鬼滅の刃さぁ、2017か2018か忘れたけどまだ全然知名度無かった頃、ジャンププラスで最初の何話か無料ってのやってたんだよね。
それ読んでビックリしたわけ。
久しぶりにめちゃくちゃ面白い漫画だって思ったから。
それから既巻をすぐに全部買って読んで、知り合いの漫画読み20人くらいに勧めたんだけど、
面白かったっていう人1人しかいなかったよ。
全く興味でないから読まないって人も数人いたし、あーあの題名ダサいやつねーとか絵が下手なやつねーとか言って知ってるけど興味ないってのも数人いた。
私、漫画は読むけどアニメは全く見ないしテレビも見ないから、いつの間にかアニメ化して人気になってることしばらく気づかなかったわ。

話は変わって、最近、20代前半の若い子に、小説借りたんだよね。めっちゃ泣けたので読んでくださいって。
で、読んでみてビックリした。
全く泣けないし全く面白くないから。
なんだろう…好みとか以前の問題で、なにこの小中学生が好きそうなラノベはって思ったんだけど、その小説は感動系文学作品として世に知られてるわけ。
何がつまらないって、とにかく物凄く野暮。
書かなくてもわかるようなところ、書いてしまうと情緒が無くなってしまうようなところまで見事に全部、登場人物に語らせている。

とりあえず最後まで読んで、感想どうしよう…と困ってたんだけど、かなりオブラートに包んで、私には若すぎたわって言っといた。

鬼滅が人気爆発してから、以前勧めても読まなかった人達が一斉に読み出して、面白いですねーって言ってきた。
1人、確かに面白いけど、登場人物の心情を書きすぎていて興醒めするって人がいた。
表情や状況で人物の内面は一目瞭然なのに、全部文章で語らせてしまっていて、そこが余計だと。
確かに、と私は読み返しながら頷いた。言われてみればこれは野暮だ。
そして、若い子に借りたあの小説にも同じ感想を抱いたことを思い出した。

今の若い世代ってもしかして、行間や余白から読みとるとか、できないんじゃないか？背景とか、感情とか、全部ぜーんぶわかりやすく説明してあげないと、読み取ってくださいね、っていうの、できないんじゃない？

純文学とか、読めるの？作者は何を言いたいのかとか、あくまでも比喩で本当は何を表しているかとか、裏を読むとか…をしないと、文学に限らず芸術も、経済も人間関係も、何もわからない、になっちゃうんだけど。

徐々に徐々に、わかりやすく、よりわかりやすく、わかりやすさありきなものばかりが世に出るように、変化してきた。
生まれた時からネットで何でもすぐに調べられて画像や動画でわかりやすく見せてくれる世界。その結果の思考力の欠如。

だから、自分の殻から出られない人が多くなったんだね。そもそも他者のことを理解しようとする努力を知らないんだもんね。
家族といても友人といても恋人といても、みんなそれぞれ殻に閉じこもったひとりぼっちの集団…。

本気の本気で誰かとぶつかり合うとわかるけど、心理学だのモテテクだの、どれだけ学んでも圧倒的なリアルの前ではクソの役にも立たないからな。

多分もう既に、若い世代とは脳の構造からして違う。
だから、何が良くてなにが悪いかとかは無い。
ただ、これからの世界は、出会うべき人と出会えなくなる…というかもうそういうものの必要性は、なくなるんだなぁと思う。あらゆるものが分裂したままの、殺伐とした世界。

で、鬼滅が何故あんなに大ヒットしたかっていうと、どなたかがここぞとばかりに儲けようとしたからですよねって話。
社会的に人気が出るものなんて、純粋に素晴らしいとか、面白いとか、美味しいとか、無いからな。利用できるなら内容なんてなんでもいい。利用できるなら早見純の漫画だって話題になるってーの。

鬼滅さぁ、別に全く人気が出なくても野暮でも、私にはとても面白かったです。
好み以前の問題とかいいながら結局は好みじゃねぇか。