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3分で読めるレイルロオドのお話「真闇とじーさま」&WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第11話シーン3ネーム&字コンテ

わたくしごとですが、遺品整理を手伝ってきました。

レヱル・ロマネスク0でも右田汰斗の遺品を双鉄たちが整理するシーンがありますが、ちょうどあれと似た感じで。

ずうっと前に亡くなっていた祖母の、しかし事情があって何年も手つかずに放置されていた遺品を。
事情が代わり、整理する必要が出てきましたので整理する――そのお手伝いをしてきたわけです。

遺品といっても、めぼしいものは親類一同がそれぞれ相続しておりますので、いってしまえばその残り物です。

母セレクトの、いわゆる「思い出の品」をいくつかだけ持ち帰ることにし、あとは業者さんにおねがいして処分、ということとなりました。

のですが、少女の形をしたかわいらしいぬいぐるみがぽつん、と置き去りにされていて。
それが処分されてしまうのはなんとも忍びない気もしたので

「この子も連れて帰ってあげてほしい」

と母に頼んで、持ち帰り品に追加してもらいました。

結果、無事にその子は母の寝室にお引越しをして新生活を始めたわけなのですけれど。

ふっと感じた (この子が処分されるのは忍びないなぁ) という感覚には、あるいは
ハチロクやレイルロオドたちの影響が、いくらかあったのかなぁ、と――
いまこのnoteを書いていてふと、思ったりいたしましたです。

そんな感じでネーム連載中の

『レヱル・ロマネスク0』の第11話「ハチロクののぞみ」
前回ご紹介したシーン2のネーム&字コンテがこちらです。

で、今回はその続き、シーン3のネーム&字コンテをご紹介します

「稀咲の懸念」がなんだったのかが明らかにされますので、
もしよろしければご笑覧ください。

で、短いお話の方は、レイルロオド不在となってしまいますが、
真闇を主役に、汰斗さんの遺品整理の話を書きたく思います。

タイトルは「真闇とじーさま」。

こちらももしよろしければ、どうぞご笑覧いただけますと幸いです。

■右田真闇■

御一夜の代表的な焼酎蔵である、右田一酒造元の女杜氏。
焼酎づくりの才覚も経営面での能力もまさしく抜群。
その有能さの必然として頼られ上手と育ったのだが、反面、頼り下手の甘えベタともなってしまった。

■「真闇とじーさま」■

(あらすじ)

ハチロク発見騒動で中断された汰斗さんの部屋の整理。
やれやれと手伝っていた真闇はふっと、
なつかしさに整頓の手を止めるのです。

///

「ここだったか、真闇姉」

「ありゃま、双ちゃん」

姉さんかぶりの手ぬぐいに、ハタキ。
振り返った姿にすぐさま理解する。

「すまん、放り出してしまっていたな」

「そんなん、ハーちゃんの面倒みたげるのが優先に決まっとるけん」

文字通り降って湧いた、ハチロクの復活騒動。

それにかまけて、僕が与えてもらった部屋――
元々の汰斗さんの私室の整頓に、まったく手をつけられていなかった。

「今更だが、僕も作業を再開しよう」

「そ? そんなら――」

……明快な指示。
納得しか無い役割分担。

――真闇姉はつくづく有能だと、あらためて痛感させられる。

「ならば、やるさ」

手を動かせば、集中できる。
集中すれば、”遺品”だという意識がどんどん薄くなっていく。

指示されたどおりに並べ、あるいは廃棄品の箱へと移し――
整理がだんだん、仕事に、処理へ、作業へと置き換わっていくようだ。

(いや……僕などは、ほんの数年のご縁だっただけだ――)

真闇姉にとってはもちろん、実の祖父だし付き合いも長い。

その分思い出も多かろうと思えるのだが――

(……真闇姉の手も止まらんな。一定のリズムが、むしろ心地よいほどだ)

その一定さが、思い出の深さゆえのものなのか。
あるいは意外と、割り切れているゆえのものかのか。

そこまで僕に、計り知れようはずもないのだが――

「ありゃ」

リズムが止まる。
珍しく、困惑したような声が聞こえる。

「どうした? 真闇姉」

「これ、お人形――」

「まさか更なるレイルロオドが!?」

あわてふためき確認すれば……

「では、ないな。
ぬいぐるみ――少女の形の、ぬいぐるみだ」

極めて素朴な造形だ。

シンプルな点の形をした目に、盛り上がりだけの鼻。
口は省略されていて、髪はふわりと、金の巻き毛だ。

小物入れとしても使えるようにだろう。
空っぽの、小さなバスケットを抱えてる。

「カントリー調……というのとも違うか。
くわしいことはわからんが暖かみがあるぬいぐるみだな」

ひどく優しい感じがする。
守ってあげたくなるようで――

「シンプルにかわいい」

「そ?」

ぱっと、声へと熱がこもる。

「双ちゃんの目にも、かわゆかって映ると?」

「うむ」

「うちもね、そー思ったとよ」

”おねーちゃん”ではなく、”うち”。

「やけん、買うたと。修学旅行のとき」
「修学旅行」

照れくさそうな微笑とともに、小さな頷き。

「こどもだったけん、じーさまが何喜ぶかなんて考えもせんと、ただ、自分の好みだけで選んで」

「ああ――」

汰斗さんに似つかわしくない遺品であると思ったが――
そうか、これは、真闇姉からのプレゼントであったのか。

「じーさま、苦笑いばしとってねぇ。
そいやけんうち、『あ、失敗した』って――幼心に思うとったんやけど」

きゅっと、真闇姉が抱きしめる。
古ぼけたちいさなぬいぐるみを、まるでそれが、思い出そのものであるかのように。

「じーさま。大事にとっといてくれたんやねぇ」

;おしまい

///

いかがでしょうか?

真闇姉も要所要所でその魅力を能力を発揮してくれるWEBTOON作品
『レヱル・ロマネスク』0。

無償でご確認いただける0~7話ののネームはこちらとなります。

よろしければどうぞご笑覧ください。

(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)

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