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シーンの拡大に貢献したもの

70年代以降、イギリスを中心に広まったロカビリー/ロックンロールリバイバル。若いアーチストや50’sオリジナルアーチストの復活によりその勢いはヨーロッパや、最終的には世界中に波及しました。

今日はその中で、レコードディーラーやレーベルをやっていた人達の小ネタをご紹介します。

一般的に、店舗を構えてレコードを売るのが「レコード屋(ショップ)」です。ディーラーとは、店を構えている人もいますがここでは「イベント出店のみ」「個人売買のみ」「自宅でアポ販売のみ」を指します。

リバイバル以降、アンダーグラウンドとは言えロカビリーのレコードも売れるようになりました。分類すると

・50年代音源の正規再発、発掘
・50年代音源のブート
・新しいアーチストの音源
・50年代アーチストの新録

これらを仕入れて販売するわけです。ディーラーはレーベルを兼ねている人も多く(ブートがメイン)、仕入れたアイテムと自社製品を一緒に販売するわけです。

ここで登場するのが「スワップ」「トレード」と呼ばれる「物々交換」です。レーベルを持っているディーラー同士、まさに現物を交換するわけです。自分がこういった取引に加わったのは90年代中頃でした。当時の基本的なレート(?)は、

45(7”) = 45(7”)
LP/10” = 2 x 45(7”)
CD = 3 x 45(7”)

仕様によって変わる場合もありましたが、CDがまだ高く売れる時代だったのでこんな感じでした。

物々交換のメリットは仕入れの現金が不要ということはもちろん、例えば自社レーベルの1タイトル100枚売るよりも他社のタイトルを混ぜて10-20タイトル揃えた方が売りやすい/売れやすい点があります。

実際自分も90年代に渡英する際は、日本から200枚程度の7”を持ち込み、違う7”を200枚持ち帰るパターンを繰り返していました。

大きなWEEKENDER(フェス)になると、ディーラーやレーベルはもちろん、バンドも自主制作したレコードなどを開催に合わせてリリース、現地で販売します。イギリスに限らず、世界中からロカビリーファンが集まるので、絶好のロケーションになるわけです。人気のアーチストの新譜や注目されている再発やブート音源に関しては、フェス開催中に売り切れてしまうことも珍しくありませんでした。

80年代初頭のロカビリー・ドキュメンタリー。中盤、後半に登場するレコードディーラーはNORTHWOOD RECORDSのRay。(彼のリリースは全てオフィシャルでした)

話を物々交換に戻すと、各国各エリアから来たディーラー達が交換したアイテムを持ち帰り販売することによって、ロカビリーコミュニティにおけるディストリビューション(流通)が成り立ったわけです。自分がリリースした作品も世界中で販売されたのはこのシステムのおかげ。

70年代からこういった動きはあったわけで、この「ディーラー同士の物々交換」は国境を超えたロカビリー 、バンドの知名度に貢献していると考えてます。

もちろんACEやBEAR FAMILY、CHARLY、そしてリバイバル系のレーベル大手は物々交換はしていませんでしたが、インディーズレベルやブート界隈では「常識」でした。最近はプレスの価格や枚数も変わっているので、状況は違うと思われます。

ロカビリーリバイバルにはディーラーや中小レーベルもかなり貢献していた、という話です。

ご質問等ありましたらお気軽にどうぞ。

今日はこんな感じで。
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