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うまくいかない強化の原理【強化子の効力】

素直な野生動物だけでなく、野生動物以上に扱いにくい人間までも担当させられ、高度でシビアな技術を必要とする場面で日々戦っているトレーナーの皆様、頑張った自分にご褒美あげてますか?誰かに褒めてもらってますか?気分転換してますか?

今回は、トレーニングの現場で起きるふしぎな怪奇現象のお話。理解不能な現象に遭遇したことありませんか?

 「トレーニング中に奇妙な現象が起きるんです」
  →どんな事が起きるのですか?

 「餌をあげたのに行動が強化されないんです、霊的な何かでしょうか?」
  →いえ、違います。
 
 「呪いや魔法がかけられている可能性は?」
  →それも違います。
 
 「では何でしょうか?」
  →実力不足、理解不足ですね

健康で餌に対する欲求が高いにもかかわらず、餌をあげたのに(強化したのに)、直前の行動を繰り返してくれない(強化されない)。このような経験をしたことありませんか。もしかしたら、餌の強化力が瞬間的に下がっていたのかも。

「強化子の効力は状況次第でダイナミックに変化する」

強化子の効力は変化すると考えると、怪奇現象や大事故を回避することが出来るかもしれません。

例1)
イチゴのショートケーキが持つ強化力は、ダイエットを始めた瞬間に消滅です。しかし、1週間ダイエットを頑張ったご褒美にショートケーキを楽しみにしているのであれば、ショートケーキは強化力を失っていません。ダイエット初日にケーキをプレゼントしたら、激怒され、1週間後に同じケーキをプレゼントしたら感謝される、理解不能。

例2)
1時間の約束で残業を始めたのに、途中で2時間追加、合計3時間分の残業代を貰った。しかし、2時間追加残業の結果、とーっても楽しみしていたサッカーの試合を見ることができなくなった。結果、3時間分の残業代は強化力を失い、次回1時間の残業依頼に対しても反応しなくなることでしょう。  「次は絶対に残業はしない!騙されたー!」

例3)
大好きな人と仲良くなるために、ライバルに内緒でこっそり行っていた気遣いについて、本人から皆の前で感謝された。
「内緒にしてたのに、やめてー!」

例4)
何度も約束変更、延期、延期のあとで行く遊園地。           「なんで今頃、遅っそーい!」

例5)
予想以上にありえないほど待たされた超高級レストランの食事。             「むかつくー!」

人間とイルカは違う動物なので、全て当てはまるとは思いません、考え方の例として捉えてください。ちなみに、イルカとネズミも違う動物なのにネズミでの実験結果をイルカに当てはめて良いのですかね?ネズミの結果が人間にも当てはまるからイルカにも当てはめてよいのかな?偽ネズミ化?偽イルカ化?擬人化?・・・脱線でした。

新人の頃「餌は食べやすいようにあげましょう」って教えてもらったと思います。餌は丁寧に、頭から、タイミングを合わせて、他の個体に取られないように、安心した場所で、素早く、食べやすいようにあげましょう、これすごい大切です。
他にも
・求める事が大きすぎていませんか?
・種目の途中で、最初に出したサインからゴールを変更していませんか?
・騙していませんか?
・安心した場所・状況で強化してますか?
・動物は強化の直前や瞬間に怒りや不安を感じていませんか?
・強化のタイミングは適切ですか?

ポイントはイルカがどのように感じているかですね。
イルカが何を考え、どのように感じているか、そもそも心や感情はあるのか、というようなことを考えつつ、行動の変化に注目。うまくいかなかったことでガッカリするのではなく、イルカからの情報の一つと考え、自分を修正して再度挑戦、これは残念ながらトレーナーをやめるまでずーっと続け無ければならないことです。
真剣になりすぎたり、ボーとしていると、いつの間にか注意散漫、強化子を台無しにしていることがあります。強化子の効力を最大限に引き出そうと思ったら、神経使いますね。トレーニングに大切なのは、トレーナーの心と体の健康から。集中力・精神力大切です、飲みすぎ注意!

 「強化子の効力が変わるなんて、どこにも書いていないじゃないですか」
 →本当に大切な事は知らされない、真実は隠されている!

 「どうすれば良いんですか、」
 →心のままに、感じるままに、結果はイルカが教えてくれます。
  信じるか信じないかアナタ次第です!

結論、強化子に嫌悪刺激(負の強化子)がセットされた状態だと、強化力が下がりますよという話でした。ちなみに、同じような状況でも、強化子の効力が爆上がりすることもあるので要注意。

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