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30歳をすぎて結婚してないやつは人間的に問題あるとかなんとか

よく言われるやつ。
どれだけ多様性の時代だの晩婚化だの少子化だのと言われていても、世の中にはまだまだうっすらそういう意識が蔓延っているように思う。
初婚の年齢の中央値は20代だし、30歳になったわたしの同級生たちはこの1年で数え切れないほど結婚した。
人生100年時代と考えたらまだ3割だけど、きっと体感ではそんなことなくて、人生の行く末を考え始めるものなのでしょう。

わたしはといえば、毎日ほぼフルリモートで遅くまで仕事をして、自分のための時間を過ごしている。
週末になれば恋人と一緒にいるのがルーティンになっているが、生きているうちの大半は1人だ。
ありがたいことに好きなことを仕事にしていて、1人で生活するには十分なほど稼いでいる。もっと頑張りたいとも思っている。
子供は絶対に産みたくない。
そんなわたしには別に今すぐ結婚したいという願望は無い。
恋人のことは来世でも出会いたいほど大好きで、一緒にいると心地よい。でも少し歳下とか色々事情があって、今すぐにそういう話にはならないだろう。それが逆に良かったのだ。

それでもまた1人、また1人と周りが結婚をしていくと、胸に棘が刺さったような気持ちになる。
わたしは普通じゃない。問題がある。
そんな事実を突きつけられているような気持ちになる。

その日は大切な友達からの結婚の報告を受けた日だった。
1人で買い物に出かけ、恋人へのプレゼントを買ってうきうきと帰路に着こうとした夕方、LINEが入った。
「結婚しました!」
前から恋人のいた子だったし、別になんら不思議なことじゃない。それに彼女は結婚をするために色々と行動してきた子、素直に良かったと思った。
「おめでとう!」
心からの言葉を送ってスマホを閉じる。
なんか最近よくおめでとうと言ってるななんて考えてみたら、今年に入ってなんと5人も身近な人が結婚している。……なんだか物思いに耽りたい気分だ。
自宅の最寄りまではここから2駅。電車で帰るつもりだったけれど、歩いて帰ることにした。

頭に浮かんで消えるのは、やっぱり自分っておかしいのかなという思い。
そんなやつと交際を続ける恋人を、わたしは幸せにできるのだろうか。彼を大事にできているのだろうか。
頬を撫でる冬の冷たい風が、より一層そんな思いを強くさせた。

ぐるぐると堂々巡り。でも、じゃあどこで間違えたの?という問いを自分に投げかけたとき、ふと強い気持ちが湧いてきた。

「わたしの人生に間違えたことなんてなかった。」

いつも一生懸命生きてきた。人よりもきっと進む速度は遅いけれど、ようやく自分の目指した未来に近づいている。
今から戻りたい時、やりなおしたい時があるかと聞かれたら答えは絶対にNO。つらい思い、苦しい思いの方がずっと多い人生だけど、いつもちゃんと良くしようって行動してきたじゃないか。
おかしいとか、人間的に問題あるとか、よく考えたら自分が一番分かっている。悲しいほどに欠陥品。でもそんな中でもよく頑張ってる。努力してる。
そもそもわたしは「結婚」がしたいんじゃない、幸せになりたいのだ。出産をしないなら、どんなかたちでも恋人と一緒にいられたらいいじゃないか。
今ある幸せが見えなくなっちゃいけない。

そんな答えにたどり着いた頃、ちょうど自宅に到着した。
わたしは自分の人生に誇りを持ってる。
誰になんと言われたって、それだけで充分だと思った。肩の力が抜けるのが分かった。

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