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"期待"が子どもの意欲低下の原因?

2023.08.07 勝利と育成コラム Vol.7
筆者:Rafaga C.F. 木村

今あなたは時間が経つのも忘れるほど夢中になれるものがありますか?幼い頃あなたは何に夢中になっていましたか?


スポーツ、ゲーム、お絵描き、砂遊び、泥団子づくり、昆虫採集…

大人になればなるほど、何かに夢中になる機会は減っていると思います。それはいったいなぜでしょうか?

キーワードは「驚き」と「期待」です。

・初めて喋ることができたとき
・初めて歩くことができたとき
・初めて上手に絵を描けたとき
・初めて試合で点を決めたとき

親は我が子の成長に驚き、喜び、よくできたねと褒めることでしょう。

しかし大人になるに連れ、物事に驚く機会は減少していきます。自身の様々な社会経験などから、物事が辿り着く結末を予想できてしまうからでしょう。

また周囲の人間がこのようにすれば良いのにと"期待"をして先に答えを提示してしまうことも影響していると感じています。創造力を発揮する機会を失い、自らの力で問題を解決する達成感を得ることができないことは、夢中になることの障壁になります。

他人に"期待"をすることを良いことだと思っている人が多いと思います。

しかしそこには「期待してあげてるから、感謝してね」という気持ちが隠されているのではないでしょうか。

・君ならやってくれるよね。
・君はこれくらいできて当然だよ。
・君はあんなことしないよね。

そして信じてたのに裏切られたと相手を恨みます。
見えなかった部分が見え始めただけなのに。
では期待をかけられた側の人間はどうでしょうか?

・期待された通りに結果を残さなきゃいけない。
・信じてくれた人を裏切る訳にはいかない

誰かが勝手に決めつけた自身の理想像に収まらなければいけないプレッシャーを感じ、個人の成長や自己実現に対してマイナスな影響を与えてしまうこともあります。

特に子どもはそのプレッシャーを敏感に感じます。

過度な期待や制約の中で育つと自己主張が難しくなったり、逆に他人に操縦されることを嫌がり反発し非行に走るなど、他者への"期待"は僕らの想像の逆の効果を発揮することになってしまいます。

ではどのような接し方を心がければ良いのか?

期待せず、無限の可能性を信じ、工夫を驚き、成長を共に喜ぶ


今できなくても、いつかきっとできるようになると信じること。そしてその理想と現実のギャップを本人が工夫をして埋め、その達成感を共に味わい喜ぶことが必要なのではないでしょうか。

大事なのは本人が
「楽しんでいること」
「意欲的に取り組んでいること」
「夢中になっていること」
そして「"夢中"になって取り組んだ結果、自分の力で変化を起こすことができたと実感できる」ことだと考えています。

その"夢中"をつくるには、他人が先回りして期待をかけないこと。本人から観察と工夫する機会を奪わないことが重要です。そして失敗しても「どうやったら次はできるかな」と問いかけをする。

「褒める」というアプローチはどこかわざとらしく感じてしまいます。それはきっと期待に応えてくれたことに対するアクションだからです。

「よくできたね!」
(私の言った通りにやったからね)
「うまくいったじゃん!凄いじゃん!」
(俺の予想通り)
しかしこの違和感にきっと子どもは気づいていると思います。
その後
「ちゃんと褒めたのに言うこと聞いてくれない」などといった問題に陥ります。
これでは自らの力で達成できたと思えません。
親や先生が私のお陰だと思ってしまっては子どもの意欲は減少してしまいます。

「褒める」ではなく「驚く」というアプローチに変える必要があります。


「何も言ってないのに手伝ってくれたの!」
「そんなことできるようになったの!」
人を驚かせるとこの人をもっと驚かしたいと意欲的に物事に取り組み始めます。

ですが同じ工夫の繰り返しでは人は驚きません。
よく観察し、驚かせ続けるためにもっと新しい工夫を試みる必要があります。
このように夢中になり工夫を繰り返すことによって自然と自己実現へと近づくことができるはずだと考えています。

そして驚くためには「そうなるのは当たり前」だという"期待"を取り除く必要があります。

自分にできるのはことはあくまでも"キッカケづくり"だと改めて認識することができれば、素直に驚くことができるようになります。

大人がつくった道を手を引っ張り連れて行ってあげるのではなく、子どもが様々な工夫を凝らしながら道を切り開くのを近くで見守り、時に驚き、時に背中を押したりしながらサポートすることが大人の役目だと感じています。

「努力は夢中に敵わない」

子どもたちの無限の可能性を信じた、夢中の冒険の先には
きっと僕らも驚くような結末が待っているのではないでしょうか。

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