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【自句自解】子連れ(LINE)句会への参加と自句自解

こんにちは、坂西涼太です。

早いもので、6月に入りましたね。ヤバいです。あっという間でした。年々「一年」の長さが短く感じられます。

この半年の間には、新たな出会いや嬉しいことがたくさんありました。中でも憧れの「子連れ句会」さんに初参加できたことには感慨深いものがありました。会を主宰する西川火尖さんからお誘いのメールをいただいた時は、嬉しさのあまりメールを三度見したほどです。

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こんな距離感の句会に憧れる…

家庭的な都合(妻の仕事と子どもの習い事)で結社の句会にも出られていない私にとって、オンライン句会は選句や合評の貴重な機会です。じつはこの句会への参加については、主宰からも結社句会に何とか出るようにと何度も言われているのですが、現状調整中のまま…です。

LINEを含めてネットでの合評ははじめてでしたが、自分では思いもしなかった評価や鑑賞に触れることができました。改めて「俳句は詠み手と読み手とが共鳴して作り上げる文芸」と感じることができ、感動しました。本当に参加して良かったと感じています。

以下、手前味噌ながら自句自解を記します。

今回の題は「鬼」「馬」でした。投句数は5句。うち2句は題詠各1句以上とのこと…。テーマを知るとすぐに作句に取りかかるいつもの癖が今回も発動します。

まずは馬。歳時記をめくっていくと「春駒」があり、その下に「春の駒、春の馬、若駒、馬の子、子馬、孕馬」あたりが載っています(「合本俳句歳時記」(第四版)角川学芸出版編)。

最初のイメージは孕馬。春の日差しの中で眠たそうにしている姿が目に浮かびます。しかし、イメージを句に整形していく過程で行き詰ってきました。たぶん直感的に「はる」「はら(み)」あたりの音が気に入ったのでしょうが、いかにも付きすぎな感じ。そこで目を向けたのが子馬。どうせ付きすぎなら、動きの感じられる子馬の方がいい。

〇影よける絡繰ありや春の駒 涼太

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さきに正面から「馬」を詠んだので、次はちょっと外したものを詠もう、と思いました。そこで浮かんできたのが蹄鉄。なぜかいつも当季しばりが自分の中にあるので季節は春設定。そう考えると、まだまだ冴え返りもある季節だけに真っ赤に灼けた蹄鉄が浮かんできました。

〇淡雪や蹄鉄にちる槌火花 涼太

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さあ、次は鬼です。鬼と言えば節分…だけれど、これはおそらく多くの人が辿りそう?とも思えて。鬼そのものを詠むのも、『鬼滅の刃』に影響を受けすぎな気がして(受けすぎなんですが笑)、ここも外そうと考えました。そうなると、あとは何だろう…鬼太郎?いやいや…。歳時記を繰っていくと「雪形」という季語に出くわしました。なるほど、雪形というのかあれは。と、その時、ふっと浮かんできたのが蛇笏「芋の露連山影を正しうす」です。近景から遠景への視点移動が感じられて好きな句。これを逆廻しにしてみようか、と思いました。

〇雪形や歯の欠けてゐる鬼瓦 涼太

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もう一句はさらに遠いところを詠んでみよう、と。そうなると…鬼太郎(2回目です、笑)?そこでまたまたリンクするように浮かんできたのが、柳田国男。山が人を吸い寄せる、人が山と同化するかの如く生きる、そんな話の数々を思い出していました。でも、そうして生を終えたのち、彼らを弔い供養するのは誰が負ったのだろう。彼らを葬る墓守でもいたのだろうか、いや野ざらしに違いない。哀れな彼らに、せめて墓守がいたら…。うっかり地表に現れてしまった鬼火は、墓守がやさしく釣り上げ、またもとの場所に戻してあげている、そんな光景がイメージの奥底に浮かんできました。

〇墓守の鬼火釣る声春の夜 涼太

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最後の一句は、題詠でないものを考えていました。ヒントになったのが、下の子が観ていたEテレ「テレビ絵本」の落語「初天神」。子どもを連れて縁日に行った男が、子どもにあれこれ強請られた挙句、最後は子どもそっちのけで凧あげに興じるというお話なのですが、その中にみたらし団子が出てきます。しかもこの親子、みたらし団子を舐めまわしてからまた餡の中に串を突っ込む傍若無人ぶり(二度づけ禁止!)。しかし…なるほど、餡か。で、できたのが次の句。

みたらしの餡の垂れさう凍ゆるむ 涼太

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【総評】今回は字句自解を中心に振り返りを行いました。一人黙々と詠むのも俳句、みんなでワイワイ騒ぎつつ楽しむのも俳句。楽しみ方は本当に人それぞれというくらいバリエーションがあっていいし、それを果たせるのが俳句の魅力だとも思います。

これからも参加できる機会があれば、どんどん参加して行きたいです。火尖さんはじめ、句会のお仲間の皆様一人ひとりに感謝します。これからも宜しくお願い致します。







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