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Space Environmental Engineer Reliability E…

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Space Environmental Engineer Reliability Engineer Parts Material Engineer @宇宙ベンチャー

最近の記事

ディレーティングについて(概要)

宇宙機・衛星では、非常にたくさんの種類と量の機器や部品を適用しております。ある機器が動作しない事態となってしまった場合でも、もう一つ搭載していた正常な機器に切り替えて運用する冗長設計など、1つの部品や機器が壊れても、基本的には、衛星システムの動作に影響が無いよう設計を行なっています。しかし、冗長設計では、全く同じ機器を搭載することが前提となるため、その機器が壊れやすい設計となっている場合は、冗長設計を行なってもあまり意味がありません。そのため、衛星に搭載する機器や部品は、軌道

    • SEE(Single Event Effect)の種類と原理

      Single Event Effect(SEE)とは宇宙機、衛星が放射線による影響を受ける現象の一つです。SEEは、電子部品の感応素子にエネルギーの高い重粒子やプロトンが入射した場合に発生する一時的な現象です。その一時的な現象により、結果として部品の機能が損なわれたり、衛星制御ができない事態にまで発展します。SEEとは複数の現象の総称であり、SEU,SET,SEFI,SEL,SEB,SEGR等、それぞれ原理、影響が異なる現象が含まれています。ここでは、それらを詳細な説明をさせ

      • 宇宙機の表面材料とその帯電、放電について

        ここでは、衛星、宇宙機の表面帯電に対して説明しています。宇宙機の帯電、放電の概要については、以下の記事を参照ください。 表面帯電とは、衛星、宇宙機の最外層にある材料が帯電する現象です。衛星、宇宙機の内部の部品、材料の帯電は内部帯電と言います。表面帯電する材料は、上の記事で例にした金属導体に限らず、電気を通さない絶縁体も該当します。金属導体の帯電、放電の原理については、上記の記事に記載していますので、ここでは、衛星に適用している熱制御材であるMLIを例にして、電気を通さない絶

        • 宇宙機の帯電、放電(概要)

          ここでは、宇宙機への帯電、放電事象について説明しています。衛星、宇宙機への設計に携わっていない方においては、宇宙空間で帯電、放電が発生することを知らない方も多いとは思います。また、小型衛星での設計でも帯電、放電対策がそこまでしっかりと考慮されているか、といわれれば、されていない衛星もあると思っています。一方、事実として衛星、宇宙機の軌道上不具合のうち、最も多いのが、この帯電、放電事象による衛星機能の喪失です。ここでは、帯電、放電事象の発生原理とその対策の概要について示します。

        ディレーティングについて(概要)

          宇宙用セラミックキャパシタ(概要)

          ここではNASAの以下レポートの中から、現在適用されているセラミックキャパシタの概要と、宇宙用キャパシタと民生キャパシタの考え方の違いについて、紹介しています。詳細は以下NASAレポートを参照ください。このレポートでは、信頼性の高いセラミックキャパシタの設計から適切な評価方法、セラミックキャパシタに関わる現在のプロセスの問題点まで詳細に記載されています。 NASA Electronic Parts and Packaging (NEPP) Program Cracking

          宇宙用セラミックキャパシタ(概要)

          TID(Total Ionization Dose)設計

          TID(Total Ionization Dose)とは、半導体部品の放射線劣化影響の一つです。本編では、TIDに寄与する宇宙環境とTID試験の方法、また、その解析、設計について詳細に記載します。上記図はTIDの原因となる宇宙放射線のイメージです。 1, TIDに寄与する宇宙環境宇宙に滞在する放射線は、重イオン、プロトン、電子線に分類されます。その中でもプロトンと電子線は非常に数が多く、宇宙機は常にプロトンと電子線に照射されることとなります。また、それらの放射線はある程度の

          TID(Total Ionization Dose)設計

          宇宙機器における信頼性解析(概要)

          ここでは、宇宙機器における信頼性解析(Reliability Analysis)の概要について記載しています。ここで記載している内容は、宇宙機器に限定した内容ではなく、家電や自動車などすべての機器に適用可能な内容ですが、宇宙機器を例、また、宇宙機器における一般事項を補足し、宇宙機器について具体化しています。その中で、機器を構成する部品に着目して、機器の信頼性を定量化する方法について記載しています。 1, 信頼性の定量化に用いられる指標信頼度を定量化する際に用いられる指標とし

          宇宙機器における信頼性解析(概要)