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‘Nuff said ターナー夫妻のリズム&ブルース、あるいはロックンロール&ソウル

冒頭からですが、ちょっとサボってました…すいません。
そういえば、先週末に関東近辺は激しい雨が降っていましたね。それから月曜日くらいまでは少し涼しかったのですが、また暑さは逆戻り。その雨の時に相応しい音楽ってなんだろうとか思ったりして、暫しレコード棚の前で迷ってみたり。そのことはまた別の記事で書こうかなと思います。
今回のは、お盆中に実家で書きためてたものの一つです。ではでは。

アイク&ティナ・ターナーのレコードを聴くと、それがソウルなのかロックンロールなのか、ポップスかと悩むことがある。某ディスク○ニオンさんに行くと、よくソウルのコーナーに置いてある。確かに、フィル・スペクタープロデュースの曲を聴いたり、あるいはその頃らへんを聴くとソウルミュージックと言って差し支えない気がする。
けれど、ライブ盤や、その後の“The Hunter”以降からはロック志向が強くなる。

ここまで書いてみましたが、結局彼らの”Proud Mary”を聴くと彼らのジャンルがなんであれどうでも良くなってくる。まっ、強いて言うなら、リズム&ブルース。まさにそれでしかないかなと。

ティナ・ターナーの歌声はとてとても力強い。アレサ・フランクリンが史上最高のボーカリストとして評価されているが、ティナ・ターナーも劣るところはない。寧ろアレサよりも、よりグルーブ感に優れている瞬間もあるくらいだ。もちろんアレサも負けてはいないが。
そしてそのティナの声を支えるのが、夫アイクのバリトン・ボイスでのベースと、おそらくストラトキャスターだと思うが、シングルコイル系のギターをほぼアンプの軽いクランチで奏でる伴奏だ。もちろんそれからバンドが盛り立てていく。
2人の実際の関係は、薬物に溺れた夫アイクによるドメスティック・バイオレンスが続くものでもあった。特に最も脂が乗っていた60年代終わりから、それが激しくなっていったとのこと。
最終的には1976年に、ショー直前にティナが逃げることでその関係に終止符が打たれることになった。

彼らは特に60年代初頭から活躍していたこともあるのと、特に50〜60年代は山の様にシングルとアルバムを出すと言うのがセオリーだったので彼らの作品をさらうのはなかなか難しいのですが、よく聴くのは”Come Together”,”Workin’ Together”それから”Nuff said“くらいでしょうか。もちろん前出の2枚はストーンズのカバーやプラウド・メアリーなど名曲揃いですが、”Nuff said”も凄くいいですよ。レオン・ウェア(マーヴィン・ゲイのI want youの共作者としても有名)の曲が多く含まれてます。特にB面がいいですね。ティナ・ターナーが相変わらず力強いのとバックセクション、特にリズム隊がそれに負けずに非常にパワフルで、彼女の歌声を盛り立てています。また、当時のファンクなどの影響もあり、ホーン使いやオルガンの感じがさらにそのパワフルさへの一助を買っている様に聞こえます。(調べたら、オルガン、アイクが弾いているんですね)

素晴らしい人間性の上に素晴らしい芸術性が成り立つとは限らない、と言うのが、とても悲しいとは思うのですが、しかしそれにも関わらず、このレコードは作品として、凄まじい力強さを感じさせてくれます。美しいとか甘い曲なんてほとんどなし、彼らのこの作品は、リズム&ブルースの先にあるロックンロール&ソウルなんだと。

※なお、その後ティナ・ターナーは逃げ出したものの離婚訴訟を始め、歌手としても不遇の時代を過ごしたのですが、80年代に”Private Dancer”と言う超カッコいいアルバムで見事全世界的復活を果たしました。ご安心を、ですね。

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