コミュニティには、育成力がなければならない #コミュニティを考える

この2、3年で、一気にトレンドワードとなった『コミュニティ』。

今やオンラインサロンは有名人だけの特別なものではなくなり、地域コミュニティの活性化やメディアがコミュニティを作ろうとする動きも増えてきました。

しかし、私は半年以上前に『それは、本当に「コミュニティ」で解決すべき課題だろうか?』という記事を書いたときから、基本的な考え方は変わっていません。

より正確にいえば、考え方がアップデートされたことによってよりこの考え方は強固なものになりました。

それはつまり、コミュニティの本質は参加者からお金をもらって儲けることではない、ということです。

ただ課金がほしいだけであれば、有料コンテンツを販売する方がよっぽど手間もかからず簡単です。

それでもコミュニティを形成し、その居場所を維持するための費用を捻出しながら運営するということは、その先により大きな未来への希望がなければなかなかできることではありません。

目の前の数十万、数百万を儲けることではなく、そのコミュニティの中から新しいスターを出せるかどうか。

人工的にコミュニティを "作る"場合、これこそがコミュニティの価値を測るものなのではないかと思うのです。

この場合のスターとは、単に客観的に見て成功しているとか有名になったとかではなく、『そのコミュニティがあってよかった』と心から思っている人のこと。

どんなにささやかな理由だったとしても、『このコミュニティがなければ今の自分はなかった』と思ってくれる人がたくさんいることが、そのコミュニティの幸福度をあげ、『自分もそうなりたい』と思う価値観の近い人たちが集まるきっかけになっていきます。

先日読了した佐渡島さんの新刊「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜」の中にも、こんな一節がありました。

熱狂とは、成長することか成長を見守ることで生じる

この箇所を読んだ時、コミュニティに欠かせない "熱狂"という言葉の正体に気付かされたようでハッとしました。

つまり、熱狂とは昨日より今日、今日より明日がよくなる希望なのではないかと思ったのです。

また、私はこれまでその人自身が成長することしか考えていませんでしたが、もしかしてコミュニティに属するということは、本人だけではなく社会そのものの成長を願う気持ちもあるのかもしれない、と考え始めました。

そんな矢先に前述の佐渡島さんの言葉に『成長を見守ること』と入っていたのを見て、やはり本人の成長だけではなく、誰かの成長や活躍を見守りたいという人もいるのだと納得しました。

サクちゃんのいう『夢組と叶え組』の話にも近いですが、自分が何者かになりたいわけではなく、がんばっている誰かを応援したい。
それも立派な、未来への希望だと思います。

さらに言えば、ある分野では見守る側の人も、自分のフィールドではやりたいことや夢を追って誰かに支えられている側かもしれません。

人は白黒はっきりわけられるほど単純なものではないし、そのときの環境や状況によっても変わるもの。

ただ変わらないのは、自分か他人への希望こそがコミュニティの熱を上げるのだということです。

では、希望はどうやって醸成されるのか?

そのヒントとして、佐渡島さんの本の第3章に、「知るとわかる、できるとしているの違い」という図が載っていました。

人はできないところから、できるところへ直接移動するわけではない。「できる」から「できない」の間に、これだけの壁が存在している

多くの人は『できる』と『できない』の間は一段しかなく、ちょっと足を伸ばせば届くものだと思っています。

しかし、実際には目に見えない壁がたくさんあり、それが『できる』ようになることを阻んでいるのです。

これこそが、たった1回イベントに行ったり本を読んだりしただけでは人生が劇的に変わるわけではない理由です。

では、どうすれば『できない』から『できる』までのステップを順調に進めることができるのか。

私は、そのための環境こそがコミュニティなのではないかと思っています。

例えば、はじめの壁は『知識の壁』。

これはコミュニティが発信している記事や動画、開催しているイベントで飛び越えることができます。

次に、よりコミットを求められる集中型の講義や実際に手を動かす役割を与えられることで、『行動の壁』を突破できるはず。

行動すれば自然とそこから学びが得られるようになるので『気づきの壁』を越え、そのあとはとにかく数をこなすことで『技術の壁』を越えることができるようになります。

そして気づいたときにはその行動が意識せずともできるようになり、『習慣の壁』を飛び越えている。

この装置こそがコミュニティの役割だと思うのです。

コミュニティを運営する時は、ゼロから発想しようとせず、学校行事に置き換えることができるイベントを作っておいたほうがいい。

と書籍の中で佐渡島さんも書かれていましたが、まさにこの壁を突破するためのコミュニティが学校という仕組みです。

さらにいい学校は、OBOGが社会で活躍しており、それに憧れて入学する人も増えるという循環が回っています。

もちろんその学校に入ったからといって全員が東大にいけるわけではないし、官僚やお医者さんになれるわけではないように、コミュニティ内で自分なりの努力をする必要がありますが、『がんばれば自分もああなれるかも』というイメージがあることは、人の努力をより促進します。

私は常々『コミュニティには、育成力がなければならない』と考えてきましたが、育成力とはカリキュラムなどの仕組みだけではなく、希望をもつということなのではないかと思います。

これからは、大人も学びつづけなければならない時代。

どのコミュニティで学び、仲間を作るかが、その後の人生の豊かさを左右するのかもしれません。

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最所あさみ

Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!

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「現場からは以上です。」マガジン内のnoteが100を超えたので、2ndマガジンを作りました。 「地域の魅力とITの力で小売はもっと面白くなる!」をモットーに働く中で感じたこと、考えたことを書き連ねていきます。 (photo by tomoko morishige)
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コメント1件

コミュニティの本質について鋭く考察した記事ですね〜素晴らしい。保存版です!
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