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東京スカパラダイスオーケストラ〜Paradise Has No Border〜5

ついにこの日が来た。
朝から街は阪神・オリックスの優勝パレードで
盛り上がっている。
12時半、オリックス劇場に入る。
自分専用の楽屋まで用意してくださっている。
メンバーに挨拶をする。
「おー、オチケンさん!今日は
楽しみましょうね〜」と声をかけてくれる。
恐らく僕の顔は緊張で強張っていただろう。

13時15分から舞台の打ち合わせ。
どのように登場し、どんな話をするか
そして、どのタイミングでドラムに
行くのかというシミレーション。

東京スカパラダイスオーケストラは
9人組の大所帯。
当然、それぞれに楽器があり、ライブ前の
楽屋では一人一人が本番に向けて
黙々と準備している。

トロンボーンの北原さんは
マウスピースを磨いている。
バリトンサックスの谷中さんは別部屋で
練習をしている。
NARGOさんはダンベルを持ち上げている。
他のメンバーはステージで音出しをしている。
楽屋でギターの加藤さんはギターを弾きながら
僕と色々な話をしてくれた。
2019年、僕も観に行ったメキシコでの
フェスの話とかブラジルでは伝説的な
アーティストと一緒に食事をした時のことなど。

14時ごろからステージ全体のリハーサルが始まる。
その日のセットリストを音響や照明などの
確認をしながら進んでいく。
僕はアンコール2曲目で谷中さんから
ステージに呼び込まれるのでリハは最後の方。

いよいよか〜。
呼び込みから、スカパラ来年35周年の
甲子園ライブの話、そして、ドラムへ。
リハーサルでは思ったより上手く叩けた。
スカパラの皆さんも「おおーっ!」と
驚いて「これなら大丈夫!」と言ってくれた。

17:45ライブ開演
1時間ほど客席でステージを見て、
会場の雰囲気なども味わいながら
これから自分があのステージに
立たせてもらえることがいかに贅沢か、
ラジオDJである自分がスカパラの、
しかも、MCではなく、ドラムで
一緒に演奏させてもらえる。
人生の中でもとんでもなくスペシャルな
瞬間になることは間違いない。
そんなことを考えたら
めちゃくちゃ緊張してきた!!
楽屋に戻り、深呼吸をしながら
何度も曲を確認する。

そして、ここまで来たら
急に上達することは無い、
でも、急に下手になることもない。
色気を出さず、ちゃんと周りを見て、
そこからの景色を心に焼き付けよう!
そう思い、ステージに向かった。

満員のオリックス劇場は
スカパラのライブで大いに盛り上がり、
アンコールの一曲目もテンションが凄かった。
僕はステージ袖で何度も深呼吸しながら
その時を待つ。

「FM802、DJ、落合健太郎!オチケン」
そう呼び込まれた時にお客さんの
大きな歓声が有り難かった。
本当に仲間に入れてもらえたような気がした。
そして、いよいよ
PARADISE HAS NO BORDERを披露する瞬間が来た。
茂木欣一さんからステックを渡され、
ドラムセットに座る。
イヤモニをセットする。急に外の音が遮断される。
メンバー9人の表情を見る。その向こうにお客さんがいる。
沖さんのピアノが流れる。
加藤さんのギターが入り、ハイハットを4回叩く!
始まった!
パーカッションの大森さんとベースの川上さんを見る。
リズムを二人が伝えてくれる。
サックスのGAMOさんの笑顔、
バリトンサックスの谷中さんとも目が合う。
ステージを走り回っている茂木さんが
ステージ中央に戻ってきた。
最後の決めだ。

スネアをタカタカタカタカ タン タン タン タンっ!
茂木さんがジャンプする。
着地に合わせてシンバルをジャーン!僕のタイミングが
少し早かったが、それでも無事に演奏は終わった。

体は熱く、息も上がっている。
「ON Drums オチケーン!」と茂木さんの声で
我に返る。
この2ヶ月間、こんなにも集中し、
熱中したことはこれまで無かった。
コロナ前に趣味でドラムやろうかな〜と
思っていた頃とは全然違う。
ドラム、面白い。
出来ないことがあると諦めていた自分。
しかし、
出来ないことが、少し出来るようになったことの
喜びは何よりも大きいことを教えてくれた。

今回の機会を与えてくれた
番組プロデューサーIさん、キョードー大阪のFさん
ドラムを教えてくれたテツロウさん、
そして、
東京スカパラダイスオーケストラの皆さん、
本当に有難うございました!!!


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