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情熱が無くなっていく

気がつけば31歳になった。

まだまだ若い、これからだと言われることもあれば、もうおじさんだ中年だと言われることもある狭間の時期である。
私自身はどうかというと、体力の低下を感じつつもまだまだやりたいことも浮かぶので、肉体は着実に年を取りつつも気持ちだけは若いという状態である。このまま行けば厄介な若作りおじさんが爆誕することは目に見えている。それはいいとして。良くはないが。

今回筆をとったのは、年齢を重ねることで生まれる自分の変化を記録しておきたいと思ったからである。

単刀直入に言うと、年を経るに連れ、今まで好きだったものへの情熱が無くなってきている。
この事実に大きな衝撃を受けている。

今期の仮面ライダーがスタートした時、全く興味が湧かない自分に愕然とした。
仮面ライダーは平成初代のクウガから欠かさず視聴しており、20年以上の付き合いとなる。もはや生活の一部と言っても過言ではないシリーズ。今期の仮面ライダーが特段悪いわけではない。ヒロイックなデザインの主人公、疑似ライダー(仮面ライダーのようにアイテムで変身する怪人)のライバル、ベルトの音声など、惹かれる要素はたくさんあった。なのに食指が動かない。

仮面ライダーの変身ベルトも買わなくなって随分経つ。
変身ベルトのクオリティが下がったわけではない。バンダイの手掛ける変身ベルトはいつの時代も魅力的だ。今では本来のターゲット層である子供向けのおもちゃ以外にも、大人向けの高価格帯だがハイクオリティのシリーズも展開しており、私も欠かさずチェックして購入していた時期があった。こちらもやはり食指が動かない。

新作スニーカーをチェックしなくなったのはいつからだろうか。
私はNIKEのエアマックス95というモデルが好きで、新しい情報が出る度に日本国内のサイトのみならず、海外のスニーカーまとめまで見に行くほどであった。自らの足でスニーカーを見に行くのも好きで、知らない過去のレトロなモデルを眺めては目を輝かせていた。今は最新情報を追うことも、何軒もの靴屋を巡ることもやめてしまっている。

仮面ライダーも、変身ベルトも、スニーカーも悪くない。
情熱がなくなった私が悪いのだ。

私は所謂オタクであり、世間で言うところの多趣味に属する人間だと思っている。
思いつくところで羅列してみると、ゲーム、ラジオ、ポッドキャスト、特撮ヒーロー、アメコミ、ドラマ、映画、日本語ラップ、声優、ゲーム、スニーカー、古着、ファッション、舞台、お笑い、プロ野球、小説、昆虫、恐竜、鉱石……etc
ややインドア寄りではあるが、好奇心の赴くまま手を出した結果、色々なものに情熱を燃やせるようになった。浅い深いはあるが、どれも私を満たしてくれる大切な趣味たちだ。

私は昔から一度興味を持つと、ある程度の領域まで知ったり体験しないと気がすまない人間で、そのジャンルへの好奇心というものはなかなか消えずにしつこく残ることが多い。なので子供の頃に体感して好きになった仮面ライダーやポケモンなどの長寿シリーズは未だに好きだったりする。流行が過ぎて周囲の人間がとっくに飽きているようなモノも、私だけは変わらずにずっと楽しんでいることが多い。
一度好きになったものの情熱はなかなか消えることはなく、しつこく情熱が持続してきた人生なのだ。なのに。ここに来てその炎が消えつつある。

これは由々しき事態ではないか。これが老いなのか。人生のほとんどを趣味に費やしてきて、他にはなんの取り柄もない私が趣味への情熱を失ってしまえば空っぽになる。疲れ切った中年が残るだけだ。

グッズも随分手放した。
部屋の半分を埋め尽くすほどの数だった仮面ライダーのフィギュアや変身アイテムは今やひとつもない。50足近くあったスニーカーは実用的な履きやすいものだけを厳選して5足ほどになった。大量にあった古着も、仕事着がスーツになったことでほとんど着てあげられない虚しさが勝ってしまい大部分を捨ててしまった。好きな作品は新書と文庫で揃えることもあった小説たちも読み返さなくなってしまい、軒並みブックオフへと向かった。新しい趣味兼懐かしい趣味として始めたカードゲームたちは触れなくなって2月は経つ。

グッズにホコリがかかる姿を見るのがつらいとか、誰かにまた使われてほしいとか、そんな殊勝な理由で手放したわけではなく、そこになんの情熱も感じられなくなったので何もかも手放した。
適度に片付いた無味乾燥な部屋が残るばかりである。

趣味が削ぎ落とされていく感覚がある。
必要なものだけを残すというよりは、勝手に剥がれていくような感覚。そんな経験は今までなかったのでどのように繋ぎ止めればいいか分からないし、繋ぎ止めようとする意思もない。
大きく残ってくれたのは、ラジオと舞台版ヒプノシスマイク(通称ヒプステ)だが、これらもいつまで情熱を燃やしていけるか分からないし、自信もない。
現時点でかろうじて好きと言える趣味たちも、明日の朝起きた時にまた削ぎ落としが行われて情熱が無くなる可能性は否めない。

これが老いなのか。どうか今だけの現象であってくれとただただ願う日々である。

以上。ポッドキャストで喋るような内容ではないけど、どこかに吐き出したくて書き連ねた、もはやオタクですらない仕事に疲れて帰ってくるだけの中年になりかけている男の嘆きでした。


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