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映画みたいな恋がしたい。

わたしはいつものショッピングモールの喫茶店でコーヒーを飲みながら
本を読んでいる
会社帰りに時々立ち寄ってゆっくりするのがわたしの贅沢だ
いつも30分くらい過ごして帰る
その日はそんなに客は混んでなく、私の他に5人くらいの客がいた
わたしはいつもの席でいつものように文庫を読みながらコーヒーを飲んでいた
しばらくするとコーヒーを飲み終わって会計に向かう男がわたしの席の横を通り過ぎた
わたしの席の横を通りすぎる時にわたしの机に2つ折りの小さな紙切れをスッと置いた。
わたしは一瞬意味がわからなくてぼうっとしていた。
男はそのまま会計をして店を出て行ってしまった
わたしは紙切れをおそるおそる開いてみた
紙切れには
「店を出て本屋に行き、本田保の『世界はまわる』を探せ」
と書いてあった。
確かにショッピングモールに本屋はあるし、本田保は小説家なのでその本もあるだろう。
でもこれはなんだ?
罠なのか?
わたしは周りを見渡した。
でも誰もわたしを見てはいなかった
いたずらか?
わたしはメモが気になり、店を出て本屋に向かった
本屋は喫茶店からさほど離れておらず、5分ほど歩いて着いた
本棚の中から本田保の本を探す
「ほ」の棚に本田保の本が数冊あり
その中に『世界はまわる』があった
わたしはそれを手にとって開いてみた
本を開いた拍子にメモが落ちてきた
わたしはメモを拾った
メモを開くと
「メガネの店員を探せ、名前はWだ」
メガネ?W?
わたしは訳も分からず、店員の中からメガネと名前にWがつく人を探した
そして
わたしはメガネをかけた渡瀬君を見つけた

それが今の夫である
何がどうなっているかは
想像にお任せするのは乱暴だろうか

ヒントは「世界はまわる」だった
いつでも世界は希望に満ちている
わたしたちはただそれに気づかないだけなのだ。

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