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【求人票の最適解】CTOの職務内容/必須要件/魅力とは?

以前、CTO採用の進め方をまとめたnoteを執筆し、ありがたいことに大きな反響がありました。

上記のブログは最適な採用手法や採用の進め方にフォーカスしたものになっているため、採用活動を進める上で鍵になる求人票の作成方法については多く触れていませんでした。

「いざ、CTOの求人票を作成しよう!」となっても、CTOは他の職種と比較して求めたい業務範囲が広いがゆえに、どんな業務内容・必須要件を求人票に記載するかが悩みやすいです。

そこで今回、求人票の作成にフォーカスしたブログを執筆することにしましたので、CTO採用について興味のある方や、現在CTO採用に取り組んでいる方やこれから取り組む方にご覧いただけましたら幸いです。(CTO採用の全体の理解を深めたい方は上記のブログをご覧くださいませ)

※あくまで本noteではポテンシャライトで日々採用のご支援をさせていただく中で感じた内容を元に書いておりますので、一意見として参考程度にご覧いただけますと幸いです。
※以前執筆したブログにも記載していますが、前提として、CTOは最難関の採用職種といっても過言ではないくらい採用するのが難しいです。ただ、できることを最大限行うことは重要だと考えているため、本記事の執筆に至りました。



1. 求人票作成の前に事前に理解したいこと

事前にいくつかの項目の理解を深めることで、求人票作成のしやすさが変わってきますので、まずはそれらを下記でお伝えしていきます。

 1-1. CTOが転職する際に知りたい情報とは?

以前、当社代表の山根がOpelaというATS(採用管理ツール)の開発にあたり、「CTOへの手紙」というものを作成しました。

CTOへの手紙は一言で言うと、CTOが知りたい情報を取りまとめた資料です。

👇アジェンダの一部をご紹介

CTOへの手紙のアジェンダ

上記のキャプチャを平たくまとめると、下記のようなイメージかと思います。

【CTOが知りたい情報】
・事業内容
・事業の競合企業
・代表のタイプ(考えていること)
・会社の成り立ち
・働き方や社内の雰囲気
・CTOを求めている理由
・CTOに求めている職務内容
・現在のプロダクトの開発状況

ある程度情報がまとまってきたなと思っていましたが、あることに気付きました。それは、企業フェーズ別にCTOが知りたい情報は変わるのではないか?という問いです。

極端な例を出すと、シード期の企業様とシリーズDの企業様では企業のフェーズが全く異なるため、知りたい情報も異なるよねという話です。

ということで、当社が提唱している採用活動の魅力のフレームワークである「6P+CGM」にならって、表を作成しました。

それがこちら👇

企業フェーズ・魅力項目別にCTOが知りたい情報

【表の説明】
縦軸    :魅力の項目(頭文字を取って6P+CGMと呼ぶ)
横軸    :企業在籍人数
1〜5段階評価:5が最も知りたい情報(企業側が打ち出すべき情報)

表を作成してみると、企業フェーズごとに変化"する"項目と変化"しない"項目がわかりました。

【企業フェーズごとに変化"する"項目】
・profession(職務内容)
・privilege   (福利厚生・働き方)
・culture     (社内の文化)

【企業フェーズごとに変化"しない"項目】
・philosophy(ビジョン・ミッション等)
・product (事業内容)
・person  (一緒に働くメンバー)

企業フェーズごとに変化"する"項目を言い換えると、人数が増えることによって変化し、重要度が"増してくる"ものと言えます。対して、企業フェーズごとに変化"しない"項目は、人数が増えて変化することはあるが、重要度は"変わらない"ものと言えます。

シード/シリーズA(企業人数目安:10名前後)の企業様を例に出して説明してみましょう。

シード/シリーズAの企業様で打ち出すべき項目は、philosophy / product / personです。なぜなら、シード期は開発環境が整っておらず、直近、プロダクトの正式リリースを行い、お客様を獲得する時期のためです。その際に魅力になり得る項目は、代表をはじめとする在籍メンバーや、事業内容の面白さ・ワクワク感、事業を通して成し遂げたいミッション等になるためです。

一方、シード/シリーズA期に「職務内容を明瞭にしてほしい、福利厚生を整えて欲しい」と言われても、アンマッチになる可能性が高いため、そこまで打ち出す必要がないと考えています。また、CTOクラスの形で、growth(成長できる環境)とmarket(市場)を考えて、転職活動をされる方は少ないので、打ち出す優先度は高くないです。

 1-2. CTOと現場のエンジニアが知りたい情報の違いとは?

1-1の続きで、CTOクラスと現場のエンジニア(メンバー/リードクラス)との知りたい情報の違いがあるのか?をお伝えします。

上述の通り、企業フェーズによって打ち出すべき魅力項目が異なりますが、エンジニアのレイヤーごとに、知りたい内容が変化し、打ち出すべき魅力項目が変わり、求人票に記載するべきことが変わってきますので、その詳細をお伝えします。

整理をした表がこちら👇

企業フェーズ・魅力項目別にエンジニア(メンバー/リーダークラス)・CTOが知りたい情報の比較表
※CTOの表、表の詳細は上記の1-1の表と同じです

表の内容を整理すると・・・

【CTOと現場のエンジニアで打ち出すべき"共通"魅力項目】
・product   (事業内容)
・person  (一緒に働くメンバー)
・culture  (社内の文化)

【現場のエンジニアで打ち出すべき魅力項目】※上記以外の項目
・profession(職務内容)
・growth   (成長環境)
・privilege   (福利厚生・働き方) ※企業フェーズによる

※CTOで打ち出すべき魅力項目は1-1で記載したため割愛します

やはりCTOクラスと現場のエンジニアを採用する上で、打ち出すべき魅力項目が異なることがわかります。現場のエンジニアは特に今後のキャリアを考えた上で転職活動を行うため、その企業の開発環境は「どのような仕事を、どのような働き方で行うのか?」という点がとても気になる部分です。(今回はCTOの話がメインのため、詳細は割愛しますが、現場のエンジニアを採用する際とCTOクラスの採用を行う際の求人票に記載するポイントや角度が異なることをご理解いただけたら幸いです。)

 1-3. CTOに求める業務範囲が決まっているか?

最後に、CTOに求める業務範囲が決まっているか?という点です。

まず前提として、以前、執筆したブログでもお伝えしていますが、CTOのタイプは大きく3つに分かれます。

1. 技術に強みを持つ、テック系CTOタイプ
2. どちらかというとマネジメントに強みを持つ、非テック系CTOタイプ
3. 幅広くできる、気付いたらCTOタイプ

CTOという職業の人を採用するときに気をつけるべきことより

そして、この3つのタイプからどのタイプのCTOを採用するかを決めるための要素は大きく2つあり、現在のエンジニア組織体制と事業のフェーズです。

現在のエンジニア組織体制でいうと、例えば、既にCTOが在籍していて、どちらかというと技術に強いタイプであれば、組織をリードできるような方を採用した方が良いとなりますし、その逆も然りというイメージです。

事業のフェーズでいうと、例えば、シード期は開発環境が整っておらず、直近、プロダクトの正式リリースを行い、これから本格的に機能を追加しお客様を獲得する時期かと思います。そのようなフェーズだと、技術/コーディングに強みを持つテック系CTOが望ましいです。

一方で、ステージが進んでシリーズC/シリーズDに入ってくると、PMF達成間近のフェーズとなり、新規機能の開発を継続して行いつつも、中長期的なエンジニア組織体制の構築や、技術を通して経営/事業にどのようなにインパクトを与えられるかが大きなポイントになりやすいと言われています。そのようなフェーズだと、どちらかというとマネジメントに強みを持つCTOや、エンジニアリングに加えてビジネスへの幅広い知見があるCTOが望ましいです。

上記を参考に、CTOにどこまでの業務をお任せするのかを決めていただけると良いかと思います。(冒頭でお伝えしたように、CTOは「最難関の採用職種」といっても過言ではないくらい採用するのが難しいので、その市況を理解した上で採用活動を行なっていただけたらと思います。)

2. CTOの求人票作成について

ここから本題に入ります。求人票は分解するといくつかの項目に分かれますが、項目ごとに意識したい点をまとめていきます。

 2-1. 職務内容

まずは職務内容です。冒頭でお伝えしたように、CTOは他の職種と比較して求めたい業務範囲が広いがゆえに、どんな業務内容・必須要件を求人票に記載するかが悩みやすいです。

では、多くの企業様はどのようなCTO求人を作成しているのでしょうか?

数十社の求人を調査し、整理した表がこちら👇

数十社のCTO求人を調査し、職務内容をまとめた表

カテゴリーは大きく4項目「経営・組織・技術戦略・採用 / 広報」に分かれ、業務内容の詳細は表の通りです。

上記の表をご覧いただいて、いかがでしょうか。

私がある企業様のCTOの求人作成で関わった際は、「上記の内容をほとんど全てお任せしたい」と話されていました。個人的にはとても納得で、可能であれば全てお任せしたいですよねという所感でしたが、全てを求人票に盛り込むと膨大な量になってしまいます。

そのため、入社直後にお任せしたい業務と中長期的にお任せしたい業務を分けて記載する、もしくは社内で重要度の高い業務を記載する形をおすすめしていますので、職務内容を記載する際の参考にしていただけたらと思います。

 2-2. 必須/歓迎要件

次に、必須/歓迎要件についてです。

2-1でお伝えした職務内容が求められるCTOの必須/歓迎要件をどのように設定している企業様が多いのでしょうか?まずは職務内容と同じく、数十社の求人を調査し、必須/歓迎要件を整理した表を見てみましょう。

数十社のCTO求人を調査し、必須/歓迎要件をまとめた表

必須/歓迎要件は大きく開発経験と開発"以外"の経験で分けられます。

必須/歓迎要件を整理する上で、重要なのは「どのタイプのCTOを採用したいか?」だと思っています。こちらは1-2でお伝えした内容と重複しますので、詳細は割愛しますが、まず求めるタイプを明瞭にした上で、必須/歓迎要件を決めて頂けたらと思います。

 2-3. 募集背景

続いて募集背景です。つまり、「なぜCTOを採用するのか?」という質問に対して、どのように回答するのか?というイメージです。

以前、募集背景に関するノウハウのブログを執筆した際に、100求人(CTO以外の求人)以上の募集背景をみて、ある意味衝撃を受けました。それが"8割以上"の求人似たような募集背景を記載していることがわかったことです。

それがこちら👇

「業績好調のための人員増加」or 「欠員補充」

誰もが一度は見たことのある募集背景ではないでしょうか。

CTOの求人でこの募集背景は見たことがありませんが、このように淡白にならないようにしましょうという意味を込めて、上記をお伝えしました。

本題に話を戻しましょう。

まず、全職種で記載することをおすすめしている募集背景の構成についてお伝えします。簡単にお伝えすると、どのようなミッション/ビジョンを掲げ、そのミッション/ビジョンをどのような戦略で実現していくかを整理して記載することです。これは募集背景の成り立ちを考えてみると、腑に落ちるかと思います。(場合によっては戦略を公開できないこともあると思いますので、公開できる範囲で記載することをおすすめします。)

募集背景の成り立ち

最後に、募集背景が魅力的に記載されている事例を一つご紹介します。当社がご支援させていただいている企業様でもある東急株式会社様です。2021年7月に東急株式会社から発表された「URBAN HACKS」というプロジェクトがあるのですが、その求人の募集背景はとても魅力的だと感じています。

それがこちら👇

▼募集背景 ※実際の求人はこちら
『2021年7月に東急(株)から発表された「URBAN HACKS」。
これは東急グループの資産をハックして、より人を豊かに、街を便利に、生活を楽しくするプロジェクトです。
現在、東急グループは200社以上あります。各事業はリアルビジネスが中心ですが、Webサービス/アプリも保有しております。ただ、それぞれのアプリが"点"で存在しており、東急グループとしてのシナジーを生めていない状態です。
そして、"点"で存在している各アプリも決して使い勝手が良いとは言い難く、顧客体験を向上させる必要があります。"点"の強化において開発された新機能やサービス連携のアイディアを生かし、デジタル領域のリ・ブランディングや、各サービス間の同線強化を実現し、東急グループシナジーを生かした新しい顧客体験を創造します。いわゆる"点"を"線"に繋ぐイメージです。その後、デジタルを介して、リアルのサービスや体験も繋がり、東急ブランドとしての体験価値を最大化してまいります。それは"線"を"面"にするイメージです。
創立から100年取り組むことができなかった東急のデジタル変革という大プロジェクト。これまでに莫大な顧客接点を蓄積してきた資産を生かして、東急の次の100年を変革するプロジェクトにしたい。
その実現のためにエンジニア/デザイナー/プロダクトマネージャーなど10以上の職種の人材を早期に採用し、東急グループの変革をしてまいります。実力本位で人格を重んじて個性を尊重する、大企業的な忖度は一切不要で、自由闊達なエンジニアやデザイナーの挑戦心をかきたてるフィールドがここにはあります。』

募集背景の事例

プロジェクトの概要説明→現状の課題→事業戦略→プロジェクトへの想い
→クロージング(求職者様へのメッセージ)
という流れで、とてもわかりやすく、イメージがしやすいストーリーになっています。

今回ご紹介した募集背景事例は全職種にも当てはまるものですが、CTOの求人であれば、「エンジニアリング組織の現状と課題」と「その課題に対してどのようなアプローチをしようとしているか?」という観点を入れることで、求人の解像度がぐんと上がるのでぜひ入れていただけたらと思います。

 2-4. 職務の魅力

続いて、職種の魅力についてです。

「CTOクラスの方は既にさまざまな経験をしているので、どのようなことを魅力に感じるのだろう?」
と思われている方もいらっしゃるかもしれません。

実は、私も同じように感じていました。

もちろん、他職種と同様に当社が提唱している魅力のフレームワーク「6P+SMC GODB」の要素は求人に記載することを推奨しています。

魅力のフレームワーク「6P+SCMGODB」

ただ、既にさまざまな経験をしているCTOクラスの方に、"魅力"を伝える、つまり「●●を提供できます」とお伝えするだけでは魅力を感じてもらいにくい可能性が高いのではないかと。(当社ではこのような訴求をGive youと呼んでいます。)

また、市場価値が高いエンジニアであればあるほど、「希望を叶えることは前提で、その上で転職という手段で何を実現するのか」という目線で企業選びを行っていることが多いこともあり、魅力を伝えるだけでは難しそうだなと思いました。

そこでおすすめなのが、「●●を提供できる(Give you)」だけでなく「●●という理由であなたを必要としている(Need you)」も織り交ぜてメッセージングをすることです。(言い換えると、「issue採用」のような考え方ですね。)

ここから、Give you と Need you の参考例をお伝えします。

◆Give you 「当社から●●を提供できる」(魅力を与える側)
・開発生産性を意識した開発をしたいメンバーが多く、組織として効率的な開発を常に意識しています。
・事業の特性上、ユーザーのエンゲージメントが高いことが特徴で、直接ユーザーと接点を持ちながらプロダクト開発をしています。
・スクラムチームにはPdMやデザイナーも入り、エンジニア含め、日々建設的な議論をしながら目標に向き合っています。

◆Need you 「●●という理由であなたの力が必要」(力を借りる側)
・これまで当社のプロダクト開発はエンジニア出身である代表が兼任して、開発組織のリーディングを行なってきましたが、事業成長による組織拡大を背景に、本来やりたいけれど他業務の関係で手が回らない状況が多くなってきました。技術に強いメンバーは在籍しているのですが、開発組織をマネージメントできるメンバーがおらず、これまで開発組織のマネージメント経験が豊富な方をお迎えしたいと考えています。

Give youとNeed youの参考事例

本項を整理すると、求人票の中にはエンジニア組織の魅力を伝えつつ、課題も同じように伝えることが重要(特にCTOクラスであれば)という点です。また、Need youの観点は募集背景にも重なる部分がありますので、そちらで記載いただいても問題ありません。

 2-5. 職種名

最後に職種名についてです。

求人票において、最も目立つといっても過言ではない「職種名」ですが、CTOの場合は「CTO」or「CTO候補」と募集しているのが一般的です。

また、いくつかの企業様では最初から「CTO」という肩書きからスタートするのではなく、半年〜1年など期間を決めて実務を行なった上で、一定の求める成果を出せれば「CTO」という肩書きを渡す場合もありますので、最初は「CTO候補」として求人を出す方が無難かもしれません。

職種名は上記の通りですが、求人のタイトル設計は工夫できる部分がありますので、詳細は以下のブログをご覧くださいませ。

3. 最後に

いかがでしたでしょうか。

ここまでCTOの求人票の最適解についてお話しました。冒頭で触れた通り、CTOは最難関の採用職種といっても過言ではないくらい採用するのが難しいです。ただ、できることを最大限行うことが重要だと考えているため、今後もノウハウのアップデートを続けていきたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

また、当社の採用/人事組織系支援にご興味がある方はお気軽にお声掛けください。

今後も採用/人事系のアウトプットを続けていきます。
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