デビュー戦というものは生涯で1回のみ
それも鮮烈に幕を開ける
沖縄の若人は今、神宮のマウンドに立つ

中日ドラゴンズ 1 - 4 ヤクルトスワローズ
勝利投手スワローズ ピーターズ (1勝0敗0S)
敗戦投手中日 仲地 (0勝1敗0S)

2022年ドラフト1位で中日に入団した仲地礼亜(なかちれいあ)
ペナントレースでは初先発の大舞台は明治神宮球場、デビュー戦というものは生涯で1回のみ。
5/13(土)はローテーション的に高橋宏斗と読んでいたが、まさかの仲地が先発のマウンドに上がった。オープン戦や侍JAPAN壮行試合でのピッチングは見ていたので個人的な感想としては「良い球は投げるがイマイチ迫力に欠ける」と言ったところで、特段印象も無かった。

制球に苦しんでいる様子も無かったが初回に2失点、そして2回以降のマウンドに上がることも無かった。脇痛による降板とのこと。
まさか2失点ぐらいで降りるとは思わなかったので、事情を知らないスタンドの観客からは驚きの声の中で選手交代が告げられた。

比較的若手起用が目立つ立浪ドラゴンズ。目先の勝利も大事だが選手にチャンスを与えることで長期的な再建を目指しているようにも見える采配には賛否両論あるが、個人的には支持したい（たまに理解不能な起用もあるが）

仲地がプロ初マウンドで昨年の三冠王であるヤクルト村上に5号2ランを浴びたのはまさに洗礼と言ったところだろうか。
調子が戻ってきていない村上と思っていたので私はその対決を見ずトイレに行ってしまった。
用を足しているとスタンドから大歓声の悲鳴が聞こえた。
「あっ、こりゃ仲地やらかしたな」
とは思った刹那、隣で同じく用を足していた中年男性は「まじか！？」と思わず心の声が口から出ており、慌ててスタンドに戻って行った。手すら洗わずに……。

スタンドに戻って来た私の目に映ったのは2点を先制されたスコアボード。まさか村上のHRだとは思わなかったが、眠れる村上が少しずつ目を覚ましてきたのかもしれない。※8回にも6号2ランを打たれている。

その後は淡々とゲームが進み、毎回安打に出塁はするものの点が入らないいつもの展開。
この日は1番大島の調子が悪く4タコ。
2番岡林、3番細川、4番石川は打線がつながっているにも関わらず点が取れないのは1番大島の影響がとても大きく感じる試合だった。

特に2点を追う8回表、岡林の遊ゴロは1塁上で微妙な判定となりリプレイ検証に持ち越された。結果としてはベース上で足が浮いていた岡林によりアウトだったが、あの時前打者の大島の捕邪飛ではなく安打、もしくは岡林のどちらかが出塁していれば、調子のよい細川のシングルヒットで快足を飛ばして同点に追いつけた可能性は大いにあった。
歯車さえ嚙み合えば、得点はすぐそこまでやってきているのだ。

あと一打が出ない、もしくは一打の前のお膳立てが出来ていない今の中日を象徴するようなシーンだった。

打線は線であって個では機能しない。
それこそHRを量産して大量得点を挙げるのは野球としての醍醐味の一つではある。しかし今の長距離打者が不在（実際には石川や鵜飼、細川にアキーノ、ビシエドなどはいるが）である今の状況が故に、足で稼ぐ試合でも大いに盛り上がるであろう。

野球の楽しさは「もしかして」を期待させるプレーや選手の魅力に尽きると思う。今の中日にはその魅力をもう1－2段階引き上げてもらいたい。

今のところ、今シーズンのペナント観戦での勝ち試合は無しの0勝3敗である。次戦は5/20に前カード3タテで勝ち越した巨人と東京ドーム決戦。
そろそろ中日の勝ち試合が見たいものだ。