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#81 作業をするひと、仕事をするひと 24/2/15

みなさん、こんにちは。
仕事は付加価値を提供すること、について考えます。

わたしの所属する採用部門では、採用候補者に自社を選んでもらうための試行錯誤を重ねています。
候補者が「当社を選ぶ理由」づくりです。
その活動を日々回している中で、作業と仕事の違いはこういうことよね、と感じたことがあり、それを考察します。

わたしたちの採用チームは、面接を行うことはしていません。応募者を集める入口から入社決定まで、採用活動全体のプロセスをプロジェクトマネジメントしています。
入社後の定着や活躍まで見ないの?とツッコミを受けるかもしれません。現実的な実行を考え、配属部門にバトンを渡しています。

選考プロセスには、応募者、エージェントの営業担当や候補者担当のカウンセラー、面接調整等のRPOメンバー、面接官、応募者の家族、採用競合企業、自分たちリクルーターなど登場人物・ステークホルダーがたくさん存在します。

その選考プロセスと登場人物の掛け合わせをマトリクスにしたときに、それぞれの「プロセス×登場人物」のマスで情報の受け渡しをします。たとえるならば、伝言ゲームでしょうか。陸上のリレーとも言えるかもしれません。

その情報の受け渡しの際に、渡し先の相手にとって意味のある情報資産を提供できているか、これが付加価値です。
オフィスワーカーの大半は、現物の生産物を生み出すことはありません。インビジブルな情報をやりとりして、目に見える成果物を生み出すことはあまりありません。もちろん一義的なエクセル帳票などの成果物はあります。

採用の話に戻ります。
たとえば応募と書類選考フェーズを見ます。
エージェントのカウンセラーや営業担当の推薦コメント付記して推薦してくることが多いです。これは、単に応募者のレジュメを送る「作業」とは異なり、なぜ当社の求人に合いそうなのか、エージェント企業がレジュメに付加価値を乗せている「仕事」に該当します(なお推薦コメントが汎用的な定型文の場合も多いですがここではその件は論点にしません)。

次に当社のリクルーターが書類選考をして、合格だったとします。合格の通知だけをエージェント企業に返した場合は「作業」です。

では、付加価値を付けて渡す情報はどうなるでしょうか。
合格の判断理由を簡単に添えることです。
ただしこれだけでは付加価値はかなり小さいでしょう。そこで、職務経歴書記載の「○○事業部門の△△プロジェクトのタスクフォースオーナーの経験が、応募求人のこの点でフィットすると判断し合格としました」と返信したとします。

そうするとエージェント企業は、営業担当から担当カウンセラーに、担当カウンセラーから応募者に、さらに彼彼女らが意味ある情報を上乗せして、最終的に応募者が書類合格通知受け取る際には、情報に厚みが増して、合格の事実以上の価値が届くことになるでしょう。

その厚みが増した情報であれば、応募者は次の選考ステップの準備、たとえば面接対策としてプレゼンテーション内容を整える、をすることができます。

その状態で実際に面接をした場合、単に書類選考合格の通知を受けただけの応募者と比べて、応募者と面接官(採用企業)の双方にとって、生産的な時間になることは明白でしょう。

当日の面接官に対しても、わたしたちリクルーターは、レジュメ上の「このプロジェクト経験があなたの部門で生かせると判断し、面接に進んでいます。この経験を中心に対話してみてください」と、ここでも面接前情報として、実施要項だけではない、価値が付いた情報を渡すことになります。

さらに、このことは、面接の場を、採用企業が見極めジャッジする強者の立場から、応募者とできるだけ対等な立場の目線まで下りていく効果も創ります。

このように、採用担当、あるいはオフィスワーカー・ホワイトカラーの仕事は、インビジブルな情報を媒介にして、最終的な成果=価値につながります。

ですから、自分が次の工程の担当者に情報(仕事)を渡す際に、必ず付加価値を乗せることが、オフィスワーカーの「仕事」です。

付加価値が乗っていない情報(仕事)は、「ただの作業」です。そしてこれは、これから先、AIや自動化のテクノロジーに置き換わっていきます。

自分の仕事の一挙手一投足に付加価値を乗せることができているか、常に点検したいと考えます。

みなさんの仕事は、「仕事」ですか「作業」ですか。
それでは、また。

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