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【読書】ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで-宇宙の始まりと量子論

僕は宇宙がなんか好きです。

とはいっても、別に大学で専攻していたわけでもないし、すごい詳しいわけでもありません。っていうか、宇宙についてほとんど知りません。

全然知らないからこそ、「何がどうなってるんだろう?」って、ぼんやりと考えるのが好きなんです。

星も好きです。

日本に住んでいた時は星を見に行くなんてこともなかったのですが、アメリカにいた時にはよく星を見に行ったりしていました。特に流星群が来る時期には、星が綺麗に見える場所にいって流れ星を見に行っていました。

夜空を見上げながらぼーっとしてると、

「人間が生まれたのは当然...
それとも奇跡なのかな?」

「そもそも星や宇宙は、
どうやって生まれたんだろう?」

なんて少し疑問に思ってみたり。

でも正直、「宇宙や星がどう生まれた」なんてことも、「人間がどう生まれた」なんてことも、別に知らなくても困ることではないですよね。知らなくても、全然生きていけることです。

でも時には、当たり前と思っていることを疑ってみるのも、とても大事なことだと思うのです。

それでもって宇宙のすごさを体感するっていうか、そこから何か感じ取れるものってあるんじゃないかなと思います。

だって、太陽系の中でも人間の住めるような星は地球だけです。果たして、他の星達が持っていない、地球だけが持ってる魅力って何なんでしょう。

その一つとして地球は、太陽との適切な距離によって、水を「液体」として確保できていますよね。一見簡単のように聞こえますが、液体を確保するためには非常に難しい条件をく満たす必要があり、液体なくしては生命の誕生は難しいようです。

ともあれ、地球の表面の約70%を海で覆っているとのことなので、まさに地球は「水の惑星」ですね。

それに比べて、太陽に最も近い水星は昼は400℃に夜は−160℃という温度差があり、金星はさらに高い470℃と、とても人間が住める環境ではないようです。

これらの星たちは太陽との距離が近すぎるために、生命に必要不可欠な水が蒸発してしまっているんですね。逆に、太陽から遠い星の天王星や海王星は水が氷と化して、地表を覆ってしまっているようです。これでは生命が生きていくのはとても難しいですね。

さらに、地球は昼夜で温度がしっかりと保たれているのも特徴的です。他の星ではあまり見られない窒素(78%)と酸素(21%)で組成された大気もあり、体を作る酸素や炭素や鉄という元素があります。

数ある星の中で、地球にはこれほどまでに素晴らしい環境が整っている、そのように思えませんか。まるで地球が、地球だけが「生命が誕生する星」に選ばれたかのように。

それって当たり前なのでしょうか?
それとも偶然なのでしょうか?

ただただ、純粋な疑問。

宇宙ってなにがどうなってるの?

スティーブン・ホーキング博士とALS

そこで、「ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで」を読みました。

スティーブン・ホーキングです。

では、せっかくなので本の感想に入る前にここで少しホーキング博士の事を。知っている方も知らない方も。

スティーブンホーキング博士はオックスフォード大学を首席で卒業後、ケンブリッジ大学大学院の応用数学・理論物理学科に所属します。その後、32歳で最年少での英国王立協会会員となりました。

なんとその5年後には、アイザックニュートンもその職にあったという名誉あるケンブリッジ大学ルーカス記念講座教授に選出されます。

しかし、そんなホーキング博士は21才の大学生の頃にALS(筋萎縮性側索硬化症)を診断されています。

なかには覚えてる人もいるかと思いますが、2014年頃に「ALSアイスバケットチャレンジ」が流行していましたね。氷水を頭からかぶってALSの治療研究に募金をするチャリティ運動でした。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は身体全体を動かす筋肉や呼吸をするために使う筋肉等が痩せてしまい、力を失ってしまう病気です。運動ニューロン病の一種とされています。

次第に全身の動きが不自由になり、
移動は車椅子となり、
手足が動かなくなり、
言葉を発せられなくなり、
食べ物も飲みこめなくなり、
最後は呼吸困難になってしまう。

21才でALSと診断されたホーキング博士は40歳をこえた頃から発声が出来なくなってしまいます。それからは、車イスに装着しているコンピュータで文章を作り、その文章を音声合成装置に送るという会話方法をとっていました。

それから間もなくして、スティーブンホーキング博士は2018年3月14日、76歳で亡くなってしまいました。

実は、当時のALS患者の余命は5年程、ホーキング博士自身は2年程と告げられていました。ホーキング博士の場合、幸いにも病気の進行が弱まり、そこから50年程、彼は研究を続けることができたのです。

余命2年が50年。これも何らかの奇跡なのでは、と思ってしまいますね。

そして知っている方もいると思いますが、『博士と彼女のセオリー』 (The Theory of Everything)という映画も2014年から公開されています。Amazonプライムビデオだと無料で見れるので良かったら是非見てみてほしいです。僕の大好きな映画の一つでもあります。

この映画は元妻のジェーン・ホーキングの手記である「Travelling to Infinity: My Life with Stephen(無限の宇宙: ホーキング博士とわたしの旅)」を基に、ALSと闘病しながらも研究を続けるホーキング博士の半生と彼との出逢いを描いた映画です。

ホーキング役の役者さんの演技もすごい上手で素敵な映画でした。

(画像をクリックするとAmazonプライムビデオにとびます)

* * *

♢ 本について

この本はホーキング博士が亡くなってしまった直後に読みました。当時はアメリカに住んでいたのですが、わざわざ日本から送ってもらいました。それほどに読みたいと思える一冊でした。

この本を選んだ理由は、ホーキング博士が亡くなってしまった後に、彼が何を追い求めていたのか、どんな人だったのかを改めて知りたいと思ったからです。彼の本を読んだことがなかったので初心者向けのこの本を選びました。

この本は1988年に出版されています。約30年前の本ですね。本自体は約250ページと比較的に薄い本となっています。

しかし、それとは裏腹に内容はとても濃かったです。ホーキング博士はこの本を初心者向けに分かりやすく書いたとのことですが、それでも難しかったです。

難しいと言えど、「E=mc2」以外の公式を使わずにここまで宇宙のことを分かりやすく説明している本はそうそうないと思います。ゆっくりですが、読み進めていきました。

この本では大きく2つに分けて、「宇宙はどうやって作られたのか」、「どういう構造をしているのか」ということが書かれています。

こんな僕でも、「宇宙って一体全体何なのだろう?」という、漠然とした謎に少しだけでも近づけた気がして、読んでいてとても嬉しかったです。

それと、この本は、「スティーブンホーキング博士の宇宙論」だけではなく、彼の人柄や生き方といった、物事への向き合い方、人生についてのヒントも描かれている本だと感じました。

あ、それと基本的に本を読む時はメモを取りながら読みます。読み終わったら、感想とかを書いたり。

メモを取りながら読むのと読まないのでは、天と地の差があると思います。

人間は色々と忘れちゃう生き物です。

「書き残す」ってとても大事だと思います。

読んでる時に想ったことを、その時におもった言葉で。


宇宙論は難しすぎて、
本の内容をすべて理解することは出来ません。
いくつか気になったところだけ
僕のメモを基に書いていきます。

* * *

・宇宙の膨張と重力

宇宙は膨張し続けている。
遠い銀河ほど”速く”遠ざかっている。

これはフリードマンの3つのモデル。
「重力で膨張する宇宙は捕らえることは出来ないのか」というお話。

① 重力が宇宙の膨張に途中で追いついて減速させる
② 重力が宇宙の膨張のスピードに全然追いつかない
③ 重力が宇宙の膨張のスピードにあと少しで追いつく...でも膨張は止められない

* * *

・光の事象

光の事象は池に小石を落としたときに広がる、
あの波のように広がっている

・「絶対的未来」は事象(現在)が起きたことで影響されるすべての事象の集合

・「絶対的過去」は事象が分かれば、ある地点Pの出来事が予測できる

太陽が消滅したからといってその瞬間に地球には影響はしない。それは消滅した瞬間が上の図でいう未来光円錐(絶対的未来)の外側、事象の「他所」にいるから。

故に、太陽から地球までの距離があるために、光の事象が地球に届くまでに約8分かかる。

* * *

・時間のはじまりはビッグバン

今あるすべての科学理論は「時空がなめらか」で
ほぼ「平坦」であることが前提でつくられる。

銀河は元々皆、一点に集合して始まり(ビッグバン)があったとするならば、その特異点(すべての始まり)の密度(=宇宙の密度)が無限大となる。

密度が無限大となると
すべての理論が破綻してしまう。
予測も出来ない状態。
過去に何かが起きていたとしても、
論理的帰結も導けないので、
組み立てたモデルは捨てるしかない。

「時間の始まりはビッグバン」と言うしかない

* * *

・ハイゼンベルクの不確定性原理と量子力学

不確定性原理とは、「一方を正確にしようと思えば思うほどに、もう一方のものが不正確になる」こと

(例)粒子の位置を正確に測ろうとすれば、粒子の速さに支障がでる。

つまり、「粒子の位置と速度は
両方正確には測ることが出来ない」

これを良い意味で諦めて、
定式化することで”量子力学”が誕生。

= 粒子は「位置」と「速度」は持たない代わりに、
それらを統合した「量子状態」を持つ。

粒子はある面では”波”のように、確定した"位置"を持たずに
ぼやっと広がっているような感じ。

= 二重性

量子力学の特徴は「一つの観測から一つの単独の確定的な予測はしない」

そうではなくて、「起こりうる異なった結果とその頻度を予測する」

つまり、量子力学の予測の中では「〇〇はこれくらい起こるだろう。もう片方はこれくらい起こるだろう。」といった具合に予測が出来るけど、「次の回は必ずA」といった特定の予測は出来ない。

量子力学は科学の世界に
予測不可能性(無秩序)を持ち込んだ。

アインシュタインはこの考え方に猛反対。
もとは一般相対論が導いたものなのだけども、
宇宙が「偶然」に支配されていることを認めない。

「神はサイコロで遊ばない」

* * *

・ブラックホールとそのライフサイクル

1969年に「ブラックホール」という言葉が誕生。

昔は光の速さは無限大だと思われていた。
それが故に重力でさえ、
光のスピードを遅らせることは出来ないと。

光の速さは有限ということが分かってから、
「重力」は光に大きな影響を及ぼすこともあることが判明。

「十分な重さに物質が固く詰まった星」であれば、光が放出を出来ないほどの重力場を持てるだろうと仮定した。つまり、そこから放たれる光は、やがて重力に負けて引き戻されちゃう可能性がある。

= ブラックホール

ブラックホールの中心点は重力が無限大 = 特異点
空間と時間の終わりを意味する。

天文学者たちのチームが「ブラックホール」の撮影に初めて成功した。このブラックホールは、地球のはるかかなたの銀河に位置する。

撮影したブラックホールは直径約400億キロメートル。地球の直径の約300万倍という巨大さで、科学者たちからは「モンスター」と呼ばれている。

地球からは約5億キロメートル離れている。世界の8つの望遠鏡が連携し、撮影に成功した。「重力は太陽の65億倍あり、存在すると思われるブラックホールの中でも最も重い部類だ。大きさは太陽系全体を上回る。」とファルケ教授は話す。(上記URLから本文一部抜粋)

そもそも、星というのは大量の気体(水素)が凝集されて、崩壊に向かうときに形成する。

その気体の原子は収縮するにつれて、高速に原子同士がぶつかり合って、どんどん熱くなる。「衝突して、はね返る」ことで熱くなっていたけれど、最終的には衝突の限界を越えて、合体してヘリウムとなる。

= そこで放出された熱が星が光っている理由。

この「衝突と合体」で起こす熱は、「重力とつりあう」ように放出するために、星はある一定の期間は安定するものの、最後は水素原子を使い果たしてしまう。

面白いのは、「最初に持っている核燃料が多い星ほど、それを早く使い果たしてしまう」ということ。つまり、「重さが故にそれに合わせて、熱くなろうとして、さらに重力に合わせようとして水素原子を早く消耗してしまう」

= 質量とそれに相応する核燃料を持つ星ほど早く亡くなる

回転するブラックホールは
対称軸を持っていることをホーキングが証明。

ブラックホール = 元の物体の大きさ + 回転の速さ

ブラックホールに落ちた物体(人も含む)はその物質や粒子の種類に関係なくすべて失くなってしまう。唯一残るのがブラックホールに質量が加わるかどうかの「質量」その「エネルギー」のみ。要は、リサイクルされちゃうようなもの。

一昔前までは、
「ブラックホールから逃れられるものはない」
と考えられていた。

でも実際は、ブラックホールに吸い込まれるのはマイナスの粒子であって、プラスの粒子は放射線として放出される。重力はマイナスの粒子を引き込むけれど、量子力学によってプラスの粒子はブラックホールから逃避することが証明された。

よって、ブラックホールは「光る球体」のようなものと捉えることができる。= 「ブラックホールはそれほど黒くない」

「ブラックホールも熱を発する」= ホーキング放射

ブラックホールの特異点で何が起きているかを判明させることでビッグバンで何が起きたのか。ビッグバンの縮小版としてブラックホールをさらに研究した。ビッグバンの後に現れたあらゆる物質がどう生まれたのかを解く鍵となるかもしれない。

最終的に、
ブラックホールは極度に質量が小さくなると
その生涯が終わり消滅する。

・宇宙の起源とその運命

時空は有限であるけれども境界はない。
= 時空にははじまりがない

♢宇宙の大きさは2倍になれば、
温度はその約半分に下がる。

「温度」は
「粒子のエネルギー(速さ)」でしかない。

温度が高いと粒子の動きが速いために衝突した際に、異なった「粒子・反粒子」を作り出す大きなエネルギーを持っていて、なおかつその中で粒子&反粒子の衝突の際の「消滅」よりも「産生」が上回る。

温度が低い場合はエネルギーが足りないために、
この「消滅」が「産生」を上回ってしまい、
消滅に向かってしまう結果。

「ビッグバン」の時点はこの温度が無限大、
そして大きさもゼロ。


それから宇宙が
膨張していくにつれて温度は下がっている。

ビッグバンの1秒後 → 100億度
ビッグバンの100秒後 → 10億度(水素とヘリウム等をつくる)
ビックバンの数時間後 → 数千度(元素の生産は終わり、膨張していく)

無限の熱さから宇宙は始まり、
膨張とともに冷えていく。
膨張が止まってしまうと再崩壊へと向かう。

太陽も第2世代か第3世代の星。50億年くらい前に起きた超新星爆発の残骸の一部を含んだ「回転するガスの雲」から出来上がった。

それと、太陽は「少量の重い元素」を含んでいる。太陽を作った雲は、自分自身を吹き飛ばしたが、その「少量の重い元素」が集まって地球などの他の天体を作った。

そして、水素やヘリウムを利用して、転換しながら「炭素エネルギー」を作り、最後は酸素などの重い元素にも転換して「人間」などの有機体を作った。

地球も生まれてから、最初の20億年程は熱すぎて、生物が住めるような場所ではなかった。大気の中もほとんどが硫化水素だった。

30億年ほど経ってから生物進化の過程に入って、生命のおかげで硫化水素も酸素へと変わっていき、今の生命が生きていける環境に。

”地球という中くらいの大きさの星で、
平均的な恒星(太陽)のまわりを回っていて、
その太陽もまたありふれた
渦巻き銀河のはずれにあって、
その銀河でさえ、ほかに1兆個ある
"

 * * *

多くの宗教が
「神が宇宙のはじまりをつくった」と言うならば、
なぜ神はこれほどまでに
「最初だけ」を難しくして、
理解できないものにしたのか。

なぜ神は”始まりだけ”に関与したのか。

時間のはじまり
①無限大の密度
② 無限大の時空湾曲率

ホーキング博士が証明した「特異点定理」
(一般相対論でも通用しない次元)

「特異点」でも成立する科学法則が発見には
重力の量子論が期待されている

20世紀に誕生した「一般相対論」と「量子論」はどちらか片方では、宇宙のすべて(ブラックホール特異点やビッグバン)を説明することが出来ない。

しかし、どちらも「部分的にはあっている」ので、これらの部分理論を統合した重力の量子論を確立することができれば、宇宙の誕生の瞬間とともに宇宙の終わりを解明できるかもしれない。

ファインマンの経歴総和法
= 実数ではなく虚数を使った虚時間

「虚時間」=ある出来事に対して「実数」ではなく「虚数」を使う。

実数 ...どれでも1つとって2乗すれば、1つの正数が得られる
(2×2=4, −2×−2 = 4)

虚数 ... 2乗すると負の数が得られる
(" i " と呼ばれる虚数は2乗で「- 1」となり、2i は2乗で「- 4」となる)

虚数を使うことで、
時間の方向と空間の方向と同じ性質を持つ。
= ユークリッド的時間

ユークリッド的時間は、
初期に何が起きたのか、
宇宙の量子状態を知るためのものであり、
”特異点”の概念がないために科学法則は破綻しない。

”時間と空間は有限であるが、境界はない”

”特異点なし”

宇宙は完全に自己完結している。
外部のものに影響されることもない。
宇宙は創造もされず、破壊もされない。
宇宙はひたすら存在する。

こういった予測で使われるユークリッド的時間法は、「虚時間」も「特異点」もないことを仮定しているだけに、依然、生命の運命は決まっている。

だけど実際にはどっちが実時間でどっちが虚時間なのか。

今、人間が生きているのがただの想像からの観念にすぎず、「虚時間」と思っている考え方が、実は「実時間」かもしれない。

ホーキング博士はそれに対して、「それを考えるのは無意味。」「大事なのはどちらが有効な記述であるか。それのみ。」と考える。

ホーキング博士の最大の業績は、量子力学を受け入れ、ハイゼンベルクの「不確定性原理」と、そこから示唆されたファインマンの「経歴総和法」を宇宙論に取り入れ、アインシュタインの「相対性原理」を初めて超える宇宙論を確立したことである。とされています。

♢ 読み終わってみて

初めて宇宙論の本を読みましたが、とても面白かったです。冒頭にも書きましたが、宇宙論に関する知識だけでなく、ホーキング博士の生き方と人柄にも改めて感銘を受けました。

そして改めて、宇宙論の難しさを知りました。最後の章にも取り上げられていた、物質を「ひも」として捉える、「超弦理論」は理解に程遠い領域でした。

これらを理解出来る人の頭は一体どうなっているんだろうと素直に不思議に思いました。本当に尊敬です。

僕みたいな宇宙論の知識がない人にとって、これらはとても難しいので、"分かろう"とするよりも、"イメージ"しながら読むといいのかなと思いました。

それと、この本を読みながら、自分の人生の儚さを感じました。それはとても良い意味の儚さであると思います。宇宙規模の時間軸に比べたら、一人の人間の人生はいかに短いものなのでしょう。読みながらそんなことを考えてしまいました。

そして、この本を読み終えたとき、今目の前にある自分の人生を、より大切に生きたいと思いました。

兎にも角にも、この本はとても気に入ったので、今すぐにではなくとも何年後かにまた読もうと思います。売ることなく本棚に大事にとっておきたい一冊です。

ホーキング博士は亡くなってしまいましたが、彼は万物の理論の探求に半世紀を費やしました。そんな彼は、「答えが見つかるには長い月日がかかるし、見つからないかもしれない。でも探求することが大事。」と言っています。

彼の言葉や理論は宇宙だけに対するものだけではなく、「人生」にも何かヒントをくれているような感じがしました。

「ブラックホールに落ちても抜け出せる」もそのひとつだと思います。

彼が21才でALSと診断されて2年の余命宣告をされたときはまさにブラックホールに落ちたような気持ちだったと思います。それでも、そこから50年程生き長らえることが出来たのは、奇跡と重なって彼の「宇宙を理解したい」という純粋な好奇心とその強い想いがあったからだと思います。

僕は普段の生活のなかで直接的に宇宙論に携わることはありませんが、最初に抱いた「何がどうなってるんだろう」という”好奇心”を忘れないようにしたいです。

自分の知らない世界を本で知っていったり、その世界の人に話を聞いたり。自分の世界だけに縮こまっていないで、素直な心でもっともっと色々な世界を知っていきたいです。

「知る」って大事。

素敵な一冊でした。

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