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「映画を観て流す涙は、みんなイッたのと同じ」

『クライベイビー』(1990)


☆監督
ジョン・ウォーターズ


☆出演
ジョニー・デップ
トレイシー・ローズ
エイミー・ロケイン
イギー・ポップ


☆STORY
1950年代のボルチモア。
気が高ぶると一粒だけ涙をこぼすことから、不良少年のウェイドにはクライ・ベイビーというあだ名がついていた。

ウェイド達の高校では予防接種が行われている。ウェイドと学校随一のお嬢様アリソンは、隣同士の席で同じタイミングで注射を受ける。

同時に注射を刺された瞬間に目が合い、ウェイドとアリソンは劇的に恋に落ちる。


☆感想
カルト・ムービーの傑作「ピンク・フラミンゴ」でお馴染みのカルト帝王J・ウォーターズが、彼が愛した50年代末のティーンズ映画の雰囲気そのままに、エルヴィス・プレスリー主演のミュージカル映画や1950年代のティーンエイジ映画をサンプリング。

とある町の伝説的なロッカーでバイカーでもある主人公と、彼に憧れる少女のロマンスをミュージカルを交えて描いた作品。


ウォーターズが本作を書いたキッカケは、我が心のボルティモアで起こった実在の殺人事件だった。


キャロラインという不良娘が何者かに殺害されたのだが、周囲は犯人よりも、不良だから殺されて当然という反応だったそうで、それにウォーターズはショックを受けた。

足を洗ったばかりのトレイシー・ローズを追ってFBIが撮影現場に現れた。
動揺する彼女に、デップを含めたクルーはこう言って励ましたという。


「みんな前科者だから気にするな」


そんな役者達が作り上げる、ポップで明るいミュージカルと人種、格差差別を背景に描く。


こんなにバランスが良いのは、『ヘアスプレー』以来だ。
いや、それ以上か?


結論として、めっちゃ良い映画だったなと。


そして自分も「クライベイビー」と呼ばれたくなった。

意味は全然違うけど…。笑

要するに、映画で流される涙は、"絶頂に達した"という意味だとウォーターズは語る。

だから最後でみんなが泣いているのは、"みんなイッた"ということだと。

そんな彼らしさ全開の無骨な作品だった。


それが何を意味するのか。

それを僕なりの解釈で話していく…

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