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かりん 2019.9 掲載作品

やがて生活となる  加賀塔子

土に沁みゆく秋の雨しんしんとあなたの声はわたしを濡らす

煮ることと狩りは似てをり追ひ詰めて追ひ詰められしものの本質

かんがへたきときは煮るなり鍋の前こころゆくまで立ち続けをり

わたくしを煮詰めてゆけば何が残り何が消えるか小鉢を洗ふ

掃除機をかけるあなたの背に落ちるまつすぐな光秋のさなかに

ふたりでひとつのものを減らしてゆくことの秋のひかりに立つ歯磨き粉

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