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"ファッション"とは、知的な趣味である。

ファッションや小売に関わる中で感じる問題のひとつが、世の中全体におけるファッションの地位が低いということ。
洋服が好きというとチャラチャラしているように見られるし、知的な層は見た目に頓着しないという空気があります。

特に故・スティーブ・ジョブスの「判断力を無駄に使わないために、洋服はいつも同じものを着る」という習慣が有名になってから、「ファッションにこだわるのはダサい」「いつも同じコーディネートの方がかっこいい」という風潮に拍車がかかったように感じます。

ただ、ほとんどの人はそこで節約した判断力を「今日のランチは何を食べるか」「夜はどこに飲みに行くか」に消費してしまっていて、ファッションとしてジョブズの哲学を真似ているだけなんだろうなと思わされることもしばしば。
であれば、一般人の私たちはもっとTPOに合わせて自分をラッピングするものを選ぶ方が、よっぽど最終的な成果に近づくのではないかと思うのです。

なぜIT企業の若手はみな同じ格好なのか」という記事の中でも「スーツを着てネクタイを締めていた」というだけで大企業好感度が高かった、というエピソードがでてきるのですが、悲しいかな人の印象は見た目でほとんどが決まっってしまいます。

よっぽど自分の哲学や信念が確立されていれば別ですが、ほとんどの人はTPOや自分をどう見せたいかを計算して自己演出の道具としてファッションを使う方が、賢い戦略なのではないでしょうか。

特に男性の場合はファッションによって自分の見た目が変化する機会が少ないので、洋服と向き合うきっかけがないままに適当な格好に甘んじている人が多いように思います。

しかし、本来ファッションはとても知的な趣味です。

なぜならば、洋服を選ぶということは、未来の自分がどうありたいかを決めることだからです。
そのためには自分の哲学や「こうありたい」という未来像を明確にもつことが必要で、それはつまり自分の判断軸を育てることにもつながるのです。

「洋服は一番外側の中身」と言われる通り、自分の内面を映し出す鏡がファッションなのです。

今はSNSを含めた自己表現の手段が多様化し、見た目で同じ記号を用いずとも、似た嗜好の人とつながりやすくなりました。
しかし、人がリアルの場で会う機会がある限り、見た目の印象というのは永久についてまわる問題だと思います。

例えば約束した相手がパリッとした素敵なスタイルで現れた場合、誰でも無意識に「大切に扱われている」という印象を受けるはずです。
反対に、ヨレヨレの普段着で現れたら、本当に信用に値する人間かしばらくは警戒してしまうはず。
見た目の印象は、そのくらい人に影響を与えるものなのです。

だからこそ、エグゼクティブを目指す知的な層こそもっとファッションに関心をもってほしいし、「素敵な格好をして映える場所」を作っていきたいとも思います。

そして「ファッション」をもっと知的な趣味として格上げしていきたい。

ひとつひとつのブランドやアイテムそれぞれにストーリーがあって、デザイナーが散りばめた気遣いや哲学を読み解くという知的な遊びとして、より多くの人に楽しんでほしい。

そのためにも、まずは改めてブランドの歴史や思想を勉強しなおして、晩餐会という総合芸術の物語を組み立てられるように自分自身を育てていきたいと思います。

「ファッションの地位を向上させる」というミッションは、私のひとつのライフワークです。

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ちなみに最近はメンズファッションへの興味が再燃していて、改めて雑誌も読み直そうかなあと思っているところ。

元職場の影響でラグジュアリーブランドに偏った知識しかなかったのですが、もともとレディースに関してはリアルクローズラバーなので、FukulowさんのDRESS CODE.や堀口さんのmonographはどんな雑誌より勉強になるしワクワクします。(Fukulowさんの「買い物同行」に同行してみたい!)

男女問わず、道行く人たちがもっともっとおしゃれになって、思わず振り返ってしまうような人の割合が増えるといい。
私の元気の源は、いつもそんな単純なこと。
自分が思う「素敵な未来」に向けて、今日も1日がんばっていきたいと思います。

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(Photo by ikepon

ラブグラフの応援も込めて、表紙写真にラブグラファーさんの写真を使用させていただくことになりました!写真使ってもいいよーという方はご連絡ください:)

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