反省会

 日本人は「反省会」をやるのが好きだ。

 英語には「反省会」という意味の言葉はないという。辞書で調べてみても「評価会」を意味する「Evaluation meeting」とか「再検討する会」としての「Review meeting」というような言葉しか見つからない。それなのに日本では何かと「反省会」をやりたがる人が多い。この国際化社会の中で、なぜこんなに日本人だけが「反省」をしたがるのだろう?

 ラジオの世界でも、レギュラーの生放送が終わったときなど、プロデューサーやディレクターが「では、反省会やりまーす」なんて言って、出演者とスタッフがスタジオの片隅や別室に集められたりするんだけど、僕はいつも不思議に思う。毎週(もしくは毎日)生放送やっていて、そんなに毎回「反省」しなくちゃいけないことがあったら、それはプロ失格なのではないだろうか?

 もちろん、日々の仕事の中ではトラブルもミスも起こるし、反省すべき点があるときも当然出てくる。そこを反省せずに次の放送を迎えたら、同じトラブルやミスを繰り返すことになる可能性が高いから、それはもちろん「反省をし、対策を考える」必要はある。だけど、毎回「反省」を目的とする会を開催しなければいけないのだとしたら、それは番組自体が何か大きな問題を抱えているとしか思えないのだ。

 演出の鬼才が舞台稽古で、若手俳優に「ダメ出し」し続ける風景、なんていうのがよくテレビでも紹介されるけど、あれは基本的には本番に向けての稽古の風景だ。もちろん舞台の世界でも、初日を迎えてからの「ダメ出し」や「直し」は存在するけど、それは、次回以降の舞台をより良くするためのポジティブな場所でないといけないはず。ましてや放送の世界で、その日の放送を終えてから、延々と「反省会」をやっているような番組を、リスナーや視聴者が楽しめるわけがないと思うのだ。

 僕は自分の番組では、極力「反省会」という言葉は使わずに「打合せ」とか「振り返り」という言葉を使うようにしている。担当デスクやプロデューサーに「反省会って言うのはおかしくないですか?」としつこく言い続けていたら、メーリングリストでまわってくるスケジュールにも「生放送終了後、○○会議室にて振り返り」と書かれるようになった(笑)。報道の世界は違うかもしれないけど、僕らが作っているのはエンターテインメント。笑顔で番組を届けて、笑顔を日々の番組を振り返りたい。

 

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