６月の中旬、突然スカパラの
ギター、加藤さんとドラムの茂木さんから
動画メッセージが届いた。
どうやらライブの打ち上げ中の様子。

「オチケンさん、僕らのライブでドラムを
叩いてくれませんか？」

打ち上げでお酒も入っているのだろう。
カメラに向かってそう話す二人。
当然僕は信じるわけなく驚いた顔の絵文字で
返信した。

それから夏を過ぎ、そんな話も忘れていた頃、
キョードー大阪の方から
「オチケンさん、以前、加藤さんと欣ちゃんの
ドラムオファーの話、覚えています？」

嫌な予感がした。

そう言えばあの時の動画を撮影してたのは
番組の名物プロデューサー。

え？もしかして？
「はい、メンバー、実は乗り気です」

ムリ、ムリ、ムリ、ムリ、ムリーーーーーー！！！
人生でこんなに力を込めて無理を言ったのは
初めてである。

東京スカパラダイスオーケストラは
2024年に３５周年を迎える日本はもちろん、
海外の大きなフェスでもトリを努める
日本が世界に誇るスカバンドである。

メンバー9人が奏る音楽は唯一無二、
と、同時にいろんなミュージシャンともコラボする
柔軟さを兼ね備えたバンドである。
東京オリピックでの閉会式や、紅白歌合戦にも出場する
すごいバンドなのに、どこか大学サークルのノリが
同居するとんでもない人達なのだ。

９月のとある日にキョードーの方から
ライブに出演しドラムを叩いて欲しいと言われたのも
きっと「面白そうだし、オチケンとならやれるよ！」という
思いもあったのかもしれない。

しかし、こちとらドラムはコロナ前に
ネズミがチーズを齧るよりも少量の
キャリアしかない。しかも、３年以上も前から
ドラムスティックは握っていない。
１０代の頃にやってました・・・だったらまだしも、
45歳、新しい趣味を持ちたいです。
くらいの感覚の人がスカパラは無理よ。

少年野球やってた人がメジャーの試合に
出るくらいヤバい。

ちょっと落ち着こう。
そうですか、それで、そのライブはいつですか？

「１１月です」
あ、来年の３５周年に合わせて！一年以上あ・・・
「再来月の１１月です」
え？

再来月、オリックス劇場でのステージです。

む、無理だよ。
ちびまる子ちゃんに出てくる
リアルひきつった顔をしながら
次回に続く。