2024年ダイヤ改正前の京葉線について調べてみた。

はじめに

2023年12月15日に、JR東日本よりダイヤ改正の概要が発表された。その中に、「京葉線の通勤快速廃止、快速削減」の記載があり、大きな反響があった。
特に注目されたのは通勤快速廃止、並びにラッシュ時の快速廃止により、蘇我から東京までの所要時間が約20分延びるという点である。また、
「転居を検討せざるを得ないほど所要時間が伸びる」
「幕張メッセでのイベント開催を再検討せざるをえない」
といったコメントが見受けられることからそのあたりを検証してみたい。

現行の運行本数

蘇我~東京間を走破する列車(上り、平日)は全部で122本ある。内訳は以下の通り。

  • 特急 15本

  • 通勤快速 2本

  • 快速 23本

  • 普通 82本

これだけ話題になっていることから、通勤快速の本数がすごく多いのであろうと思ったが、実際には1日2本だけとなっている。千葉市として着目すると、これ以外に海浜幕張~東京間に普通が20本設定されている。

所要時間

所要時間をそれぞれの種別で確認すると以下の通り。

  • 特急 32~42分(平均35.3分)

  • 通勤快速 41~42分(平均41.5分)

  • 快速 41~49分(平均42.6分)

  • 普通 49~62分(平均52.1分)

さすがに特急は平均35分と相当な速度で飛ばしていることがわかるが、通勤快速は意外に遅い。快速の平均と1分程度しか違わない。
一方、快速と普通は平均と最も時間がかかる列車の差が大きい。
これを紐解いてみると以下のような分類になる。

  • 普通 待避なし:60(50.6分)、待避1回:18(55.5分)、待避2回:4(59.3分)

  • 快速 待避なし:22(42.3分)、待避1回:1(49.0分)、待避2回0

待避がある列車は待避1回あたり普通で約5分、快速で約7分の所要延長となる。待避2回となっている普通は蘇我発6~8時台に、待避のある快速も8時台の設定となっており、それぞれ何を待避しているかというと

  • 普通 6:18発 特急x2

  • 普通 7:42発 通勤快速x2

  • 普通 7:51発 特急x1、通勤快速x1

  • 普通 8:59発 特急x1、快速x1

と、6:18発を除き快速もしくは通勤快速を1本以上待避している。これを2023年12月15日のプレスリリースから紐解くと、2024年3月以降のこれらの列車の待避は以下の通りとなる。

  • 普通 6:18発 特急x2

  • 普通 7:42発 特急x1(既存の通勤快速が特急わかしお4号に変更)

  • 普通 7:51発 特急x1

  • 普通 8:59発 特急x1

もともと蘇我駅7~8時台の快速は0本であることを考えると、最速ベースでは確かに通勤快速41~42分というものは消えるものの、全体としては2本待避の普通がなくなり蘇我から東京まで60分かかる列車は消滅し、大半が50分程度、待避がある列車で55分程度となると予測できることから、所要時間の増加幅としては比較的小さく抑えられるとみられる。実際、現時点での7~8時台の普通の平均所要時間は55.5分なので、平均すれば2~3分程度の時短となるのではと考える。

対海浜幕張は?

前述の「幕張メッセでのイベント開催を再検討せざるをえない」についてであるが、東京~海浜幕張の快速所要時間は30分(平日は1時間2本、休日は1時間4本)、普通は待避なしで37~38分なのでイベントの開催を再検討するほどとは考えにくい。

最後に

全体を俯瞰してみると、通勤快速という部分的なデータでは確かに所要時間の延長という面はみられる。特に朝の約15分というものは非常に大きい。ただ、それ以外の部分では逆に高速化になる、また千葉みなと~検見川浜の間では利便性向上となるので一方的に悪いことばかりではないというのが私の見立てである。
ここまではある程度は2023年3月現在の京葉線ダイヤの実績であるが、一部想定が含まれている。2024年3月に公表される新ダイヤは再度考察を加えたい。

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