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一支国放浪記(10日目)と11日目

ジェットフォイルで壱岐に向かう。
昨日に続き今日も天気が悪く、海は荒れ気味だが、船は大して揺れもせず快適な船旅だ。さすがボーイング929!(ヴィーナス2はボーイング製、ヴィーナスはボーイングからライセンスを提供された川崎重工製とのこと)
壱岐・博多方面に向かうジェットフォイルの午前の便は出発が早い。対馬の厳原港を6時45分に出港、8時前に壱岐の芦辺港に着く

芦辺港には元寇720年を記念した植樹があった。当時の大将だった少弐氏の末裔とモンゴル大使が並んで植えていた。撃退したとはいえ、特に対馬や壱岐は侵略され凄惨な記録も残る戦役だったが、今では恨みはなく、並んで植樹しているのは微笑ましい。
でもなんで700年じゃなくて720年なの?植樹もこれっきりで10年ごとにやっているようでもないし。

2年前に発売されて評判になったゲーム、ゴースト・オブ・ツシマをやっておいたら、対馬や壱岐の観光がより思い入れ深いものになったかもしれない。

2000年に開催したそうな

さて、ここでもどこに行くか決めてないし、移動の足もない。やっぱりレンタカーを借りないとダメか。

レンタカーを手配して、近くにある博物館に行ってみる。対馬のことも大して知らなかったが、壱岐のことはもっと知らないから。

壱岐市立一支国博物館は、主に魏志倭人伝の記述にある一支国にあった原の辻遺跡を中心に展示がされている。
コンシェルジュのきれいなお姉さんたちがたくさんいて、質問などにも丁寧に答えてくれる。
これから地元の小学生に壱岐の歴史を説明するから見ていけというので、小学生についてまわり壱岐の歴史を学ぶ。
展示されている出土品の中には、宗像大社の宝物殿で見た沖ノ島の遺物にも似ているようなものも。関係性があるのかな?

博物館を出て近くの原の辻遺跡を見に行く。
弥生時代の国際交流都市の様子が再現されていて、建物の中を覗くと当時の様子が再現されていた。
建物の口を開けておくと、某遺跡のように人が住み込んだり、火事を起こしたりしないか心配になったが、壱岐は治安がいいのだろう。
ここで興味深かったのが、建物の壁が土壁だったことだ。竪穴式住居以外の全ての建物の壁に土を塗って土壁に仕上げてある。ここと同じく弥生時代の遺跡である土呂遺跡では建物は板壁だったはずだからだ。かつて土呂遺跡の側に住み、遺跡に親しんだものとしては見逃せない。

展示館で聞くと、原の辻遺跡では建物に土を塗っていた形跡が見つかったので、あのように再現したとのこと。全ての住居跡で土壁があったわけではないが、その形跡が僅かでもあれば全ての建物の壁を土壁にして問題ないそうだ。
ついでに、なんで日本では縄文以降、古墳時代ごろまで竪穴式住居が一般の住居として用いられたのかも聞いてみたが、日本の気候に合っていたのだろうとのことだった。そうですか。

櫓の隣に土壁の建物

そのあと雨の中、宿のチェックインまで島をまわって観光する。

鏡山神社
大きなモンキアゲハがたゆたっていた
鳥居の上部に光が
日本のモン・サン・ミシェルこと小島神社
干潮に合わせて行くと参道が現れる
この日は干潮に合わせて風雨がきつくなった
鬼の足跡
反対側は荒れ狂う波で怖かった
猿岩を正面から

本日の宿は海老館(かいろうかん)
温泉につかった後、食堂で壱岐の海産物を楽しんだ。リーズナブルなスタンダードコースの料理だったが、充分だった。美味しかった。
ご主人は若いあとつぎで、継いだ旅館を活性化させるために、まずは食堂に手を入れて個室で食事ができるようにしたとのこと。綺麗にリフォームされた食堂は快適だった。今後も旅館に手を入れてさらにリニューアルしていきたいとのこと。
コロナ禍で旅館の運営は楽ではないと思うが、がんばっていらっしゃる。
ここもまた再来したい。

旅行中はじめての旅館らしい食事
窓の外の海を見ながら一杯
お品書き

次の朝に博多に戻る。
前職の友人が博多で待っていてくれた。
この旅の最後でも、前職の仲間が会ってくれた。旅先で会ってくれる人がいることに感謝、感謝。
友人は、国が福岡県に設置している職業訓練施設のナンバーツーだ。皆、偉くなっていく。

友人とは昼を一緒にした。
行きたい店があった。味の正福さんだ。知人が経営されていて、その話を少し前に伺ったことがあったので行ってみたかったのだ。
銀だら味醂漬けとなすみそが美味しかった。
また博多に来たら来よう。
友人も気に入ってくれてまた再来するとのことだ。よかった。

なすみそは正福さんが販売されている「ソース日本」を使えば、博多まで行かなくても家で店の味が再現できるのがありがたい。
今でも家でちょくちょく作っている。

銀だらの味醂漬け
なすみそ

博多からしばらくぶりに家に戻り、旅は終わった。


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