常連

ラジオを聞いていると、必ずメールが読まれる「常連」というものがいる。

「いつも、この人のラジオネームを聞くなぁ」とか、「このコーナーといえば○○さん!」といった具合である。

こういう人たちは、パーソナリティからも一定の認識を受けていて、

「○○さん!いつもありがとう!」とか、「○○!お前どんだけ送ってくるんだよ!暇なのか!」というように、

いじられたり、覚えられていたりと、嬉しいものである。

そういう常連とよばれる人に対し、一部のリスナーは、過度に羨望の眼差しで見つめる。

「常連の方々はすごい!」、「恐れ多くて話しかけられませんでした・・・」

など耳にすることも多い。

そこで今回は、どうすれば「常連」になれるのか、を考えてみたい。


しかし、ここでひとつ疑問が出てくる。

果たして、本当に常連になりたいのか?

この問題を解くために、まず初めに、そもそも常連とは何か?を考えたい。


30分番組であれば、ほぼ毎週読まれるレベルの人は、間違いなく常連と呼ばれ、

ひとつの番組に1人か2人いるくらいだろう。

そしてまた、月1~2回の採用を、半年~1年ほど安定して得られる人が、

一般的な「常連」であるといえそうだ。この層はひと番組で、10人くらいはいる印象である。

毎週、ラジオを聴いている人が、「この人よく聞くなぁ~」と思ったり、「ラジオネームを覚えてしまったりする人」も、常連といえるのではないか。

すると、常連というのは、リスナーの印象によって決まるともいえる。

読まれた回数は少ないが、1度のインパクトが強かったので「常連!」という認識をされることもしばしば。


つまり、採用数と常連の関連は、必ずしもあるわけではない。


すると、ここで常連を目指す!という「投稿の目標」を立てるのは、ある意味、間違っているともいえる。

「あの人、いつも読まれてるよね!さすがだなぁ」と言われ、承認欲求を満たすことはできるかもしれない。

しかし、こういう他人からの評価を求めることを基準にしてしまうと、とたんにラジオ投稿がつまらないものとなってしまう。

これはアンチ問題にも関係してくる。

投稿者は常連と呼ばれると、アンチがつくことがある。パーソナリティにではなく、リスナー個人に対して。これは、驚くべきことであった。

仕方のないことであるが、ラジオで採用されるメールには、限りがあるし、

アイドルとファンの貴重なやりとりができる神聖な場所を、あなたの承認欲求に使って欲しくない。

と嫉妬するアンチが、番組と関係のない、個人のブログやTwitterでの発言を見つけ、吊るし上げたりする。

こうなると、投稿者は他人の評価を気にしながらメールを書くことになる。

投稿初期にはありえなかった感情を抱きながら、趣味を続けていかねばならないのは、常連として目立つデメリットであるといえる。


一方、常連になると、リスナーのファンが増えることもある。

自分ではその気がないのに、「いつもラジオ聞いてます!」と、あたかも自分がパーソナリティのラジオでもやってるかのように、言われることもある。

確かに嬉しい意見であるが、一方で、自分の送ったメールがこれだけの人が聞いていて、良くも悪くも影響を与えている、ということを感じる瞬間である。

ラジオ番組の主役はパーソナリティなのに、リスナーが目立ってしまうジレンマである。

これは、常連になることの大きな問題である。

アンチも増えるが、ファンも増える。

でも、果たして投稿者に対してファンが付く必要性が、本当にあるのだろうか?と疑問である。


結論を言えば、必要はないと思う。

だからといって、一度つけたラジオネームを、投稿者が目立ってしまわないように、定期的に変えていくのは大変だし、何か違う気がする。

ただ、同じラジオネームを使い続け、さらに番組をまたいで投稿をしていくと、

「出た!常連だ!」と初めて採用された番組でさえ言われることがあるようだ。

言うなれば、「A&Gのメール職人」みたいな感覚である。


すると、どうなるか。

ファン・アンチは番組を超えるのである。

より一層、ファンと思ってくれる人が増え、そして一方、アンチが生み出される。

特にアンチは、「せっかく好きで聞いていた番組なのに、○○というリスナーが投稿し始めてから聞く気が失せた」みたいな、

投稿者としては、結構辛いことも普通に言うことがあるので、アンチが多い投稿者は大変だと思う。

そんなことを考えた結果、僕は番組ごとにラジオネームを変える、という自分ルールを作り、投稿活動を広げていった。

面倒であったが、実験的に変えてみることで、リスナーからの認識がないまっさらな状態を作り、どうなるかを調べた。

初めは、パーソナリティごとに、別のラジオネームを使っていたが、

いつしか、同じ人であっても、番組が異なれば、別のラジオネームを新しく考えて使うことにした。

この実験は一体、どうだったか。

よかったところは、全く新しい名前なので、同じ声優界隈や、A&Gのリスナー間で、話題にもならないことである。

この投稿者が好き・嫌いがないので、まっさらな状態で、番組のメールを聞いてもらえるようになる。

変な引っかかりがないというのは、送る側としては、やりやすい。

また、常連なのにそんなつまんないメール送るなよ!(ただの被害妄想だが)みたいなことも気にせず楽だった。


一方、デメリットは、ラジオネームが変わることで、Twitterなどをやるときも、どの名前を使うべきか、など分からなくなる。

また、せっかく、パーソナリティに名前を1ミリでも知ってもらえても、変えてしまうことで何も残らなくなる。

例えば、お渡し会で、名前を名乗ったりするとき、「ああ、あの人でしたか!」みたいな希望も、一切なくなる。

たぶん、パーソナリティの中には、よくメールを送ってくる人の顔は、一度は見てみたいと思う方もいるのではないか、

と思うと、変えてしまうことは、デメリットといえる。

認知とかそういう、ふわふわしたものを求めることは、最初に書いたような「他人からの認識」を過度に意識してしまうため、あまりよろしくない。

とはいえ、結局、ラジオネームはなるべく変えないほうがいい気がしている。

名前が変わると、知り合いとの距離も離れてしまうし、

どうせなら、1度決めた名前で、少なくとも同じパーソナリティに送るときは、ずっと同じ名前を使ったほうが、

たぶん、お互いに良い気がしている。

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