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葛の採取~発酵

さて、というわけでシーズンを半年近く過ぎた10月末に葛の採取にいきました。 
工程の写真はほんと少ないのですが、できるだけ載せていきながら説明します。 

葛のツタはできるだけその年に新しく伸びた真っ直ぐな若々しい緑色のものを選びます。 
太すぎても細すぎても扱いにくいので、ええ感じの太さのツタを選び、葉っぱとそれについてる細枝を切り落として、何本かまとめて40センチくらいの輪っかにして数カ所をヒモでくくっておきます。 


最初はお試しのつもりだったので少量。 
ツタの太さとかはまだわからなかったので適当。 


これを鍋でゆがきます。 
ゆがくこと約一時間。



こんな風に茶色くなって、表皮がボロボロになって芯が 
やわらかくなります。 
お湯から取り出したら少しの間水にさらします。 
本当は山の中のキレイな川の水でさらした方がいいのですが、近場にないので水道水で。 
この水にさらすというのはこの後の発酵作業において必要なバクテリアをツタに付着させる目的のようで、水道水では意味がないかもしれません。 


そして室(ムロ)というところで、数日間発酵させます。 
ムロの作り方は職人さんによって様々なやり方があるそうなのですが、今回は河原で軽く土を掘ってそこに湯がいたツタを敷き、その上からススキなどの雑草を大量にかぶせる、というやり方をとりました。 

実はこの辺は先日紹介した日本に三軒しかないと言われる葛布屋さんの1つである静岡県の大井川葛布さんに電話してやり方を聞きました。
何代も続く葛布屋さんでも、こんな秋に収穫してちゃんとできるかどうかは全くわからないとの事でしたが忙しい中、丁寧に説明して下さいました。 

真夏だと2~3日放置して、発酵させます。 
この湯がく→発酵という工程はすべて、とりあえずツタを柔らかくして繊維を取り出しやすくするための作業です。 
先述の通りバクテリアが発酵を促してくれるそうなのですが、どのバクテリアがどういう働きをして葛の繊維が柔らかくなるかというのは、実はまだよくわかってないそうです。 
大井川葛布の職人さんも、未だに色々試行錯誤しながらやり方を考えているそうです。 

真夏だと2~3日ですが、10月末は秋も秋。夜は肌寒い日が続いてたので、10日間放置してみることにしました。
袴や帯などで全国で広まったのは江戸時代ですが、一説には平安時代から作られていたという葛布。 
1200年以上も前から受け継がれている知識と技術に感銘をうけ、ネットと電話で簡単に調べる事ができる現代に感謝しながら、発酵の時を待ちます。

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