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Netflixがディズニー帝国の牙城を崩すとき

こないだCEREAL TALKのPodcastでNetflixの常設店舗がオープンするニュースを取り上げたのだけど、そこでの話が面白くて、収録後に自分なりにあれこれ考えたことも多々あったので、備忘録としてのメモ。

40分のロングバージョンになってしまったのだけど、Netflixとディズニーについてかなり掘り下げて、IPビジネスとサブスクビジネスについても考察した回だったので、ぜひ私以外の二人の視点もPodcastでチェックしてみてください。(ちなみに終盤で、私がスターウォーズ未履修なことを告白したら二人からすごい勢いで責められるくだりもありますw)

トークの一部は、こちらの切り抜きでも聞けます!(なんか私すっごい疲れて見えるな???)

まず、今回のNetflixの常設店舗オープンのニュースのポイントは、これまでのポップアップの流れを踏まえると、常設店舗も物販というよりは体験を重視した、テーマパークのようなつくりになるだろう、ということ。

日本でもたびたびポップアップが開催されてきたのだけど、メインはオリジナルコンテンツの世界観に入り込む体験。そのうえでグッズ販売や飲食の販売もしている、というつくり。

ポップアップは基本的に入場無料でやっているようだけれども、常設店舗ではおそらく入場料をとって、半期や四半期ごとに体験の内容を変えていくかたちになるんじゃないかな〜と予想。さすがに物販とフード&ドリンクの売り上げだけでランニングコストと投資回収すべてを賄えるとは思えないので。あと、宮武さん情報によるとNetflixは解約率が低いので継続率向上よりも新規獲得に力を入れているようなので、すでに作品を見ていないと楽しめない場所をつくるところに投資するということは、継続率向上のためではなく、そこできちんとマネタイズしていく前提なんじゃないかなーという気も。

私がイメージしたのは少し前にオープンしたハリーポッターのスタジオツアー。実際に行ったこともあるのだけど、6,300円の入場料もテーマパーク価格だし、コースの途中にカフェがあり、作品にちなんだフードやドリンクが楽しめる設計と、コースのなかでの写真撮影のためにローブや杖を買いたくなるつくりもまさにテーマパークという感じだった。いわゆる「アトラクション」はないし、ショーやパレードがあるわけでもないので、ファンが一巡したあとのリピートをどうつくっていくかは課題に感じたけれど、Netflixの場合は作品の幅も広いので展開替えがしやすいつくりではじめから設計しておけば、そのあたりもわりとクリアできそうな気はする(ハリポタが今後どうしていくのかは気になるところ)。

なので、Netflixの店舗は「店舗」というより「テーマパーク」として捉えた方が、戦略の核が見えてきやすい気がする。と同時に、テーマパーク+配信プラットフォーム+コンテンツIPの3つのビジネスの組み合わせは、ディズニーとがっぷり四つで戦うことを示唆している。店舗オープンのニュースへの海外メディアの反応も、ディズニーへの言及が多々あった。

これは宮武さんが言っていてたしかにと思った部分なのだけど、配信プラットフォームとしてのサブスクビジネスは、完全にNetflixに分がある。ディズニー+は後発なのもあってか、いまだ赤字事業のままなのだそうだ。

ビジネスにおいて、顧客に直接アプローチできる独自のチャネルを持っているのは圧倒的な強みになる。Podcastでも話したけれど、ゆくゆくはNetflix上の視聴履歴をもとに、作品の関連アイテムをレコメンドしたり、広告としてリテールメディアのように運用していくこともできるはずだ。もちろん、店舗やポップアップイベントへの案内もできる。こうした情報を作品視聴後に出せるというのは、物販にしろ店舗にしろ、次の事業を拡大していくうえで大きな強みになるのではないかと思う。ちなみに、Spotifyでもアーティストページをスクロールしていくとそのアーティストのライブ情報やフェス出場の情報が載っていて、サブスクで聞いてライブに行くための流れが一応導入されている。NetflixにしてもSpotifyにしても、このあたりの情報をパーソナライズして表示できるようになるとビジネス的な面白さが一気に広がるなと思う。

あと、沼田さんの問いをきっかけに改めて思ったのは、IPビジネスにおける物販は大きく分けて二種類あるということ。ひとつは日常で使うことを前提とした、Tシャツやマグカップ、文房具といったもの。もうひとつは、普段は使わないけれど、世界観に没入するならば手に入れたいものだ。ディズニーなら耳やポップコーンバスケットだし、ハリポタならばローブや杖。どれも実用性はないけれど、体験の場に行くなら手に入れたいと思うものだ。

IPビジネスの面白さは、物販において後者のニーズがあるところだと思う。生活には必要のないものなのに、欲しくなる。モノ自体の価値ではなく、体験の質を上げるためのものとして購入される。実用性がないのに売れるというのは、小売やものづくりの視点から見るとまさに「魔法」だなと思う。

今のところNetflixが売っているグッズは、基本的に前者の実用的なものがメインだ。彼らは体験してもらう場を持っていないので、不必要なものを買ってもらうという「魔法」が使えない。しかし2025年に店舗がオープンし、体験の場ができれば、グッズのつくり方も大きく変わってくるはずだ。なんなら、Podcastでも言及した通り、グッズ展開を前提としたキャラクターデザインや小物使いなど、コンテンツづくりの方にも影響を与えることが予想される。

ただ、これまでのIPビジネスはファンタジー要素が強いものが多く、そもそも実写でIPビジネスに成功した事例も少ない。リアリティーショーや実写ドラマが多いNetflixが、世界観への没入とそれに付随する物販とをどのように設計していくのかは個人的にも興味深い。

また、Podcastではこの話とは別に、Netflixがスポーツのライブ配信に参入し始めた、という話もあわせて取り上げた。リアルタイム視聴が減っている今、スポーツは同時視聴が発生する貴重なジャンルだ。国内外問わず、その放映権は年々高騰しているという。ゆえにDAZNも値上げを繰り返さざるを得ず苦戦したりしているわけだけれども、その分野にNetflixが参入してきたのはなかなか面白い動きだと思う。

スポーツも、体験+物販+配信の三要素が大きな収入源となるビジネスだ(スポーツの場合はここに「スポンサー」という広告収入が入るわけだけど、配信プラットフォームをリテールメディア的に展開していけば、Netflixも広告も加えた4要素になるなあ、と思ったり)。配信の部分が抑えられれば、そこから派生して競技の体験や教室といったイベントや、それに付随するオリジナルグッズの販売にもつなげていけるのではないかと思う。スポーツはローカルとの結びつきも強いので、観戦ツアーみたいな商品もつくれそうだなあと思ったり。こちらもこちらで、ビジネスとしての幅が格段に広がる動きだと思う。

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という感じで、思ったことを思った順にバーっと書き連ねただけなので読みづらいかもしれないですが私なりに考えたり可能性を感じた部分を改めてまとめてみました!!!

CEREAL TALKは基本的に4人で話しているので一人あたりの喋る時間も短いし、何か思いついても別の話題に流れてしまったりだとか、収録が終わったあとであれ話したらよかった!と思うことも多々あるので、今後もPodcastを通して自分なりに考えたことをちょこちょこまとめて更新していこうかな〜と思っております!

Podcast、ぜひ聞いてね〜あとニュースレターもやってるよ!!!!

おしまい。

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