるといふよりしがみつくやうな 溺れないやう雨音を蹴る まはりくる玉子の寿司の黄はけばくこの沈黙も流れてほしき 冬窓に化粧したる頰あてたれば窓は汚れぬしろく濁りて