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XIIX「SUMMER STATION 音楽ライブ」@SUMMER STATION LIVEアリーナ」2023.7.28 ライブレポ

はじめに

 六本木ヒルズにて行われたテレビ朝日によるイベント「SUMMER STATION(サマステ)2023」その中の目玉イベントとして六本木ヒルズアリーナの特設ステージ「コカ・コーラ SUMMER STATION LIVE アリーナ」にて連日行われている音楽LIVEのうち、7月28日(金)に行われたXIIXのライブレポです。

本編&アンコール

1 タイニーダンサー 

 斎藤宏介(Vo.&Gt.)がエレアコを持ち、特徴的な低音ボイスで歌い始めたのは、先日リリースされた3rdアルバム「XIIX」の曲。自分の内のことを歌ったような歌詞が夕日が沈みかけた六本木の空に響き渡る。もちろん初披露なだけに観客は聴き入っている様子だった。「鳥たちの歌声が夕暮れの片隅で響いている」の歌詞はこの時間帯に合っていた。

2 ハンドレッド・グラヴィティ

 須藤優(Ba.)が跳ねるようなリズムのベースを弾き、斎藤がそこにギターで即興で合わせていく。少し合わない瞬間があるとお互い笑い合う感じもとても微笑ましい。これは昨年のツアー「in the Rough 1」と同じセッションで、どんどん激しくなっていったのちすってぃのカウントで曲に入るのもいつもの流れ。すってぃはカメラに向かってスラップでアピールし、斎藤は前へ出てギターソロを弾く。昨年のツアーで十分キラーチューンになった1曲だ。

3 E△7

 「体調は大丈夫ですか?何かあったら演奏何度でもやり直すんで遠慮なく言ってください。」「(SUMMER STATIONのこと)上質な夏祭りみたいでいいですね。夏休みの人手挙げてもらっていいですか?あーじゃあ夏休みじゃない人は?なるほど、俺らも一緒です(笑)」「こんなギロッポンのシャレオツなルービー(六本木のお洒落なビル)に囲まれて、風も心地いい中で野外でライブができるのいいですね。あと個人的にはここ(六本木ヒルズアリーナ)はM-1グランプリの敗者復活戦の場所ということでこの場に立てて嬉しいです。」

 斎藤によるマイペースなMCの後「少し落ち着いた曲を」という言葉に続いてE△7が披露される。これまでもこういったアコースティックタイプのライブでは毎回披露されているこの曲は、そもそもXIIXの結成前に斎藤が行っていた「SK's session」というイベントからある曲だけに手慣れたものだ。「夜の果てまで」という歌詞はすっかり日も沈んで暗くなった空にぴったり。ラストサビ前の「be alright」は歌い、一瞬のブレイクを挟んでからいっそう激しくギターをジャカジャカ鳴らすスタイル。

4 4:43 AM  5 曙空をみつけて

 斎藤がギターを置き、須藤が1人でベースを弾き始める。去年のツアー「SANITY」での谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)との共演も記憶に新しいが、完全に1人で弾くからこそ音源とは違い自由なテンポで奏でられる感じはライブでしか味わえない。そこから斎藤の気持ちの籠ったボーカルが加わり「曙空をみつけて」に。この2曲が入ってる1stアルバム「White White」リリース時に2人は「2人でできることを色々試したい」と言っていたがまさかベースとハンドボーカルのみでライブをするバンドなんて今までいただろうか。力強いファルセットと落ち着いた低音のギャップがいい。

6 Light & Shadow

 ギターを持ち替えた斎藤がルーパーを使用し、バスドラとスネアのリズムパターンをギターのボディを叩くことで録音する。そのリズムに乗せバッキングギター、サビの「Wow...」の部分も録音し、さらに録音したその自分の声に上乗せる形で2重に上ハモを重ねていく。この人は1人でどこまでやっちゃうんだ。そこにさらにエレアコの音を重ねてるのにも関わらず、かえってそれに負けないくらい重たいすってぃの音も際立つ。歌とギターだけでなく足元のスイッチングも加わり神業の域に達していたパフォーマンスだった。

7 LIFE IS MUSIC!!!!!

 斎藤「ギロッポンとションセツしようか。六本木とセッションね」須藤「ションセツ……?」そんな2人の関係性が見えるゆるいMCの後、「in the Rough 1」でもやったように斎藤がギターでリズムを取り、それに合わせて観客の手拍子を録音してルーパーで繰り返し流し続ける。そこに乗せて奏でられたのはライブでの定番であるこの曲。Bメロですってぃがステージの左右に移動し観客の手拍子を煽るのもいつもの景色だ。

8 アカシ

 斎藤が高速でギターを掻き鳴らし、すってぃがスラップベースでそれに応える。「in the Rough 1」と同じアコースティックアレンジのアカシだ。リリースが2年以上前なのでかなり昔のように感じるがこの曲も今回のアルバムの収録曲である。「ダイの大冒険」のエンディングテーマとして初のアニメタイアップとなった。2人だけで奏でられてるとは思えない音圧に圧倒される。

9 Answer 5

 続いてもロック曲のアコースティックアレンジが続く。1stアルバム収録ということもあり、2021年の無料配信ライブ「4th Floor」ではメンバー紹介をソロ回しで行う位置に置かれ、「in the Rough 1」ではアンコールの最後の曲に選ばれたほど、ライブの中で育てられた聴き馴染みのある曲だ。間奏のベースソロ&ギターソロでは須藤・斎藤両名がそれぞれステージの前の方まで移動しテレビカメラがバッチリその姿を映す。

10 月と蝶

 ここで先日リリースされたアルバムのリード曲。エレアコを力強く弾きながら斎藤が歌い始め「足りない」の連呼の部分はギターを弾かずアカペラになる。須藤のベースが入りイントロが始まると斎藤の「どうもありがとうXIIXでした。最後の曲です。『月と蝶』!」の言葉に会場が沸く。先日の地上波パフォーマンスや癖の強いMVが印象に強く残っているこの曲を、今日聴けることを期待していた観客も多いのだろう。ライブ初披露なのにバッチリ乗れていた人が多かった。2番サビの前のドラムのブレイクはベースのスラップで代用する2人編成ならではのアレンジ。演奏を終え2人が舞台を去るとアンコールを求める拍手が始まり。。。

EN. like the rain 

 ステージ上に戻ってきた2人の手には赤いバンダナ。闘牛するふりをしてふざける斎藤は「今日CD買うと付いてくるって言ってくださいと言われました」としっかり宣伝する。同時に配信されていることを受け画面の向こう側の人達にも呼びかける。リリースされたばかりのアルバムのことにも触れつつ「1曲だけ歌わせてもらいます」と言い弾き語り始めたのは「like the rain」。音楽へ向けた斎藤自身の言葉で紡がれるラブソングが響き渡る。

 演奏を終えたばかりの斎藤の口からまさかの言葉が出る。なんと、この時だけ写真撮影OK、SNSへのアップロードも可能だと。「(ユニゾンでもXIIXでも)こんなこと言ったことないから慣れないんですけど(笑)」と言いつつ、記者会見みたいと笑って婚約指輪を見せるポーズを取ったりと楽しそう。この後須藤の提案で「プロテイー(ン)」の謎の掛け声(月と蝶のMVで斎藤が筋トレしてるから?)で会場の記念撮影が行われ、騒然としたままライブは幕を下ろした。

おわりに

 TV局と六本木ヒルズのイベントということで、3000円というチケットの安さからも約1時間という尺は予想通りだったがその中身は予想以上のものが観られた。7月26日に渾身のセルフタイトルである3rdアルバム「XIIX」がリリースされたばかりではあるが、アルバムのツアーは8月と10月に控えていることもあり、本編はアルバム曲で挟む構成になりつつも多くの曲はまだ手札として伏せておくといういい塩梅のセットリストだったと思う。

 昨年は2人のみで回るツアー「in the Rough 1」が行われたし、「SANITY」ツアー本編のセットリストは2人のみで演奏する曲に挟まれた構成だった。そしてこれから、2人のみの編成と5人のバンド編成両方のライブが観られるツアー「2&5」がもうまもなく始まる。その前にこの2人のスーパープレイヤーのみで行われるライブが観られたことが嬉しい。そして逆にバンド編成でのライブも観たくなってくる。今回披露された曲はバンド編成で演奏されるだろうか、それとも2人のみで披露されバンドver.は10月のツアー「XIIX」までお預けだろうか。そんなことを考えるこのしばしの時間が、ただただ楽しい。
 

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