おそらくは消えてなくなるであろうTweetdeckという存在に関して

2023/02/02にTwitterの無料APIの廃止が発表され、Twitterをかつて彩った様々なサービスが消えていく混乱の中、2023/02/03の明け方にかけて大規模な凍結祭りが発生し、私のフォロワーも次々に凍っていきました。

なんとも恐ろしい事件です。朝起きたら、知人がTLにいない。ミステリの殺人館にうっかり泊まってしまたモブみたいな心境です。刑事さん、まさかこの中に犯人が……?

まあ、それはともかく、今のTwitterはお世辞にも良い状況とは言えません。突然のサ終に備えて、思わずpawooにアカウントを作ったぐらいには、いつまでこのサービスが持つのか心配になってきました。

公式なのに、影が薄いぞTweetdeck

ところで、皆さん。Tweetdeckってご存知ですか?

まあ、物は試し、以下のサイト(PC)にアクセスして、アカウントを連携してみて下さい。なかなか便利なのが解ると思います。あ、これTwitter社の公式サービスなので別に怪しいものじゃないですよ。

特徴は、何本もタイムラインを並べることができるということ。通知の欄、よく絡む人を集めたリストの欄、DMの欄。検索の結果も並べることができるので、アニメの実況なんかの時にも大活躍するんですよね。あと、複数アカウントの使い分けなんかにも大活躍します。

私はこのサービスがTwitter社に買収にされる前のサードパーティアプリ(その時のロゴは黄色かった)時代から使っている、古残ファンなんですが……ところがどっこい、このサービス案外知られていないんです。実はですねちょくちょくフォロワーが何を経由してTwitterに書き込んでいるのか見ることがあるんですけれども(deckだと、どのクライアント経由で書き込んだかの表示が見えるんです)なんと皆さん、見事にTweetdeckを使っていない。

代わりに、Twitter web(公式サイトですね)とか、iosのTwitter公式アプリが多いようです。

仮にも公式サービスで、しかも出来が良いのに影が薄い……悲しい話です。というか、今どきTwitterを使っている人なんて、ほとんどがスマホからの利用オンリーで、PC版でちまちまやっているやつなんて奇特なオタクぐらいしかいねーよ!って話かもしれませんが、この影の薄さが一つ奇妙な状況を生んでいるようなのです。

それが、「Twitterの運営からも忘れ去られている疑惑」なんですね。

Twitterのサンクチュアリ、Tweetdeck

Twitterはここ数年で色々な変化がありました。別にイーロン・マスクが買収する前からの話なんですが、プロモTweetが混ざるようになったり、ホーム画面がシャッフルされるようになったり、フリートなる新機能が追加されてなくなったり、音声配信のスペースができたり、ツイートを纏めるモーメントというものができて、結局廃止されたり、有料サービスを始めたり。どうも、経営がうまく行っていないのが原因……のようなのですが、広告も殆どない、シンプルなテキストだけのTwitterを知っているものとしては時代の流れを感じるものがあります。(ま、だから経営行き詰まったんでしょうが)

それらの変更があるたびに、TLではやれ改悪だとか、運営は一体何を考えているんだ?なんて大紛糾していたわけですが、ところがどっこい、私の環境ではTLの混乱を後目に、なんとも静かなものでした。

なぜなら……今言った内容のほとんどが、Tweetdeckには反映されなかったからです。

実例を上げましょう。プロモツイート、流れてきませんTL、時間順ですトレンド、デフォルトで表示されません。(出すこともできます)フリート、いつか実装されるのかな~とか思ってたら消えました。スペースはちょっと自信ないんですが、聞こうとすると新しいタブでTwitter公式が開いた記憶があるので、多分Tweetdeckからは開けない。モーメントも使えた記憶はありません。

……いやね、なんとなくね。思うんですよ。これ、運営も存在を忘れてない?こう、新機能をですよ?フリートとかを作ったとして、それが公式アプリで見れないなんてこと、ありますか?何のために作ったんだよ。って話になると思うんですが、不思議なことにそうなっていました。(でも、ファボは♡になりましたがね)

んで、これが私には心地よかった。「昔のTwitterをかえせ!」と言っている人を横目に、Tweetdeckはこの10年近くほとんど変わらずに動き続けていました。まるで、進化から取り残された島のように……。

Tweetdeckを使っていると、私の脳裏には人類が滅んだあとも自動で生き続ける遺跡の姿が浮かんできます。想像してみてください。苔に覆われた遺跡を。いくつかの柱は倒れ、穴の空いた天井からは柔らかな光が差し込みます。床には綺麗な水が溜まっていて、青い空を鏡のように写し込んでいます。しかし、その遺跡はまだ死んでいないのです。かつての姿を留めたまま、戻る人を静かに待っている……。

まさに現在のインターネット遺産とでも言うべき存在でしょう。

Tweetdeckに何があった?

正直な所、Tweetdeckがなぜこんな状況でサービスを続けられているのか、よくわかりません。完全に運営に忘れ去られているかというと、そうでもなく、例えば、公式のヘルプページはちゃんと存在していたりします。

しかし、どういう判断をしたら、こんな状況が発生するんでしょうか?
私は長年気になっています。社内に新しいTwitterのUIに反感を持つ人間がいて、その人間が自分で使うためにこっそりTweetdeckだけを昔のままにしておいたとかでしょうか?

それとも、新しい仕組みを実装する上で、過去の遺産であるTweetdeckを最新版に対応させる工数が無駄と判断されたのでしょうか?

まあ、詳細は中の人に聞いてみないとわかりませんが、ただ、これってやっぱり、本来はおかしな状況のわけですよね。

特にプロモツイートで稼ぐぞ、ツイッター有料会員に登録すると、広告が半分になるぞ(いや、そこは全部カットしろよ!)とか言い出している時に、ちょっとアクセス方法を変えるだけで、広告全カットできるサービスが公式で提供されているのはどう考えてもおかしい。

まあ、そこらへんの統制もできていなかったのが、Twitter社の組織としての問題であり、社内の混乱であり、赤字の原因であり、買収された要因でもあったとは思うのですが……。

イーロン・マスク体制になってからのTwitterの対応を見る限り、この状況が許されているのもあと少しということでしょう。

さらば、Tweetdeck。ありがとうTweetdeck

最後に、皆さんには謝らなければならないことがあります。今回、「こんな便利なサービスあったのかよ!! もっと先に教えてくれよ!」ってなった人もいるかもしれません。

正直なことを言うと、私はちょっと意図的に他人には教えなかった部分があるんですよね。いや、2,3回言及したこともありますけれども、大々的に「Tweetdeckいいよ!!」と言ってはきませんでした。なぜなら、心の何処かでTweetdeckの良さが皆にバレて使われるようになったら……運営に目をつけられて消されてしまうのではないか?という恐れがあったからなんです。

いままで、Tweetdeckの良さを隠していてすみません。謝罪させてください。おそらく、このサービスはあと一月も持たないでしょう。でも、最後ぐらいは、この存在を皆に知ってほしいなと思って、今日この記事を書きました。

昔からの利用者は、そうそう、これが昔のTwitterだったんだよなと。最近入ってきた若い世代は、へー!Twitterってこんな感じだったんだ。などと、いろんなことを考えながら、Tweetdeckの最後を見届けてやってください。

2023/07/04(追記)
上記の記事を書いてから数ヶ月。TweetDeckのやつ、思った以上に長生きしていまして、「ありがとう!」と別れを告げた手前ちょっと気まずかったりしたんですが、この度、TwitterBlue専用になるとのことで、ついにお別れの時が来てしまいました。どっちかというと、Twitterごとぶっ壊れた感じですが。
ありがとうTweetDeck。そしてTwitter。思えば15年にもなるんですね。notificationとリストの表示が止まったタブを見つめながら、いろんなことを思い出しています。しばらく、このまま、完全に動かなくなるまで、タブを開きっぱなしにしておくことにします。

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