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【セミナーレポート】パートナー契約後、最初に実施すべきアクション(2024/3/26開催)

【この記事の要約】
・パートナー展開におけるレバレッジの方法をテコの原理に見立てて3つのパターン分類。
・提案先顧客の窓口がどの部門かを把握し、パートナーの営業マンの評価制度を考慮することが成功の鍵。
・パートナー契約を個別に結ぶのは時間と工数がかかるため、ディストリビューター経由での契約をすることにより、オペレーションの整合性確保と機会損失の最小限化を実現。
・パートナービジネスでの直販とのバッティングルールの明確化が重要であり、どちらの数字すべきかは顧客の選択を尊重。
・パートナー契約後の初動については、売り手のスキーム確立が重要、自社の製品や特徴を理解して提案の成果を予測する能力の重要性を強調。
・勉強会は製品説明よりも刺さる顧客の明確化と相談方法の明確化、トップセールスへのアプローチを重視。加えて、勉強会で質問する参加者をメモして個別コンタクト。
・パートナー契約の条件は、認定制度を導入し、目標達成に応じた料率や予算を設定。
・パートナーの営業担当の評価制度に入っていない場合の対処法として、KPIや営業目標だけでなく経営層にリカーリングの重要性を伝える、複数のメーカーと提携してセットプランを提案する、企業間の取引やキャンペーンを活用して上位役職者へのアプローチを促進するなどの方法がある。
・パートナーとの定例MTGは、注力パートナーに対して月に1回程度の定例ミーティングを行い、施策や競合情報、市場感などを共有。加えて、パートナーが自走する状態になると定例の頻度は減少させて、ミーティングをやめることもあり。それが実は良い結果を生むこともある。

皆さん、こんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
先週はパートナーセールス研究会としての第1回目となるセミナー「パートナービジネス開始までに準備しておくべきこと」のセミナーレポートを書かせていただきました。

今週はパートナーセールスWeekの第2弾、「パートナー契約後、最初に実施すべきアクション」のセミナーレポートを書かせていただきます!
※長文となるため、要点だけ知りたい方は上述の要約をご参照いただくか、興味のある質問項目だけお読みください。


パートナー契約後、最初に実施すべきアクション

登壇者紹介

  • 株式会社インフォマート
    パートナー事業部 副部長
    樫山 知拓 氏

セミナー内の自己紹介スライドより
  • 株式会社マネーフォワード
    Business Company パートナービジネス本部 副本部長
    青山 徹 氏

セミナー内の自己紹介スライドより

パートナープログラム

インフォマート様のパートナープログラム
マネーフォワード様のパートナープログラム

Q1. パートナー契約後に抑えておくべきパートナー企業の情報は?

青山氏:前回のディスカッション第1回目の時に、共通の言語を揃えた方がいいとか、認識を合わせた方がいいみたいな話が多々出てきたと思っています。それは私も確かにその通りだなと感じています。 よく皆さんの中で、パートナー展開をすると、レバレッジをかけてこう発展させていくみたいな話がとても多い気がするんですね。私もよくレバレッジみたいな言葉を使うことがよくあるんですけれど、そもそもレバレッジってなんだっていうところを私は最近よく考えていてまして、それが次のスライドになっていきます。レバレッジというのがテコの原理であると考えると、3つの動かし方のパターンがあるのかと考えています。

パターン1に関しては、いわゆるシーソーのような形で、支点(△)をパートナーと考えて、力点(●)を顧客と考えた時に、顧客(●)とパートナー(△)から離れたところで力を押していくっていうのが、1番楽な顧客(●)の動かし方です。私がやってる中で、比較的テックタッチの手法であったり、いわゆるPLGをするタイミングで使えるような構図かなっていうのが、パターン1で言えるパートナーに対するレバレッジのかかけ方かなというところですね。


パターン2に関しては、支点(△)が角・顧客(●)が真ん中にあって、その対局に我々メーカー(ベンダー)がいます。そのメーカーが支点(△)と力点(●)、つまりはパートナーと顧客に対して向かっていくというような形の 動かし方です。いわゆる、パートナーと仲良くなって顧客を動かしていくみたいなイメージで、いわゆるSLG(Sales-Led Growth)のパターンかなというのがパターン2であると感じています。

パターン3がOEMとか個別開発をしていき、顧客ではなくパートナーに寄った開発展開をすることでグロースさせていくパターンです。
このようにテコの原理に当てはめると、展開方法が3つ考えられるかなと思います。1番最初の質問の「パートナー契約後に抑えておくべきポイントは」というのは、実はこのパートナーさんとこのメーカー側、サプライヤーとして、どういう関係性を正とするのか、 どういうところを目指してコミュニケーションを取りに行くのかを、契約後でも全然いいと思うんですけどちゃんと定義するってことが必要なんだろうと思います。

マネーフォワードに関しては、このパターン1〜3を全て行なっているのですが、私はパターン1の立場でお話ができればと思っていたりします。おそらく、インフォマートの樫山様は2のパターンの視点でお話をされるかなと思っています。それぞれメーカーによってアプローチ方法は違うんですけれど、参考になるところをしっかりと発信できればと思い、このスライドを入れさせていただきました。

樫山氏:先ほどのテコの原理の図でいうと、弊社は主にパターン2のところですね。 パートナーさんと同行しながら、弊社用語ですけど粘着感を持った関係性を取っていこうというようなパターン2をメインでやってるんですけど、実はパートナービジネスを始めた頃に1番目指したのはパターン1だったんですよね。 「もう卸販売してるんだからパートナーさん売ってきてくれよ」「これだけの料率を設定してるんだから売ってきてよ」みたいに考えてたんですけど、弊社の商材特性として、少し説明商材的な要素が結構強かったこともあってパターン1での展開はなかなか難しかったことから、今はパターン2が弊社のパートナー事業での主流になっています。で、今パターン2で進めている中で、契約後に抑えておくべきパートナー企業の情報ってところですが、商品によって各々あるとは思うんですけど、せっかくの機会ですので当社しくじり先生的なお話を2つお話させていただきます。

1つ目がパートナーさんの提案先顧客の窓口がどこの部門かをしっかり確認すべきというお話です。大変ありがたいことに、当社にいろんなパートナーさんからインフォマートの商材を取り扱いとお声がけいただけています。その中で、例えば、地方のハード機器を売っていた少人数の中小規模のパートナーさんとかからお声がけいただいて、「既存顧客が地元では●社はあります」「うちに卸してくれたらめちゃめちゃ売れます」ってアピールをいただけて、当時の私たちはそれですごい盛り上がっていたですけど、やっぱり取り扱う商品が違えば提案する部門も異なってきます。 そのパートナーさんがこれまでメインで取り扱っていたハード機器関係だと、提案先が総務部門がメインだったりとか、情報システム部門がメインというケースが多く、一方のインフォマートの商材は主に経理部門向けに提案する商材であったため、なかなか売れなかった。勉強会を開催したり、メイン窓口となっている総務・情報システム部門の方に依頼して経理の方を紹介してもらうっていうような動きをしてみたりもしたんですけど、やはりメイン窓口からは遠くなるのでなかなか売上は伸びませんでした。売りますという意気込みも大事なんですけど、それ以上にそのパートナーさんが持っている顧客窓口がどの部門かというのを最初に把握するというのは非常に大事だったなというのが1つ目です。

2つ目は、パートナーさんの営業の方々の評価制度を必ず確認するというお話です。皆さんもおそらくご経験があると思うんですが、パートナーのメイン窓口の方とか上層部の方はものすごいやる気なんですけど、現場が冷え切ってるみたいなケース、結構ありませんか?
営業マンの方ってどうしても自分に評価にならない商材ってなかなか売りたがらないじゃないですか。 なので、評価制度の中にどう組み込んでいけるものなのかとか、組み込む中で何かキャンペーンだったりいろいろ施策はあるとは思うんですけど、いかにパートナーの営業マンの方が気持ちよく、それぞれの商材を扱いながら評価してもらえるようにしていくかというところが2つ目のお話です。

葛西:どちらも非常に重要なポイントですね。特に評価制度に入らないってなると、なかなかパートナーの営業マンに動いてもらうのも難しいですよね。

樫山氏:青山さん、ちょっとお聞きしてみたかったんですけど、たぶん御社もすごい数のパートナーさんからお声がかかるじゃないですか?そうなると1社ずつ個別にパートナー契約するのってすごい難しいじゃないですか。その場合、例えばディストリビューターさん経由に促したりとか、一定の基準を作ってこの企業さんはディストリビューターさんへ流す、この企業さんは古社契約するみたいな、何か仕分けする基準みたいなところってあったりされるのでしょうか?

青山氏:鋭いですね、その通りです。全国の販売代理店になり得る可能性のある社数ってたしか日本で18,000社ぐらいあるんですよね。それを1社ずつ契約をするとなるとどれだけ時間がかかるのかって考えた時に、これはもうディストリビューター1択だと、当時の私は考えました。おそらくインフォマートさんも感じてらっしゃると思うんですけれど、 契約をする時に実はビジネス的な観点、いわゆるビジネスでどうやってグロースさせるかっていうようなことよりも、社内のオペレーションと先方のオペレーションをどういうふうに整合させるかっていう方が結構難しかったりしますよね。

樫山氏:おっしゃる通りですね。

青山氏:そうなると、型を作るって意味で、ディストリビューターを1社噛ませておけばどの代理店さんとも対応ができるというようなベースを作っちゃうっていう感じで、ディストリビューターに基本的に流す。その中でもここはディストリビューターさんじゃない展開ができそうだとなれば一次代理店契約をするって感じでやってます。

樫山氏:結構弊社も多いんですけど、なんか商品に興味があるからパートナー制度のLPに来ましたっていうよりかは、お客さんがもう待ってるんで御社の商品販売したいんですけどどう進めたらいいんですか、みたいなことも結構多いですよね。

青山氏:多いです多いです。で、それを逃してる方って結構多くいらっしゃるんじゃないかなというのは業界的には思いますよね。 契約を結ばなければ提供できないとなると、短くても 3ヶ月ぐらいはかかる、超早くても1ヶ月ぐらいは契約にかかるので、提案のポイント無くしちゃいましたみたいな。これ、結構もったいないですよね。

樫山氏:そうですよね。そこで言うと、やっぱりディストリビューターを噛ませた戦略ってやる側(ベンダー側)も楽でもあり、機会損失ロスを無くすって部分でもそうですよね。

青山氏:そうですね。ユーザー起点で代理店側に問い合わせが入るっていうことであれば、結構いい戦略かなとは思ってます。

Q2. パートナー契約後の初動で実施している施策

樫山氏:そうですね、施策の前にもっとちゃんとやっとけばよかったなと思っていたのが、 たぶん皆様もご苦労されると思うんですけど、パートナービジネス(代理店販売)から商品を売り始める事業って少ないと思うんですね。 直販で一定数を売上を上げて、その上でさらに拡販するための手段としてパートナー戦略を取っている方々が多いと思うんですけど、社内の直販とバッティングした時のルールは一定設けておくべきかなと思います。なぜかというと、パートナーさんと一緒に施策を走らせてパートナーでの実績が伸びてる時に、直販とのバッティングで嫌な気持ちをされて去っていくパートナーさんって結構いらっしゃるからです。なので、まずは最初の施策云々というよりも、まずはこの直販とのバッティングルールを明確に定めるって言うのがすごい重要なことではあると思っています。逆に青山さんの方は、社内で直販や他代理店とのバッティングルールって作られてたりされているのかなっていうのは今日是非お聞きしてみたいです。

青山氏:当社では顧客が求める購入方法で自由に購入してもらうっていうのを共通言語にしています。なので、実は顧客が直販から提案を受けていたとしても、この代理店さんから最終的には購入したいとなった場合は、もうその代理店さん経由のルートで購入いただくってことになります。逆のパターンも当然ありえる状態ですね。
なので、対パートナーさんと顧客に対してはお客さんが選ぶ購入方法でいきましょうというルールにしつつ、社内に関してはその商談を対応したセールスが直販であっても再販商流であってもKPIを付けれるような形にしてるので、 社内に関してはしっかりと手を動かした人間がちゃんと評価されるって仕組みで今は運用しています。ただ、これが良いか・悪いかはやりながら決めていくしかないかなと思っています。 インフォマートさんはバッティングルールはどうされていますか?

樫山氏:当社は結構営業会社なところもあって、どっちが売上立てたかという世界なので、パートナー事業の売上に付くか、直販の売上に付くかの2択なんですよ。 なので、バッティングした時には、当社はSalesforceで商談をフェーズ管理しているので、例えばですけど、フェーズ50%以下はもう直販とパートナーさんの並行提案で進めましょうみたいなルールで進んでいたりします。さすがにフェーズ50%以上、75%とか90%とかだと、最後に万が一お客さん要望があったとしても、パートナーさんが商流のところだけ入ってくるっていう形になってしまうので、そこは一定数お断りをしていたりもしています。ただ、50%以下のフェーズであれば、直販も引き続き提案しますけど、パートナーさんも入ってきて提案して、最後はお客さんがどっちから買うか理論になっています。

葛西:ちょっとこの直販対パートナーみたいな構図の延長みたいなお話になるんですけど、 パートナーさん同士の提案先が被った場合も何かルールって定められたりされてらっしゃいますか?

青山氏:パートナーさんが例えば同じ製品を違うパートナーさんが1つの顧客に紹介をするとなった時に、紹介される側はプロダクトはたぶん同じなんですよね。なので、営業同行をしてほしいと言われた時に、直販でも再販であっても1度対応しているのであれば、我々は別に2回目以降同じ説明をする必要はありませんよねっていう状態を引いてます。なので、先に手を挙げてくれたパートナーさんに営業同行するんですが、それを含めてどこのパートナーさんから、ないしは直販から購入するかはお客さん自身で決めてくださいって形にしています。

葛西:なるほど。ではあくまでもお客さんが選んだところに数字付けるよというようなスタイルなんですねー、ありがとうございます。 樫山さんはいかがですか?

樫山氏:弊社も最初は顧客ファーストになるんですけど、ただ、1番最初にお話した通り、弊社では販売代理店と紹介代理店の2種類があって、紹介代理店の方は紹介斡旋となるため、案件のロック期間というものがあります。なので、案件ロック期間にバッティングした場合は、規約上お断りしなきゃいけないので断るようにしてます。ただ一方で、販売代理店の方は自由競争の市場ではあるので、最終どちらから買いますか?っていうところと、ユーザーからすると窓口って大体同じなので、どこの代理店経由でメーカーの営業担当者が来ても毎回同じことをヒアリングしてしまうことになるんで、それを説明差し上げれば一定数ご理解はいただけます。なので、メーカーの同行での説明っていう部分でいうと、1ユーザー1コっていうところは弊社も同じかなと思ってます。

葛西:なるほどですね、ありがとうございます。またここで最初の質問にまた戻らせていただくんですけど、 パートナー契約後の初動でやっていること、例えばよくある施策だと定例会を設定するとか、パートナーさんの既存顧客へのメルマガ配信や共催セミナー開催のような空中戦を仕掛けるとか色々あると思うんですけど、パートナー契約初期段階で絶対にこれは実施すると仕組み化されている施策とかって何かあったりされますか?

樫山氏:たぶんこの後のQAでも出てくるのかもしれないですけど、勉強会はメーカー側がやりたいっていうものもあるかもしれないですし、パートナーさんから求められるってこともあるでしょうけど、Q.1でも少しお話したように、やりたくても売れない一定層の方々もいらっしゃるので、勉強会をやるからには販売手法を確立してあげないといけないかなと思います。勉強会聞いたんであとはチラシ持って行ってきてくださいとかは厳しいと思いますので、まず現場に勉強会をするというよりかはパートナーの窓口の方々と売るスキーム(手法論)をしっかりと立てつけていくって部分が1番最初かなと思ってます。で、その手法論が確立した後に、勉強会なのか、まずはリード取得さえあればいいってことであればセミナーなのかっていうようなフォロー施策の方に移っていくのかなと考えています。

青山氏:ちょっと私は敢えて視点を変えて、社内に改めて目を向けるっていうことも立ち上げのテーマだと思うのでお話しさせていただきます。いわゆる代理店さんの商流で流れていく案件っていうのは我々がその過程を見ることができない状態なんですね。 なので、ボールを投げて、最後の出口にそのボールが成約として出てくるのか・出てこないのかだけで判断をしなければいけないので、そこの推移とか指標になるのはどうしても自社のISやセールス、マーケの推移率とかにやはり依存してくると私が考えています。なので、自社の製品をどのように提案をするとどういう結果がそれぞれのフェーズで出てきて、どういう成果になりますよっていうのを、ある程度このパートナーの立ち上げの段階で責任者は把握をしておくことが必要かなって思ってます。

それを把握しておくと、パートナーさんと打ち合わせをした時とかでも、例えば「このチラシ持ってってください。結果はわかりません」って言うよりかは、「チラシ持っていくと、大体2パーセントぐらいの顧客が興味を示して、そのうち2社ぐらい、10社に1社ぐらいが商談します」とかって言えた方が絶対良いです。なので、契約後の初動に関しては、改めて自社の製品であったり、特徴、推移っていうのを語れるようにしておくっていうのが必要かなと思ってます。

Q3. パートナー向けの勉強会のポイント

青山氏:これは私もよくお話することが多いんですけれど、製品の強さとか会社のビジョンとかを伝えたとしても、パートナーさんの営業担当の全員が全員聞いてくださるってことはまずないんですよね。どういう顧客には刺さる、こういう顧客には刺さらない、刺さるんだったらこういうことをしてどのくらいでうちに繋いでくれみたいなことを伝える方がいいかなって思っているので、 比較的製品の説明をするというよりもその代理店の営業の方がどう行動すればいいのかっていう方を重要なポイントとして置いていることが多いですね。

樫山氏:弊社も似てはいるんですけど、青山さんが仰っていただいた通り、ちょっと言葉が悪くなってしまうかもしれないですが、しっかりと聞いていただけている方の方の方がどうしても少ないというのが実態なのかなと思ってます。 もちろん全く聞いてないっていうわけではなくて、聞いてはいただけているんですけど、そのパートナーさんが抱えている多数の商材の中の1つでしかないので、なかなか覚えていただけないってところが正しい実態かなとは思っています。 なので、弊社も要点は最終的に絞るようにはしていて、あとはよく勉強会のタイミングの前までにターゲットリストみたいなものを作ってお渡ししたりとかはしています。
あと、青山さんも仰っていただいた通り、皆さんのお客様のここのターゲットにはこのトークでこのチラシを持っていけば刺さるはずなのでまずはアクションしていきましょうってところを明確にお伝えさせていただくのがポイントかなとは思います。

加えて、弊社の方でメーカーとして裏でポイントだなと思ってるところで言うと、この勉強会をきっかけに、各支店とか営業所とか規模が大きい代理店さんって分かれていたりするとは思うんですけど、「その部署のトップセールスが誰か」を必ず確認してたりはします。これは代理店さんから実際に言われて確かになと思ったんですけど、やはり実績が上がっていない営業マンは自社のソリューション以外を売ることに労力避く余力がない、一方でトップセールスは自社商品以外を売る余力があるからこそトップセールスなのであるというお話を聞いた時には、これは確かになとは思いました。なので、売れている営業マンのところにはまず必ずアプローチをかけていくっていうところは必須で実施するよう仕組み化しています。 とはいえ、売れる営業マンに皆さんが成長していく人材教育過程はあると思うので、WebならWeb、リアルならリアルでもいいんですけど、必ずパートナー営業の方々の名刺情報であったりとか参加情報は必ず取得するようにはしています。そこの溜まったデータに対して、ナーチャリング的にいかにどのタイミングで情報を配信していくのかっていうテックタッチな取り組みは、ちょっと頑張らせていただいてるところかなとは思ってます。

葛西:なるほど。ありがとうございます。トップセールスを抑えるっていうのはまさによくある常套手段ですよね。 あとは、私のお話をすると、私がよくやってるのは、勉強会で質問いただく方をメモしています。 質問くれる方って少なからず自社のプロダクトに関心を示している印じゃないですか?なので、少なからずその人は「自社のプロダクトのファン」になっていただきやすいと私は思っていて、その人の名前、連絡先は確実に抑えて、その後も個別でコンタクトを取り続けるみたいなことは、結構泥臭いですけど私はやってますね。

Q4. パートナー契約後、非アクティブになってしまったパートナーへの掘り起こしは何をされているか?

樫山氏:これはけっこう難しいなと思ってて、まず前提として、非アクティブになった方々を会社として自分たちが掘り起こしたいのか、それとも一旦優先順位を下げるのかという取捨選択が大きくあると思うんですけど、掘り起こすのであれば、「そもそもなぜアクティブだったパートナーさんが非アクティブになってしまったのか」っていう要因次第かなと前提として思います。弊社のお話をすると、コロナをきっかけに非アクティブのゴーストパートナーになる確率ってのが少し増えたという事実がありました。なぜかというと、私たちってパートナーさんに同行して、密着型の関係性を築いていくようなやり方でこれまで対応していたことから、実体験として現地に行けなくなってしまったっていうところが1番多いな要因としてありました。なのでパートナーさんからすると、今まで来ていたうちの社員が来なくなったんで、「●●さんのためだから頑張ってた」というようなものがなくなってしまったので、それが要因で当社は非アクティブになったパートナーさんが一定数いらっしゃっいましたね。

だからこそ、今コロナが明けて、エリア戦略含めて密着型のアプローチがいかにできるかってところは、今特に頑張らせていただいてるところはあるかなと思います。なので、改めてお答えからすると、私たちはすごいシンプルで、足で稼ぐって部分を当社では中心に、注力パートナーさんや掘り起こしたいパートナーさんについてはアプローチしています。

青山氏:「マジですか?」って今話聞きながら思っていたんですけど、当社は逆で、コロナが起こった瞬間に一気に代理店ビジネスが伸びました。なので、当社の場合、コロナ禍に非アクティブになっていたパートナーさんたちがそのタイミングで戻ってきてくれたっていうイメージでした。
1メーカーが「いやークラウドERPツール売ってください」と言ってもあまりアクティブになるイメージがないので、コロナのような市場環境が大きく変わるタイミングとか、法改正とか、顧客の意識が変わってくるまでは辛抱強く待つっていうのも1つの選択肢なのかなって思います。

で、この待つっていう時に必要なのが、今までの関係性は良いには越したことはないんですけど、関係性は普通であったとしても、何かあった時にすぐに連絡が取れる状態を常に保っておくというのが重要であるかと思います。常に連絡が取れる状態を保ちつつ、コミュニケーションを負荷なく取ることができる仕組み・オペレーションだけ持っておくっていうのが必要なのかなと思ってます。なので、私の回答としては、とにかく待つということ。で、我々がパートナーさんとのコミュニケーションをやめない、パートナー展開をやめないっていうのが1番な気がします。

参加者からの質疑応答

質問①:パートナー契約までの条件は作っているか?

樫山氏:作ってます。ただ、弊社では今あまりパートナーさんとの個社契約は推奨しておらず、基本的にはディストリビューター経由に促してます。ディストリビューター経由であれば特段契約条件はなく、もうお客様が待たれているのでそれをしっかり持ってきてもらう。個社契約する企業については、スキームはまだ持ってはいるんですが、パートナー認定制度の中で弊社と個社契約する以上は握っておきたいことがあるので、認定制度の中で、例えばブロンズ・シルバー・ゴールドと3つああるんですが、 ブロンズだったら●件達成したら●%で、シルバーは●件達成したら●%というような形で、料率の仕分けをしながら一定数の予算を持ってもらっています。その予算を目標値にすり替えて活動してもらえるような形にしています。

青山氏:私も同じで、基本的にはディストリビューターへお願いしますという形にしてますね。ただ、取次ぎや紹介の場合は直販の営業側に入ったリードを渡していくっていう形に当社ではしてる。実は、直販側のその時のリードが足りてますとかっていうことであれば、今は敢えてパートナー契約しないみたいなオプションを持たせたりもしています。なので、当社都合で、都度どっちに流すとか、どういう対応するかっていうのを判断していることが多いですね。

質問②:パートナーの営業担当の評価制度に入ってない場合、パートナーの営業担当の方に動いてもらうための打ち手はあるか?

青山氏:無いっていうと悲しい感じになってしまうので1つ。KPIを軸に会話をする時に営業部門の方と会話をすると、売上がどうだとか、この初期費用が売上成績にヒットするのでリカーリングはあんまり評価できませんみたいな話とかって往々にしてあると思います。その時に使える施策として2つ。

1つは、比較をする対象を、この売上とかKPIという現場営業の視点ではなく、経営層側にちゃんと経営のこの指標としてリカーリングがどれだけ大切かっていうのをしっかりと伝えていき、そもそもの評価に入れてしまうって形をとって、営業目線じゃないところから踏み込んでいくっていうコミュニケーションを取ることです。

もう1つは、これは我々メーカー側がなかなかできない動きなんですけど、例えばインフォマートさんの請求サービスと私たちの会計システムを両方をセットで提案してもらい、そうすれば単価も上がるというようなコミュニケーションを取るという方法です。
※例)下記のようなシステムのAPI連携を武器に、メーカー同士が組んでセットプランを用意して、パートナーの営業担当の単価を上げにいく
https://corp.infomart.co.jp/business/data/relation/moneyforward-accounting.html

例えば、先ほどのレバレッジのパターン1でいうと、私1人が動くと、1つの商品に対してシーソーの反対側に乗っけていく感じになるので、営業担当からすると単価も低いしやりたくないですよねっていうケースは多いと思うんですけれど、別のSaaSメーカーと組んでセットで提案してもらえるようにできれば単価が上がりますので営業担当の評価にもヒットしてくる可能性が高まります。
なので、1メーカーだけではなく、他メーカーとの合わせ技の提案を販売店がしてくれるようなスキームが用意できれば、 比較的勝ちやすくなってくるかなっていうのはありますね。

樫山氏:当社とお付き合いのあるパートナーさんは結構売上や粗利で評価される企業さんが多かったりするんですが、評価制度はイチ営業現場単位で相対する方々とか、イチ部署での取り決めがたぶんできないはずなので、青山さんが仰っていただいた通り、企業対企業の取引の中でいかにパートナーのトップと会うかとか、トップ商談しながら会社のお付き合いとして打つ手を考えるかってところに尽きるのかなと思っています。

とはいえ、パートナーさんの規模によっては、上位役職者が出てきてくれない規模もパートナーさんもあったりはするじゃないですか。 なので、弊社は一定数、今トライしているのが、売上や粗利に直結するようなキャンペーンをうまく使っています。細かいキャンペーンをやるのではなく、「キャンペーンやるなら大きく」というのをテーマに今年はやっています。なぜ大きくやっていくのかでいうと、「これだけの額のキャンペーン実施するんで、上位役職の方を出さないことってないですよね?」っていうある種のトレードオフ的な考え方で、上位役職の方にお会いする機会を取りに行ってるっていうのがあったりします。なので、一定数、インフォーマットっていう会社がこれだけのキャンペーンを持ってきて本気度を見せてるんで、評価制度っていうところも少し変更を検討してもらうであったりとか、上位役職者・決裁者への入り込みのきっかけとしてキャンペーンを利用するっていう手段はあるかと思ってます。

葛西:お二方ともありがとうございます。お二方とも仰ってますが、決裁者からアプローチしてトップダウンで落とすというのはやはり1つの有効な手段ですよね。 あと、私のお話も少しさせていただくと、決裁者からのトップダウン・他SaaSと組んで販売するというお話の他に、あと2つあるかなーと思っています。
1つ目がノベルティとかをうまく使って、マインドシェアを取りに行くって方法です。皆さんノベルティとかもちろん作られて配ってると思うんですが、ボールペン・カレンダーみたいなありきたりなものではなく、あまり他社が用意していないノベルティで、価格が高すぎず・低すぎずという価格帯のちょっと良いノベルティを用意してあげて、例えば2〜3商談くらい組んでくれたらプレゼントするとかっていう形で、ノベルティキャンペーンみたいなのをやってしまうという手段もあるのかなーと思ってます。ただ、前提としてパートナーさん側の営業組織のカラーにもよってくるため、例えばベテランの方が多いパートナー企業さんとかになってくると、あまりこれは有効な手段ではないかなーと思います。

あともう1つは、本業とのシナジーがどれだけ生み出せるのか?っていうところをいかに決裁者から営業メンバークラスまでにそれぞれうまく見せられるかってところですね。要は、本業でパートナー側の営業の皆さんが追っている数字に当社のプロダクトを売っていただくことでどうインパクトが出てくるのかっていう大きな絵を描き、「それは確かに」「それ、めちゃくちゃいいねー」と思ってもらうってことです。この大きな絵が魅力的に映れば、パートナーさんが動いていただけるケースもあります。
ただ、青山さんも樫山さんも仰っている通り、やはりいくら売っても評価にならないってなると、結構ハードルが高いっていうのは事実ではあるのかなとは思いますね。

質問③:ディストリビューターを挟まず、個別契約で行うべきベンダーの特徴はありますか?

青山氏:1つ言えるのは、ディストリビューターと契約がないようなプレイヤーっていうのは、 個別で契約するっていうことを検討するべきかなと思ってます。ディストリビューターと契約がないプレイヤーっていうのは、ある一定の業界に特化していたりして、その業界の顧客を持っているケースとかが多かったりするですよね。 なので、個々の特定の業界についてはその専門パートナーと組んで、個々のボリュームを一気に取りに行くっていう時は割と個別で契約するっていう策が有効になると思ってます。これが最初に説明したレバレッジでいう3番のパターンですよね。そのパートナーに対しての機能やサービスを開発するとかOEMで提供するとか、 そういう局地戦を求める時にはディストリビューターではなくて個別契約っていうのは結構有効な手段かなと思います。

樫山氏:弊社で個別契約を検討する時は、実際に販売いただく営業人員数が何名いるかとかはよく見たりはしてます。ただ前提として、 ディストリビューター経由での販売と個社契約の販売のどっちが良い・悪いっていうのは私はないと思っています。ディストリビューター経由でも個社契約の企業さんより多く売られてる企業さんも結構いらっしゃいますし。 なので、ディストリビューター経由だから関係性が薄いとか、戦略が練りにくいってことはないのかなとは思っています。青山さんが仰っていただいていた通り、個社契約をするからにはここの部分を求めていこうみたいなのが各社さんでしっかり用意されていれば問題ないのかなとは思ったりはしています。

質問④:パートナー立上げ(育成)の一丁目一番地の取り組みを教えてください。

青山氏:パートナー事業に関しては、私は社内のことをしっかりと把握をしておくっていうことがやはり取り組みの1番最初、一丁目一番地なんじゃないかなという風に思っています。

質問⑤:直販と代理店経由で案内できる商材に差はありますか?

樫山氏:弊社はあります。これはパートナーさんからよくお叱りをいただくところもいっぱいあるんですけど、本当に結構長くこの会社の事業をさせていただいていることもあって、一定数、直販がものすごい強い領域もあったりするので、そこについては基本的にはパートナーの領域は不要だというところが1つ会社文化としても残ってしまってるところもあるため、この商材はパートナーさんから案内していいけどこの商材はパートナーさんからの提案はNGといった形で、インフォマートでは良くはないんですけど事実あったりますね。

青山氏:これは私たちもあります。商品というよりかは特徴で差がつくケースも当然あって、 たぶんSaaSプロダクトされている方も同じ悩み持たれると思うんですけれど、持たれていると思うんですけれど、例えば直販だとWebのクレジットカードの課金で従量課金ができますとかって普通じゃないですか。 なので、まずは口座開いて、その後どんどん利用者数を増やしていくっていう戦法を直販はとりますって話だと思うんですけれど、代理店さんだと、例えば1年契約でもう金額は固定ですとかじゃないと提案ができないそういうオペレーションなんですとかなるケースがあるので、その料金体系に付随した何か製品の提供の仕方っていうのは、当然差が出てきますね。
なので、比較的、パートナーセールスというよりかビジネス寄りでそこの差を埋めていく、パートナーが劣位しないようなオペレーションを組んでいくっていうことも、結構役割としては重要なウェイトを占めている状態になります。なので、回答としては差はありますね。

質問⑥:バッティングをしないような施策はありますか?

青山氏:バッティングしてる瞬間にちゃんと伝えることとか、線引しておくって形ですかね。最初は先ほど仰られた通り、取り次ぎとかだともう完全にインセンティブ対象になる・ならないというのは紹介受けた瞬間にわかるので、すぐにこれは対象になりませんってことをすぐ伝えるとか、そのぐらいですね。やっぱりどうしても起こってしまうものなので、それをすぐに回答してあげるっていいう意識でやってます。

質問⑦:パートナーとの定例MTGは設定していますか?設定しているようであれば、頻度などお教えください。

樫山氏:全部のパートナーさんとはやはり実施できないので、弊社の中でもここは注力パートナーなのか否かは決めてたりもしますし、担当が付いてる・付いていないもあったりもするんですけど、定例をやってるパートナーさんで言うと月1回程度、定例のミーティングをさせていただいてるケースが多いかなと思います。 その定例の中で何をお話するかっていう部分で言うと、施策の話ももちろんありながら、競合情報であったりとか市場感の話などをさせていただくケースが多いです。といいますのも、やはり弊社の商品だけを売って事業が成り立つというパートナーさんもいなかったりするので、自社の商品とのクロスセルの戦略っていうところが弊社の商材的に結構多かったりはするので、パートナーさんの製品、弊社の商品をセットで売るためにはという文脈での市場感であったりとか、他社の動向みたいなところをお話をさせていただくというところが、定例ミーティングでの数字まわり以外の話の中心にはなってるかなと思ってます。

青山氏:当社は最初の頃、グロースさせるタイミングでは、定例を多い時は週1とかでしっかり組んでいます。ただ、ある程度もう伴走しなくてもパートナーさんだけでもう自発的に行動ができるとか、 いわゆる「自走する状態」になってくると、定例がどんどん無くなっていくっていうケースがあるのかなって思ってますね。なので、1番最初のレバレッジの話ばっかり言っちゃうんですけど、パートナーからうまく離れていってちゃんと稼働させている状態になると、 あまりそこにコミュニケーションを図らない方が実はパートナーさん独自の売り方とか見つけてくれる気もしているので、思い切っていい意味で定例ミーティングをやめてみるとかっていうのは、うまくいってるからこそやったりしますね。


次回予告

【開催日】
2024年4月11日(木)18時45分〜

【セミナーテーマ】
パートナー様からの商談数(紹介数)を伸ばすためにやるべきこと

詳細はこちら:https://note.com/r_kasai32/n/n1006c8e7777c
オフライン(懇親会付き)参加用:https://forms.gle/Mwe11VgH6dWMNYhv7
オンライン参加用:https://forms.gle/V3y16GxzHJUasypW6

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