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自転車雑文

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自転車のあれやこれやを書き溜めます。 ライド、レース、プロダクト、イベントなどなど、雑文にお付き合いください。
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個性と呼びたい中指

久々にグラベルライドに行った。 経験のない道は、どこまでも続くかのような錯覚を起こし、繰り返し走る者を魅了する。絶えず変わる路面に「認知・判断・行動」の3原則を駆使し、タイヤにストレスを掛けないようラインを選びトレースしていく。 荷重・抜重もしかりだ。 一瞬でも気を抜けばタイヤは路面の石に削られ潰され、生命線のエアを抜く。行く末はパンクだ。 日本の地形上、どうしても不整地路があるのは山岳地域が多い。故に良質なグラベルと言うものを走ろうと思うと、それなりの標高を登ることを強

梅雨の時期はローラーで。

Life is hometrainer 回るよ回る、私の足はまるでハムスター。 今宵も回り続ける脚は、輪廻の如く円を描く。 10年ぶりの5月の梅雨入り発表にサイクリストの嘆きが聞こえる。 しかし悲観する必要はない。ホームトレーナーという効果的かつポジティブなアイテムがサイクリストには身近にあるではないか。 これがランニングを趣としている人であれば、トレッドミルを導入するにはあまりにもハードルが高い、だがサイクリスト向けのホームトレーナーについては導入しやすい価格帯で、様々

欲張りな君へ捧げる道しるべ

お寿司が食べたいが焼肉も良いなぁ。 そんな欲張りさんの好きな言葉、汎用性。 使用用途は多ければ多いほど、求めている遊びの幅を具現化してくれる。そんな欲張りでワガママな自分にピッタリな汎用性に溢れる一台、それがDAVOS M605だった。 以前から里山やお山にライドはしていたが、満を持してゲレンデに投入してみた。それなりに山を走るのはある程度理解していたが、ゲレンデではいかほどか? 結論から言うと何でも来いのダウンカントリーバイクであった。 ATB(オールテレーンバイク

昼下がりに沈み流れて

ロングに行きたい。 そう思っていた週末、だが行き先が見つからない。 そんな時に一通のメッセージが飛んできた。 「ロング行こうぜ」 同じことを考えている奴も居るもんだ、と感心し二つ返事で回答する。 行き先は話の流れでワンイチ俗にいう”東京湾一週”に決定。何時だったかCCWで走り、昼に木更津でラーメンを食べようなんて計画が雨に流れたのを思い出した故の再提案。 すんなり了解され、半年越しの計画は実行された。 私のバイクはGHISALLOのGE-110、俗にいうエンデュランスモデル

駄々を捏ねたい、大人だもの

お湯が欲しい、だってお湯はすべてを解決する。 人類は火を得たことにより革新的な進化を遂げた、当然その傍らに水があり興味本位で水を火にあぶったら火が消えて大慌てな猿人類も居たことだろう。しかし器を介すことによりお湯を手に入れたのだ。万物創造お湯の誕生から幾年、人類のお湯沸かし速度に対する探究心は留まることを知らない。 結果、生まれた産物として一つの形JetBoilだ。 読んで字の如し、JetBoil(連続して噴出し茹でる)だ。 湯沸かし界で最速の部類に入るであろうJetBo

与えられた選択肢は贅沢の極み

ATB それはMTB(マウンテンバイク)でもなくグラベルバイクでもない全地形対応バイク、それがATB(All Terrain Bike)DAVOS M-605 All-TERRAIN 山遊び、グラベル、ツーリングから街乗りまですべての地形を網羅する素材であることからATBという呼び方は至極当然な流れに感じる一台。 元はフレーム売りのみ、それをユーザー独自のニーズに沿わせてパーツを組み合わせて行けば、先のどのジャンルにもフィットすることができる汎用性の高さが売りだ。 自分の

私が一番、砂と上手にダンスを踊る

「今日はみなさんに、ちょっと砂の上でダンスをしてもらいます」 そう言い残してオーガナイザーは高みの見物とテントの中に隠れていった。 残されたのは”シクロクロス”という辺鄙な自転車にまたがった危篤なサイクリストたちと、火薬を詰めたピストルを持ったスターター。 そして布団の埃を叩く引越しおばさんのように、コースフェンスを囲み叩くオーディエンス。 「なぜこんなところに並んでいるのだ、私は」 東京はお台場海浜公園、冬空の代名詞のようなスッキリとしない曇り空の下、眼前に広がるのは

日常に句読点を

ずっと欲しかったけど手に入れるには躊躇していたモノ。 Helinoxのチェア。 なんだって椅子ごときが1万円越えと、そんなに高価なんだとは思わずにいられず「欲しい」と「やっぱり不要」をひたすらに繰り返した数年間。 購入に踏み切ったきっかけなんて特になかったが、時が満ちたとでも言えようか、欲しい時が買い時なんだ。 私は自転車移動が基本だ。 だから軽い事は正義である。 Helinoxの中でも軽量の部類に入る”チェアゼロ”それが私の今回購入したモデル。 490gしかない重量は

ギアがなければ踏めばいいじゃない

「ギアがなければ踏めばいいじゃない」 まったくもってその通りだ。 私のDAVOS D604ネオランドナーにはブレーキローターにも引けを取らない存在感のある40t以上のローギアを備えている。だが横を走る小林は30t前後であろう小ぶりなローギア、そりゃ踏むのも辛いだろう。 しかし目の前には壁のようなグラベルの登りがそびえ立っている。 ここは信州は長野県と山梨県の境に近い野辺山高原一帯。 お馴染み滝沢牧場を拠点に開催された”第2回野辺山グラベルチャレンジ”にやって来た。 ニセ

良いものだけを待つ

つい先月の事だが結構な時間がたったかのように感じる前回の盆シーズン。 いつもお世話になっているフカヤさん(自転車卸問屋)から借用していた、今年の年末辺りにリリースされるという噂のモデルGhisallo GE110を改めて振り返ろうと思う。 まずもってフカヤには自転車本体として以下の2つのオリジナルブランドが存在する。 GHISALLO(ギザロ) タリア別荘地としても知られる風光明媚なコモ湖を見下ろす、ギザッロ峠の頂上にある「サイクリストの聖地」 サイクリストの女神が祀られた

ハンドルをめぐる冒険

君がハンドルについて多く語りたい雰囲気を感じる事実について、僕は何も興味を持っていないし、何かを言う権利もない。 勝手に出会いの思い出を語ればいいし、惚れ込んだ理由を説明すればいい。相手に対する満足感を語ればいい。君が何をしようが君の自由だ。 手に取ったスマホで他のハンドルと見比べればいいし、買ったばかりのハンドルのパッケージについて眺めてもいい。取り付けるその光沢に溢れる工具に目を奪われてもいい。悪くない選択だ。 君は鏡越しに「ちょっとよくわからないな」という僕の表情

Come Gravel With Me

フランクシナトラの”Come Fly With Me”が鼓膜を揺らす雲海を丸形の窓から目下に見下ろし、北の大地は流れていく。 降り立った地は北海道は新千歳、日本を代表する箱形バンに自転車を積み込み向かった先は、小学生の頃に地図帳で初めて見たカタカナの地名ニセコ。 40が目前に迫った私は何度かこの地に立ったことはあるが、この甘美な響きと広大な土地に毎回ドキドキする、この気持ちだけは何時までも変わらない。 そう、ここには唯一無二のグラベル(不整地路)が待っている。 ニセコグ

冒険の行方は彷徨いの果て

今週末に北の大地に行く。そう、ニセコグラベルである。 贅沢な話だがFUKAYAよりDAVOS_D-309を借用している為、12sのULTEGRAとホイールを装備し準備万端ではあるのだが、一つ悩みがある。 それはタイヤだ。 Rapha Prestigeではグラベルを含む125km2500mUPを30cのFormulaProで走りきっているので、本州より綺麗なグラベルである北海道であれば十分走り切れると思うのだが、IRCはしっかりとグラベルタイヤを用意している。 であればグラベ

真夏のレンジ

先祖が現世に一時帰国的な習わしお盆。 現代日本ではサマーバケーションの色合いが強いが、私も3年連続で長期休暇が取得出来たので、ちょっくら涼しいところまで足を運んでみた次第。 北緯を上げても暑さはさほど変わらない、では標高を上げてしまえ的な短絡発想で、苦手な山へのサイクリングに臨むほどには気温にやられていた事は言うまでもない。 群馬草津から渋峠はサイクリストなら一言は聞いたことがあろうロケーションだと思う。個人的には長野県側より断然群馬県側を推していきたい。 そんな渋峠に続き