国語力の今と未来 一教室からできることは?

 先日塾業界のイベントに参加してきました。「全国大会」と称されるだけあって、全国各地からかなり大勢の先生方が参加されていました。また、メインイベントとして、石井光太先生と伊藤氏貴先生による特別対談が行われ、とても勉強になりました。

全国大会ということもあり、かなり広い会場での開催でした。

 石井光太先生と言えば、『ルポ 誰が国語力を殺すのか』、『こどもホスピスの奇跡 短い人生の「最期」をつくる』ほか多数の著作で知られているノンフィクション作家。伊藤氏貴先生は明治大学の教授であり、当教室の講師にも知られている有名な先生です。

 つい数ヶ月前(今年の2月頃)、塾生の卒業研究を手伝っていたところ、たまたま伊藤先生(の著作)と出会っっていました。中学生にはレベルが高すぎる本だと判断したので、その時はそっと本を閉じて、棚に戻しました。それゆえ、出会ったといっても道端ですれ違った程度だったのですが、数ヶ月後にご本人から直接お話を聞ける機会が与えられるんですから、人生何があるかわかりません。

 特別対談のテーマは「国語力の今と未来 一教室からできることは?」でした。国語力について聞けるだけでなく、塾で何をできるか・すべきかまで聞けちゃうんだから、素晴らしい!内容も非常に面白く、大いに刺激を受けました。とりわけ印象的だったのは、次の2点でした。

◆心の機微を読めなくなっている若者が多くなり、恋愛小説がジャンルとして成立しなくなっている。
 私自身、中高生時代に心の機微を読めていたのか怪しいですが、恋愛小説がジャンルとして成立しないというのは意外でした。登壇者の先生方にはそう感じられても、素人の私にはあまりピンときませんでした。
 最近書店に足を運んでいませんねと指摘されているようにも感じたので、時間を取って足を運ばないといけません。また、これをきっかけに、今年の夏休みは、生徒たちと恋愛小説を読むというのもありかもしれません。

◆塾ができること=正当に評価する大人として存在すること
 これはかなり心に刺さりました。正当に評価する大人が周りにいればいるほど、子どもは成長する。大人から見れば「些末なこと」でも、子どもにとってみれば一大事。子どもと真っ向から向き合うことの大切さを説かれていました。

 また、評価する視点・基準を豊かにすることも塾の使命であるというメッセージにも受け取れました。学校や家庭と同じ視点・基準で子どもを測るのでは塾として存在しなくてもよい。子どもにとって思いがけない視点・基準で評価されることで、「私ってそんなことも評価されるんだ!」に繋げられる。眼鏡のレンズが左右違う形の先生が、以前、学校で学んだことを塾で同じように学ぶのはつまらないと言っていたのを思い出します。

 生徒自身にとって思いもよらないところから受ける評価を、どんどんしていかねば!そのためには、評価する大人側がもっと多様な価値観を身につけねば!虹って別に7色とは限りませんからね。見る人の価値観次第で、いかようにも捉えられます。

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