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銭湯は戦闘 ①銭湯での心得

この記事は、銭湯が好きなアラフォー女性が地元の常連さんらの圧を軽やかにかわしながら銭湯を味わう真剣な戦いの記録である。

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ここ数年、Voice UIの勉強会を開きがてら、各地方に行き、そこのゲストハウスに泊まって地元の銭湯に行くという趣味を見つけた。今はコロナ禍でなかなか旅行は難しいが、ニューノーマル時代の私のライフワークにしていきたいと考えている。

しかし、この「銭湯に行く」ということが、割とハードルが高い。
行くと、常連さんの圧をお見舞いされることが多いからだ。
「見かけない此奴は誰だ?」
そんな視線を一身に浴びることが、よくある。

それでも、私は銭湯に行きたい。広い浴槽にゆったりと身を沈めたい。地元の人が愛したお湯を堪能したい。
でも、なるべく嫌な思いはしたくない。性善説は期待できない。
そうなると、自分の身は自分で守るしかない。

私が銭湯に向かう際に心得ていることがいくつかある。

いくつかのフェーズに分けてそれをしたためていく。

事前確認編

【事前確認編】
・事前にホームページ等を確認し、情報を得ること(定休日・料金・営業時間等)
・周辺のお店の情報も確認すること(ビールが飲める店があるか?等)

まずは、入念な情報収集が必須だ。

先日も、その情報収集を怠ったために、痛い目にあった。

それはまた後日書くとして、事前にネットでの情報収集は欠かせない。行ってみて定休日だった、営業時間外だった、ということは避けたい。

またサウナに入ろうと思っている人は、サウナが別料金かどうか、タオルを貸してくれるかどうか等も確認したほうが良いだろう。

そして、周辺のお店の情報も是非確認したいところだ。

お風呂上りに、銭湯内で缶ビール(アサヒスーパードライを置いてあることが多い気がする)を飲むことが出来るというのは最高だが、私のようなヘタレは常連さんらの井戸端会議に混ざることが出来る訳もないので、そそくさとその場を後にする。立つ鳥後を濁さず、である。

入浴前編

【入浴前編】
・なるべく大きいお札は崩しておく
・常連さんがいつも使っているっぽい感じのロッカーは使わない
・脱衣場の写真は撮影してはいけない
・ロッカーの鍵を他の人がどうやって身に着けているかを確認する
・身体洗い用タオル、フェイスタオル、アメニティセット、(サウナに挑む場合は薄いバスタオル)を忘れないようにする
・マスクと眼鏡は外すべし

お札を崩すのは、銭湯の番台さんへの気遣いだ。事前にペットボトルのお水などを購入して、小銭を準備する。

常連さんがいつも使っているかどうかは全く分からないが、これも勘を働かせるしかない。浴場のドアに近くて、使いやすい高さのロッカーは要注意だ。

そして、絶対に脱衣場や浴場の様子を写真に収めてはいけない。それはお断りしている銭湯が多いと思われる。

ロッカーの鍵のタイプも様々あるが、腕にしか付けないでしょというタイプ以外は、他の人がどうやって身に着けているか確認するようにしている。

先日、少し困ったのはやたら長い紐が付いている鍵だ。

「え・・・これはどうやって・・・」

と思い確認すると、乳間ネックレスのように首から下げるタイプだったようで、初めてお目にかかった。こういうこともある。

浴場に入る前に持ち込むものはなるべく1つにまとめておく。何回も出入りを繰り返すと訝し気に思われてしまう。

マスクと眼鏡も同様の理由で、顔の一部になっている人が多いと思うので注意されたし。

入浴時編

【入浴時編】
・荷物がない洗い場を選ぶ
・とにかく髪と身体を入念に洗う
・しかし、お湯を使い過ぎない
・後ろや横に泡やお湯が飛ばないように、気を遣う
・浴槽の真ん中にデンと構えずに、なるべく端に寄って、他の人も入りやすいようにする
・タオルを湯につけない
・他の人がたくさん入っている浴槽は遠慮しておき、空いたら入る
・人の話を聞かず、心を無にして、湯に浸かることに集中する
・話しかけられたら、挨拶と笑顔で対応する

まず、浴場に入ると洗い場を確保する。ロッカーを選択する時と似ているが、荷物がある/ないで見分けを付けて、洗い場を選択する。

「あら、荷物が見えなかった?」と言われることもあると聞く。

その洗い場の上も確認されたし。

そして、浴槽に浸かる前に必ず身を清める。しっかりと髪と全身を洗う。

しかし、お湯を使い過ぎてはいけない。入湯税は料金に含まれているとは言え、「たくさんジャージャー使うな」と叱られてしまった、というような話も聞く。髪を洗う以外でシャワーを使うと叱られるということもあるそうだ。都市伝説と信じたい・・・

なので、通常の感覚であれば問題ないと思うが、一応気を付けている。

そして、しっかりと洗っていると、どうしても泡が飛んだり、湯がはねたりするものだが、それも気を付けている。私は髪が長いので、髪を前に持ってきて洗い流すようにしている。

いよいよ、浴槽に浸かる時がきた。基本的には人のいない、または少ない浴槽を選ぶ。「もう!ゆっくり浸かれないじゃない」と常連さんに言わせないためだ。なるべく人が少ない方へ、少ない方へ。

そして、当然だがタオルを湯につけてはいけない。これも、この常識を知らない外国人に対して激おこしている常連さんを見たことがあるので、「優しく教えてあげたらいいのにな・・・」と思いつつ、私もその国の言葉が話せないために、怖気づいて助けられなかった苦い経験がある。今度そういう場面に出くわしたら、身振り手振りでも教えようと心に決めている。

湯に浸かっている間は、心を無にするのが一番である。人の話は聞いていても反応してはいけない。「この子、私たちの話を盗み聞きしてるわよ」となりかねないからだ。

優しい常連さんなら、話掛けてくる可能性もある。その時は、笑顔で対応する。

湯上り編

【湯上り編】
・身体と髪をきっちりと拭いて水分を最小限にしてからロッカーへ
・バスタオルで拭いている時も周りに水しぶきを飛ばさないように
・髪を乾かすのは3分20円のドライヤーが基本。3分で乾かす技術を習得
・長居は無用。忘れ物がないか確認して、サッと去る

ロッカーのところに水がびしゃびしゃになっているのは、誰しも抵抗がある。なので、身体と髪をきっちりと拭いて、水分がポタポタ落ちないレベルになってからロッカーへ行く。

バスタオルで髪を拭いている時に特に注意したい水しぶき。周りに迷惑をかけないように、そっと髪を拭く。優しい拭き方は髪にも人にも優しい。

髪を乾かす際にドライヤーを使うが、3分20円がベーシックなので、いかに3分で全体的に乾かすようにするかが課題だ。
私は、こういう順番にしている。

【3分で髪を乾かす方法】
①とにかくタオルドライして水分を拭えるだけ拭う
②ドライヤーは髪の内側から当てる
③その際、タオルを髪にかけて、わしゃわしゃタオルで拭きながらドライヤーを当てる
④内側が乾いたら頭の鉢の辺りを中心に乾かす
④髪の先は、最悪捨てる。乾いてなくても気にしない

この方法であらかた乾く。冬はちょっと厳しい部分もあるが、もし寒ければ、家に帰るまでニット帽をかぶればOK。風邪は引かないだろう。

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また、長居は無用。文句を言われた常連さんに二度と顔を合わせたくないし、複数人常連さんが集まったらプークスクスされる可能性もある。サッと去るに限る。

ここまで読んだ人は「え・・・銭湯こわ・・・常連さんこわ・・・」と思ったことだろう。

そうなのだ。常連さんは基本、よそ者に厳しいのだ。

当初は性善説で銭湯に乗り込んだ私が、あまりいい気持ちで銭湯を後にしないことがよくあるのは、常連さんのこの記事に書いたような言動に拠るところが大きい。

銭湯での流儀や注意点を理解し、常連さんはじめ他のお客さんにご迷惑をかけないよう、神経を逆なでしないよう、心と物理的な準備があった方が、最終的には、自分が傷つかないで済むと私は考えている。

決して、それを恐れて「・・・もう絶対、銭湯にいかない!怖いもん!」とならないで欲しい。説教されても、文句を言われても「すみませーん!(ニコッ)」と明るく謝ってその場を離れれば、それ以上は単独では、何も言ってこない。相手は縄張りを守りたいだけなのだ。(公共の場所なのに)
先日もやられた。「私が言ってやったらすぐ出て行った」と武勇伝にしていたのをこの耳でハッキリ聞いた。

もちろん、複数集まっての遠い場所からのプークスクスもある。「あーやってんな、話すことないんだな・・・」くらいに思っておけばいい。嫌なら早めに退散すればいいのだ。

もちろん、素敵な常連さんもいらっしゃる。私が会ったことがある常連さんで、人生の悲喜こもごもを聞かせてくださったお婆さん。このお湯は熱いから、あっちから順番に入るとちょうどよくなると入る順番を指南してくれたおばさん。本当に感謝しているし、優しい人もいるよねと思う。

私の心にあるモットーは「我は外様」という謙虚な姿勢である。縄張りを荒らされたくない常連さんも、謙虚なよそ者を牽制はすれども、それ以上は攻撃してこないだろう。

本当は、そういう意地悪な人が居なくなるのが一番平和なことなのだが、そういう次の良き時代のムーブメントを作っていくのは、今、20代~40代で銭湯やサウナが好きな人たちなのかもしれない。

私は、身体が動くうちはいろんな銭湯に「外様」として訪れようと思う。常に謙虚な戦闘態勢だ。しかし、負けるが勝ち。揉めては全ての思い出が台無しになる。いつでも明るく「すみませーん!」という準備は出来ている。

思い出を美しい形で残すために。

心得て、心得過ぎることはないのである。

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