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素敵な「お出かけ」

 ちょっと前のお話。知り合いが何人か参加している展覧会が隣町の芸術むら公園の施設で開催されていたので、次女を連れて妻と観に行った。自宅でやってる企画がしばらく忙しかったので久しぶりの「お出かけ」という感じだった。ちょうどお昼ご飯には帰れない時間になりそうだったので、昼食後お昼寝パターンの次女のこともあり、簡単におにぎりを持って出かけた。展示を拝見させていただき、お会いしたい作家さんともお話が出来て、さぁ帰ろうというタイミングで案の定、次女がお腹空いたとぐずりはじめ、駐車場に止めたクルマの中でおにぎりを食べた。芸術むら公園の中には以前から入ってみたいと思っていた、パンと日用品の店 わざわざの姉妹店(と言っていいのかな)問 touがある。行きたい気持ちは山々だが、2歳の子どももいるし…お金も…。声には出さなかったが妻も同じ考えだろうと思い、眠りに入りそうな次女を確認してクルマを出した。

 ちょっと走って、パンと日用品の店 わざわざに1度も行ったことのない妻にせめてこんな場所にあるんだよと教えたくなり、ちょっと見てみようとわざわざへ。「へぇ〜ココ?」と妻。きっと多くの客が最初にこの言葉を口にしたと思われる。駐車場にクルマを止めて、俺はこの娘を見てるからちょっと覗いてきたら?と。妻はお金はないから見るだけね。と言ってお店に入って行った。俺はわざわざの周りの風景を眺めていた。気持ち良い場所だ。なかなか出てこない。文庫本を読み出した。まだだ。次女が短く泣き声をあげ、すぐにまた眠りに入った。まだ妻は出てこない。スマホでSNSの投稿を見はじめて飽きてきたころ、妻はやっと出てきた。しかも片手に白っぽいものを持って。クルマに入ったとたん、前から欲しかったものが売ってた、足の冷えは靴下を何枚か重ねると効果的、それにはこの素材、などなど自分が買い物をしたことに対して弁明するかのように話をはじめた。お恥ずかしい話だが我が家はそこまで金銭的に余裕がないのだ。申し訳ない気持ち、切ない気持ちになった。

 「良い買い物をしたね」サラリと言えてホッとした。

 クルマを走らせて家に帰るまで、わざわざのお店の話を妻とした。店舗のこと、商品のこと、立ち上げた平田さんのこと、それから自分たちがやろうとしていること、問題点、改善点などなど、久しぶりにお互いの意見を聞き入れるような話ができた。次女が途中で起きなければ、家がもう少し遠いところにあれば、もっともっと話ができたと思った。長い時間見ていることができて、欲しかったものが見つかって、靴下1足なのにとても良い買い物をした気持ちになって家に帰る。素敵な「お出かけ」だった。パンと日用品の店 わざわざはそんなお店なのだ。

 新型コロナウィルスの影響で不要不急の外出は控えるようにとある。わざわざはオンラインでも買い物が出来るが、それは素敵な「お出かけ」にはならない。早く終息することを願う。そして今度は問 tou に行こう。


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